一旦落ち着こっ！

今年職場で私の隣の席になったのは社会人1年生の新人さん（女性）。職場の事なら何でも知ってる私でも、はじめましての方に対してはやっぱり緊張する。何を話そうとか、困ってないかどうか気になったり。始めは会話も続かなくて掴み所が無い人だなぁとちょっとだけ苦手なほうへ分類しかけたけど、1週間もしたら向こうからも話しかけてくれる回数が増えて仲良くやれそうだなと安心したのだった。彼女にとっては何しろ初めてのことばかり、何から手をつけて良いか、優先すべきは何かがわからないようで、私に出来る事があれば声をかけるようにしている。

そんな彼女、とにかくひとり言が多い。最初からその傾向には気付いていたが、日を追うごとにひとり言の声が大きくなってきた。

何年か前にやはり隣の席だった別の女性もひとり言が多い人だったが、その人からは「私、ひとり言が多いと思いますけど、いちいち反応してくれなくても放っておいてくださいね」と言われていたので、そうした。その人にとっては声に出すことが自分の中の確認作業だったようだ。必要があれば向こうからSOSが発せられたので、それまでは放っていた。

さて、今年の彼女にはどう対処すべきなのか。彼女のひとり言も確認作業のようだが、まあとにかくバタバタしている。「ヤバい、ヤバい」はしょっちゅう聞こえるし、別の場所で会議があろうものなら会議に必要な持ち物のチェックを声に出してやっている。それも何度も何度も。で、「良し、大丈夫。」のあとは私に「行って来ます」と言ってくれるので私も「行ってらっしゃい」と応える。あわてんぼうなのでたまに自分が今何をしようと思っていたかを忘れてしまってパニックになってる事もあるが、「一旦落ち着こう」と声をかけたら「うん、落ち着け、落ち着け」などと言うのも可愛い。それなりに良い関係が築けてる気はする。

毎日そんな状態なのでかなり疲れている様子だ。先週も朝いつもの時間に起きられなくて慌てて家を出たらしい。職場に着いて気づいたのだ。左右のソックスの色が違うことに。もうコントかよ、とツッコミたかったが、結構深刻な感じで落ち込んでいたので「（パンツルックだったので）見えないから大丈夫」と励ました。
つい先日も、「あれ？どこいった？あれ？あれ？」とデスクの上をひっくり返して探し物をしている。「何？何が無いの？」と聞くと「2分前まであったマウスパッドが無いんです」と言う。デスクの上から足元まで探してみたが無い。「何かの間に挟まってるんじゃない？」と言うと「そうですね」とクリアファイルや書類の間を探すも出て来ない。「そのうち出てくる」と捜索を諦めて、閉じていたパソコンを開くとなんとパソコンに挟まっていた。はは、ははははは。そのうち頭に乗せたメガネを「メガネ、メガネ」と探し始めるのではないかと、密かに期待している。

なかなか楽しい毎日だが、先日彼女が出張で1日留守だった日、今日はなんだか静かだなぁと思っていたら彼女がいないからだという事に気付いてしまった。彼女のことを“うるさい”なんて思ったことはなかったけど、やっぱりうるさかったんだな、としみじみ思ってしまった。