4年間働いたガイアックスを退職し、投資先のアディッシュに移りました。

新卒で2015年に入社したガイアックス、同年10月に設立した投資子会社のGXインキュベート代表を退職&退任し、投資先のアディッシュ株式会社に転籍しました。新卒入社ながらIT系上場企業でM&A、シード投資、ハンズオン支援をやらせていただいた4年間のエピソードを振り返ってみようと思います。

ガイアックスという会社

ガイアックスは、「人と人をつなげる」をミッションに、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミーのサービスを提供している企業です。

最近では「給料は自分で決める」「退職者の6割が起業する」などのエピソードから「自由すぎる企業」「起業家輩出集団」として紹介されることが多くなっています。ガイアックスには私が入社した2015年当時から「自由と責任」の考え方があり、その考え方が今の私を作ったと言っても過言ではありません。ガイアックスの自由すぎるエピソードについては、「自動車免許合宿に参加しながらリモートワークで働く様子が日経新聞で取り上げられた」ことで有名な人事の流拓巳の記事に場を譲るとし、今回は私個人が見て、聞いて、感じたガイアックスを書こうと思います。

考えるより手を動かせ

2015年4月。量子化学というド理系の研究を北海道でやっていた私は、何を思ったか「イーロン・マスクみたいな事業家になります」と豪語しガイアックスに飛び込みました。新卒入社の配属先は、経営管理部M&A担当。上司は社長でした。

入社初日、新人研修の直後に関係者での会議が始まりました。会話で出てくる単語の実に8割、いや9割以上が知らない専門用語です。私はひたすら議事録を取り、知らない単語を「外国語のように記録すること」に精を出しました。(12歳からタイピングゲームをやり続けていたので、議事録の速度だけは追いつけるものでした)。会議の最後には次回までの宿題が明確になり終了。「やることは決まった。あとはスケジュールを切って、明日から松田さんがやるだけだね。適宜報告・相談してください。」となりました。・・・えっ?新卒っぽい、簡単な仕事から振られるみたいな想像が粉々に砕かれ、怒涛の4月1日が一瞬で終わりました。

一般にM&Aのやり方は、規模にもよりますが、すごーいざっくり書くと、どんな会社も概ね以下のプロセスで進みます。M&A担当という業務は、この①~⑦の全てのプロセスを担当またはマネジメントする仕事です。

①検討条件の設定
②候補企業探し(ソーシング)
③対象企業や対象市場の調査&評価(デュー・デリジェンス)
④契約条件、金額条件などの交渉
⑤トップ面談
⑥M&A成立
⑦統合と引き継ぎ(PMI)

その日から、毎日のように会社の近くの本屋で専門書を読み漁りました。M&Aのプロセスやスキームを覚え、会計と財務の基本を学び、幾多もあるビジネスモデルの仕組みを頭にインストールし、チームのメンバーに助けられつつ、文字通り「考えるより手を動かす」日々が続きました。今も昔も、この「考えるより手を動かす」という仕事スタイルは、よくわからない業務を始める場合において非常に重要だと思っています。

許可より謝罪・自由と責任

ガイアックスで大事にされている考え方の1つに、「許可より謝罪」というものがあります。事前に「これをやっていいですか?」と許可を取るのではなく、自分の判断でやり、もし失敗してしまったらあとから謝罪すればいい、というものです。

この「許可より謝罪」は、なんでもかんでも失敗したら謝ればOK、という生易しいものではなく、「失敗したなら、本来達成すべきだった事を自分の力で取り戻せばOK」という強烈な自己責任がセットになっています。ガイアックスにおける「自由さ」は、この「自己責任」があって始めて成立するもので、ここに「自由と責任」の真髄がありました。

1つエピソードを紹介します。業務を進めていく中で、私の提案や交渉次第で、そのM&A案件自体が終了してしまうかもしれないというシチュエーションが何度もありました。しかし「許可より謝罪」「自己責任」の考え方はその規模であっても変わりません。以下は、当時(入社後数ヶ月)の私の日報です。

交渉でうまくいかなくても、自分が見つけてきた案件なんだから、ポシャったら自分の責任で取り戻す

まさにこれが、私がガイアックスで叩き込まれた「自由と責任」でした。

初の成果

入社して約5ヶ月が経った頃、nottecoという相乗りマッチング型長距離ライドシェア事業のM&Aが成立しました(たった5ヶ月!)。新卒入社した私にとって、ソーシングからPMIまでの全てに携わった初の案件です。達成感を覚えるとともに大きな自信に繋がりました。思い返してみれば、「新卒1年目でもM&Aできる」という並々ならぬ経験を積ませていただいたことこそが、その後どんなハードシングスもやってみれば超えられると思うきっかけになりました。

投資子会社の立ち上げ

その後、M&Aで得た知見やガイアックスの卒業生ネットワークなどを活かし、投資子会社としてGXインキュベート、そしてシェアリングエコノミー特化ファンドを立ち上げ本格的にシード投資を実施することになりました。設立は2015年10月。新卒1年目の子会社代表という責任のある仕事でした。

GXインキュベートでの主な業務は、シード投資と投資先へのハンズオン支援の2つです。シード投資とは言わずもがな、創業間もない起業家の話を聞いて投資する業務。ハンズオン支援は、投資した企業が成長するのに必要なリソースの提供、事業計画の壁打ちや各種相談への対応、次回の資金調達先の紹介や営業先、提携先候補探し、CXO紹介などをする業務です。シード投資段階のスタートアップに事業成長で必要な全ての人材と情報が揃っていることは100%あり得ないので、不足分をVCが出来る範囲で補っていきます。

VCの存在意義は、ただスタートアップに投資することではなく、投資したスタートアップの企業価値向上に貢献することにあります。(そういう意味では、資金調達フェーズの起業家から見れば、このVCはどれだけウチの会社の価値向上に貢献してくれるのか?という競争原理が働きます。)もちろんハンズオン支援の考え方はVCにより異なり、全くやらないところ、必ずやるところ、求められればやるところなどスタンスが分かれています。また担当者のスキルセットに左右される部分も多く、私の場合は事業運営や立ち上げのバックグラウンドが当初なくコーポレート系のスキルセットが強かったため、通常の壁打ちや面談に加え、投資先の管理部立ち上げ支援や予実管理の導入、事業計画シートの作成などのCFO的業務を支援するケースが多くありました。(投資先の個別事例は書けないことも多いため割愛します)

こうした活動を数年間続けたところ、ガイアックスグループ投資先は増えに増え、気付けば20社を超えました。以下は2018年12月期の決算説明資料からの抜粋です。(念の為補足すると、もちろん全てを私が担当していたわけではありません)

投資する側から投資される側へ

シード投資を数年間やった中で感じた一番大きな課題は、経験の壁でした。何10年もVCをやられている業界の諸先輩方と比べ、私にはスタートアップを立ち上げた経験もIPO経験もありません。そんな私がどこまで投資先に対して価値を発揮できるのか?VCとして投資活動をする傍ら、事業を作ったことが無ければ会話もできないと思い、副業で個人事業主として活動しSEO1位を取る収益事業なども作ってみましたが、やはり個人事業主としてのスモールビジネスとIPOを目指すスタートアップでは景色もスピードも違います。考え続けた結果、異動や副業ではなく個人の判断として、投資する側から投資される側へ移ることに決めました。

なお担当した投資先全ての紹介は割愛しますが、一番最後の投資先は、小川嶺社長率いるタイミー(Taimee)でした。

アディッシュへ

というわけで、五反田にあるアディッシュにジョインしました。VC業からは離れ、「スタートアップの経営管理人」になりました。アディッシュは「つながりを常によろこびに」をミッションに、24時間365日体制のインターネットモニタリングやカスタマーサポート運用代行を提供している企業です。一緒に働く仲間も随時募集中ですので、興味のある方は採用ページよりぜひぜひご連絡ください!

最後に

ガイアックスとGXインキュベートで与えていただいた全ての機会、そしてお世話になった皆様に本当に感謝しています。

ありがとうございました!!

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