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毎日2時間かかる通勤が僕の人生を変えるという話

中央線の満員電車、環八の渋滞、土砂降りの雨のなか傘をさして待つバス停。「通勤」というワードが何かとネガティブなことを想起させるのはきっと僕だけではないはずだ。

通勤時間は短い方がいいし、家を探すなら職場の近くがいい。誰しもそう思っているはずだ。僕もその一人。

幸いなことに僕は社会人になってから、満員電車での通勤も渋滞の中での通勤も土砂降りの中バスを待つ経験もしていない。

ところが昨季、アイスバックスへの移籍を機に、通勤時間が車で往復2時間もかかるところに住むことになったのだ。

今回はそんな僕が毎日2時間の通勤を1年間続け、そこで得た気づきをつらつらと書いていきたい。

※あまりアイスホッケーとは関係のない内容です。ふーん、程度に読んで頂ければ幸いです。

通勤時間は最高に有意義な時間である

結論から言うと、往復2時間の通勤時間は僕にとって最高に有意義な時間だ。

誤解が生じないように言っておくが、僕にとっての通勤はひたすら長閑な道を真っ直ぐ進むだけなので、そこには渋滞はないし、満員電車も存在しない。だから都市部に住む方々のそれと比べるべきではないのかもしれない。また、そもそも往復2時間の通勤時間が長いのか短いのかの議論もここではしない。
あくまで僕自身の時間に対する価値観の問題だ。

僕は栃木県宇都宮市内在住で、所属するH.C.栃木日光アイスバックスのホームリンクがある日光市までは、車で約1時間ほどかかる。なぜ宇都宮に住んでいるかは、妻の職場の関係であるためここでは詳述はしない。

この通勤生活を始めた当初、僕は車内で音楽を聞いたり、眠たい目を擦りながら運転しているだけだった。ガソリンをただただ消費させるその長い道のりは、しばしば僕に苦痛を感じさせた。

そんな時にふと考えた。1日24時間のうち睡眠時間(8時間とする)を除いた時間は約16時間。仮に勤務(練習)時間を8時間、食事など生きていくために必要なことをする時間を2時間と仮定すると、残りの時間は6時間だ。(実際の練習時間はせいぜい長くても4時間)

つまり通勤に費やす2時間は、なんと人生の3分の1相当にもなるのだ。(大袈裟なのはご愛嬌)

例えばこれを1年間、毎月20日間通勤すると考えると、
2時間×20日×12ヶ月=480時間

1年間で480時間を通勤に費やしていることになる。つまり1年のうちの丸20日分だ。

ちなみに職場の近くに住めばその時間は他のことに使えるのでは?という真っ当な意見は一切受け付けないことにしている。
また、リモートにすれば通勤する必要がなくなるのでは?というぐうの音も出ないような意見も、今はアスリートの立場なので受け付けていない。

僕はこの通勤するためだけに費やしている膨大な時間を何か能動的で自分のためになる時間に変えられないか考えた。
しかし電車通勤とは違いスマホでYouTubeを見ることはできないし、読書をすることもできない。

目と手の動きが制限されるとなると、使えるのは耳と口だ。(安全のために運転や周りの状況を注視することは言うまでもなく大切だと自覚しています)

そこで、まずは耳を使って通勤時間をインプットのための時間にしようと決めた。さっそくAmazonオーディブルに登録。オーディブルは本をプロのナレーターが朗読してくれるサービスで、オーディオブックと呼ばれることが一般的だ。

最新のビジネス書から世界の名著がラインナップされていて、これがすごく良かった。心地よい声で読み聞かされる内容は、頭にスッと入ってくる。しかも運転中であるため、絶対に寝落ちすることができないという制約もプラスに働く。

ちなみに運転中以外でも、ジムでのトレーニング時に聴いてみようと試みたが、トレーニングへのモチベーションが上がらなくて辞めた。

これまで聴いた本は、「D・カーネギー 人を動かす」「孫子の兵法」「7つの習慣」「サピエンス全史(上下)」など、活字の本ではページ数が多くて読むのを躊躇っていたような本が多い。

また、英会話の教材も豊富で、誰の目も気にせずに発音練習することもできる。車内というプライベート空間で声を出せるのは、車通勤の最大のメリットではないだろうか。(みなさんもよく車で歌の練習するでしょ?)

オーディブルの他にも、voicyという音声コンテンツサービスも利用している。これは音声ブログのようなもので、ビジネスやスポーツ界の第一線で活躍されている方の考えや意見に音声で触れることができるサービスだ。

ちなみに米国NCAAで活躍する三浦優希選手もvoicyを通じて発信しており、彼の考え方は大変参考にさせて頂いている。

無駄に思えていた2時間の通勤時間。このことは決して新しい画期的なことを見つけた訳ではないのだが、僕にとってのただ運転するだけの人生3分の1の時間が自分のための有意義な時間になった。それに加えて、このことは自分の人生の時間と改めて向き合うきっかけにもなった。

時間は有限、使い方は無限

人生の3分の1の時間を有意義にする上で、次のステップは通勤時間をアウトプットするための時間にすることだと考えている。

これは車内に一人でいることが条件になるが、車内では耳だけではなく、口も使うことができる。

具体的には先述した英会話のリピートであったり、スピーチの練習、自己紹介や面接の練習だって可能だ。今の時代、スマホやアップルウォッチに自分の声を録音して、話し方や語彙力を研究することは容易である。ちなみにこの方法もオーディオブックで落語家である立川志の春さんの著書内で学んだ。

僕は手短に要点を伝えるような話し方やスピーチにまだ慣れていないので、車内は絶好の練習の場になりそうだ。ただ、一人で喋るその姿は外から見るとただの変人に写りそうなのでそこはある程度気を付けたいと思う。

練習の場だけでなく、将来的には音声コンテンツの配信を行うことも可能だ。ちなみにこれは試しに車内で録音した音声ツイートである。


「時間」とは誰しも平等に与えられたものであり、それは有限だ。しかし、その時間の使い方は無限である。

僕の場合はインプットとアウトプットに通勤に費やしていたその時間を使いたいと考えているが、車であれ電車であれバスであれ、そこで読書をしようが、スマホでゲームをしようが、音楽を聞こうが、友達とLINEをしようが、その時間の使い方は自由だ。しかし、人生の時間をマクロな視点で見たとき、その小さな時間の積み重ねが自分の人生を作り上げていくということは忘れてはいけない。

車内はブレストの場である

これは余談ではあるが、たまにチームメイトの坂田駿選手と乗り合わせて通勤することもある。

彼は面白い男で、プロアイスホッケー選手の傍ら飲食店のオーナーも務める、まさにデュアルワーカーだ。

そんな彼と車内でアイスホッケーやチームのことはもちろん、経営のことであったり、これからのお互いのキャリアや将来について話をする。経営者も務める彼の視点は独創的で、彼ならではの考えに触れられるその時間は刺激的だ。

飲食店であるため、今は日々感染予防対策を講じることに頭を悩ませているようだが、車内でそんな時間を共有できることは僕にとってはありがたい。

お互いのアイディアを出し合う時間はまさにブレーンストーミングの時間であり、そこから新たなビジネスのアイディアが生まれはしないかと密かに期待している。

NETFLIXの共同創業者であるリード・ヘイスティングとマーク・ランドルフは創業前、いつも車に乗り合わせて通勤しており、その車内はアイディアを出し合うブレストの場であり、今日の映像動画業界を席巻するNETFLIXはこの車内での時間から生まれたアイディアらしい。
ちなみに、こちらもオーディオブック「NETFLIX成功の流儀」で聴いた内容。

まとめ

今回言いたかったことをまとめると、限られた人生の時間を有意義に使えるかどうかは自分次第ということになるのではないか。

人生において、人は無駄だと思うような時間を過ごすことが必ずある。

渋滞や満員電車で何かとイライラしたりする時間、行きたくもない飲み会に行く時間、愚痴や文句しか言わない友人との会話の時間、それら全ての無駄だと思える時間は自らの思考と選択で変えられる。時には自らが持つビジョンや価値観にそぐわないものからは逃げることも重要だ。

ネガティブに捉えていた2時間の通勤。それは思考を変えることで人生にとって有意義な時間に変えられる。通勤時間という日常を切り取ってみたが、これは日々の生活の中のどんな場面でも汎用できることだ。

ただ、僕だって毎日そんなことばかり考えていても疲れてしまうので、マリカーだってするし、ドローンも飛ばすし、楽しい飲み会だって参加するし、何も考えずにボーッと過ごすこともある。

大切なのは、今この瞬間も時計の針は刻一刻と進んでいるということを心の片隅にしまっておくことではないだろうか。

そしてその時間の積み重ねこそが、その人の人生を作り上げていくものになるということだ。

最後に、ここで書いた内容は決して自分が正しいことをしているとか、全員がこうあるべきとか、価値観を押し付けるものではない。自身を見つめ直し、自分がどんな人間で、どんな考えを持っているのかを書き記しただけのものである。

人生の貴重なお時間を使って最後まで読んでくださったみなさん、ありがとうございました。
今後も車内でのインプットを生かし、読み応えのある文章が書けるように精進します!

皆様のサポートが励みになります!いつもありがとうございます!