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プレシーズンゲームで見えたスポーツの価値

9月19日、今シーズンの初試合となるプレシーズンゲームvsフリーブレイズがホーム霧降アリーナで行われました。

結果は1−5で敗戦。
チームとしても個人としても反省点が多い試合内容でしたが、このnoteは試合内容を振り返るものではなく、この試合を通じて改めて僕が感じた「スポーツの価値」をシェアさせていただきたいと思います。3,000文字程度の内容です。
(試合内容振り返りはPagefulの方で後日投稿させていただきます)

試合開催に至るまでの運営の努力

ご存知の通り、今季はアジアリーグの開催が断念され、ジャパンカップの開催が決定しました。
今季は試合自体の開催が危ぶまれながらも、ジャパンカップ開催まで至ったリーグ側の努力に、選手として感謝いたします。

そんな状況の中で開催した昨日のプレシーズンゲームでは、選手、観客、運営スタッフの安全確保など、イレギュラーな会場設営が強いられる中、少ないチームスタッフ全員が手作業で準備を進めて下さり、無事に開催する事ができました。
昨日の試合後の土田GMのお話にもありましたが、運営スタッフも初めての事だらけで勝手がわからない中、観客が安心して観戦できる環境作りをして下さっていることに選手として感謝致します。

また、会場の安全対策のためのクラウドファンディングにご協力いただいた皆さまにも、心から感謝申し上げます。

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スタッフが手作業で貼ってくれた座席の案内

本来であれば、アリーナという室内空間はエンタメ要素や会場演出の観点からはアドバンテージになる事が多いと思っていたのですが、感染症拡大防止の観点からは逆にリスクになってしまいます。アリーナビジネスがジレンマに直面するシーズンとなってしまいました。

その状況でも、お客様が安心し、楽しんで観戦できる企画をアイスバックス運営スタッフのみなさんが考えて下さっていると思いますので、また霧降アリーナにお越しいただければ僕も嬉しいです。

ファンやスポンサーはチームに何を求めているのか

今シーズン始動の際にnoteで、アイスバックスの選手として僕らが果たす役割は、
「改めてスポーツが持つ意味や価値を『表現者』として伝えること」
であると書きました。

では昨日のプレシーズンマッチで僕らが「表現者」として伝えられることはなんだったのか。
・プレシーズンと言えど有料試合だから、勝ち試合を見せることか
・チームの仕上がり具合をお披露目することか
・選手の元気な姿を見せることか

僕はそこに明確な答えはないと思っています。

なぜなら、それを受け取る側の一人ひとりにとって、アイスバックスに対する価値や意味付けが違うからです。

ある人は週末の娯楽で。ある人はストレス解消のため。ある人は友人や知人に会うため。ある人は推しの選手を見るため。ある人は生きる活力や勇気をもらうため。

アリーナに足を運ぶ理由は十人十色です。
ただ、1つだけ全てに共通して言えることがあります。

それは「心を動かすもの」がそこにはあるということです。

人がお金を払う理由は、自己欲求を満たすためがほとんどです。
ではどんなものに対して人はお金を払いたいと思うのか、それは「心を動かすもの」です。

チケットを買って観に来てくださる方、資金を捻出してスポンサーしてくださる企業は、アイスバックスに対して「心を動かすもの」を期待しています。

なぜプロ野球やJリーグ観戦でもなく、ディズニーランドに行くことでもなく、アイスバックスの試合を観にきてくれるのか?それは、アイスバックスがその人の心を動かす「意味」を持っているからです。

モノが溢れ品質や役に立つ事だけで差を生み出す事が困難なこの時代には、それは尚更重要になってきます。

アスリート(プロチーム)は表現者として、その「意味」に応える責任があると思っています。

少し僕個人の話をすれば、僕はアイスホッケー選手(GKとしては特に)としては身長がとても低いです。そんな小さい僕が、屈強なガタイの選手が放つシュートを懸命に身体を張って守る姿に、お客さまは感動してくれたり勇気を持ってくださるのだと思っています。

スポーツは不確実性が特に高く、結果がでない時ももちろんありますが、僕はどんな時もこのことを忘れないようにしています。
(昨日の試合は不甲斐ない内容でしたけどね)

スポーツの価値を最大化するためにアスリートがやるべきこと

最後に。
プレシーズンゲームとは関係ありませんが、3人のレンガ職人という有名な話を紹介して終わります。

世界中をまわっている旅人が、ある町外れの一本道を歩いていると、一人の男が道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいた。旅人はその男のそばに立ち止まって、
「ここでいったい何をしているのですか?」
と尋ねた。
「何って、見ればわかるだろう。レンガ積みに決まっているだろ。朝から晩まで、俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ。あんた達にはわからないだろうけど、暑い日も寒い日も、風の強い日も、日がな一日レンガ積みさ。腰は痛くなるし、手はこのとおり」
男は自らのひび割れた汚れた両手を差し出して見せた。
「なんで、こんなことばかりしなければならないのか、まったくついてないね。もっと気楽にやっている奴らがいっぱいいるというのに・・・」
旅人は、その男に慰めの言葉を残して、歩き続けた。
もう少し歩くと、一生懸命レンガを積んでいる別の男に出会った。先ほどの男のように、辛そうには見えなかった。旅人は尋ねた。
「ここでいったい何をしているのですか?」
「俺はね、ここで大きな壁を作っているんだよ。これが俺の仕事でね。」「大変ですね」
旅人はいたわりの言葉をかけた。
「なんてことはないよ。この仕事のおかげで俺は家族を養っていけるんだ。ここでは、家族を養っていく仕事を見つけるのが大変なんだ。俺なんて、ここでこうやって仕事があるから家族全員が食べいくことに困らない。大変だなんていっていたら、バチがあたるよ」
旅人は、男に励ましの言葉を残して、歩き続けた。
また、もう少し歩くと、別の男が活き活きと楽しそうにレンガを積んでいるのに出くわした。
「ここでいったい何をしているのですか?」
旅人は興味深く尋ねた。
「ああ、俺達のことかい?俺たちは、歴史に残る偉大な大聖堂を造っているんだ!」
「大変ですね」
旅人はいたわりの言葉をかけた。
「とんでもない。ここで多くの人が祝福を受け、悲しみを払うんだぜ!素晴らしいだろう!」
旅人は、その男にお礼の言葉を残して、また元気いっぱいに歩き続けた。
引用元

スポーツの価値を最大化するために、アスリートが持つべきマインドセットはこれに尽きると僕は思います。

何を目的に日々の練習に取り組むのか。
シュートを止めた先には何があるのか。
試合に勝利した先には何があるのか。
優勝したその先には何があるのか。

自分自身に「なぜやるのか」という問いを持ち続け、競技を通じて世の中にどんな価値を提供できるのかを常に考える事が、選手としても人間としても成長する鍵となり、結果としてスポーツの価値向上に繋がります。

アイスホッケーを通じて世の中をもっと元気で豊にする。

僕はそんなビジョンを持っています。

開幕まで3週間となりました。昨日の反省を生かし、開幕を万全の状態で迎えるために、今日からまた準備します!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

皆様のサポートが励みになります!いつもありがとうございます!