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「ミテモの歩き方」完成インタビュー【後編】

こんにちは、インタビュアーのシムラケイコです。前編に続き、およそ8ヶ月の歳月を注いで作り上げたバリュー「ミテモの歩き方」について、その完成までのプロセスをコアメンバーである乾さん、飯田さん、小林さん、宇田川さん、望月さんにインタビューをいたしました。後編では、10月1日に社内向け完成お披露目を終えた「ミテモの歩き方」 も含めてご紹介しております!

プロセスを時系列でご紹介していきます。2019年1月から8月末の間、当初描いたゴールとは違う場所へ辿り着くことになりました。
ビジョンを言語化する難しさに直面
 ep1. 敢えて定義しなかったミテモの存在意義を言語化しようと言い出した人々
 ep2.ミテモメンバーと丸一日かけて超重量級のWS開催、思いもよらぬ結末へ
ビジョンからバリューへの転換、キーワード抽出プロセス
 ep3. アンケート実施・分析、キーワードを抽出&さらにアンケート
 ep4. 他社のバリューと比較して、ミテモらしさの解像度を上げる
表現力を高めて、バリュー完成へ
 ep5. 対で言葉を並べる構造が決定、言葉ひとつずつのチューニングへ
   ep6. ついに「ミテモの歩き方」完成へ

今回は後編ep.3〜6までご紹介します!(前編はこちらから)

「ミテモの歩き方」の紹介と解説はこちらから。
『ミテモにおける「ミテモの歩き方」』

ep3. アンケート実施・分析、キーワードを抽出&さらにアンケート

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飯田:ワークショップの後、少し時間を置いて、コアメンバーで振り返りしました。そこでアンケートをやろうという案が出ました。とにかくミテモメンバーはよく喋るし、カルチャーとしては相当面白い。他の外の現場での経験値と比較しても、すごく差がありました。ミテモは相当異様なカルチャーがあると、初めて自覚できたことは大きな気づきです。少なくともビジョン策定まで難しいかもしれないけれど、このカルチャーは取り出せるんじゃない?という構想が生まれました。それをどうやってやっていこうか?と乾さんに相談して、現状のミテモのカルチャーについて、いいところ、そして、悪いところもヒアリングする下記のアンケートをメンバーにお願いしました。

アンケート

乾:アンケートの回答内容が、すごく濃かったんです。記入してくれたことを分解、分類してみようと思い、飯田さんと2人で手探りでキーワードの抽出をやってみました。仮説的な感じで勢いよく、パパッと出してみました。その後、コアメンバーに対して説明をしました。

抽出したキーワード「 寛容・強さ・真剣・交差・創造 」

望月:アンケートの記入は、結構難しかったですよね。キーワードにある「創造」を、自分の仕事で考えたときに、創造的な仕事ってあるのかな?って問いも出ました。

小林:全員が即座に納得しませんでした。キーワードを出してもらって、説明してもらって「あーなんかわかるかも・・・」みたいな感じで。話し始めて、細かいところで「うーん、ちょっと違うなぁ」という意見もありました。例えば、キーワードの「寛容」について、寛容度を社員で上げていこう!と言っても、みんなそれぞれ捉え方が異なります。

飯田:5つのキーワードの解像度を高めて、もっと具体的にしてみようというNext Actionに至りました。

ep4. 他社のバリューと比較して、ミテモらしさの解像度を上げる

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飯田:まず他社がどんなバリューを策定しているのか、メンバーで手分けして調べてみました。ひとり5〜10社ぐらいを目安に、それぞれのメンバーがリファレンスしたい行動指針やバリューをチェック。その後一斉に集めて、前述の5つのキーワードと照らし合せる作業をしてみました。

飯田:メンバーから「ミテモだったら、この表現や言葉はしっくりこないよね!」というこれはNO!議論がものすごくよかった。「こっち方向ではない!」と言葉の方向性が定まるから、自分たちにしっくりくる言葉の解像度がグッと上がる。例えば、Be professional!とミテモ社内に向けてメッセージするのは、なんだか恥ずかしいぞ・・・・とか。むしろ、Be amateur!(amateur=ア・マチュア、成熟していないっていうニュアンス)だったらピッタリ!とか。
他の企業だったらポジティブに受け取る言葉なのに、ミテモの文脈に入るとそれが変わるんだと分かれば、僕たちの考える「真剣」や「強さ」って、マッチョとは逆の方向だよねと、明確に解像度が高くなってきたんです。あとは具体的に言葉として表現するだけです。

望月:ミテモのメンバーから「チームワーク」という言葉は出て来なかった。他社には結構あるのに。ミテモでいうチームワークは「交差」に示されているし、いいんじゃない?と思いました。しかしミテモは、特定の方向性や枠組みにあてはめるとすぐに拒否反応が出ますね(笑)

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ep5. 対で言葉を並べるフレームが決定、言葉ひとつずつのチューニングへ

乾:そろそろ解像度も上がってきたし、プロの力を借りて表現を磨いていこうと相成り、よく一緒に仕事をしているコピーライターの柳瀨さんへ依頼することになりました。柳瀨さんはブランディングやコピーなど、モノなりサービスなりいろんな仕事をされている方でとても信頼の厚い方です。5つのキーワードそれぞれについて、1時間近くレクチャーして、2日がかりで共有しました。

宇田川:そして、柳瀨さんからの最初の提案をいただいた時に、二つの言葉を対にする(その二つの言葉の間で動く)フレームができていたんです。私たちが大事にしている、いろんな観点で物事を考えたいということは、そのフレームで表現されていたので、コアメンバーは素直に素敵だ!と思いました。そのフレームは決まりで、いくつか言葉の表現をブラッシュアップするステップに移りました。

初稿の案

いつも頭を使おう、まずは手を動かそう
本質を捉えよう、遊びを楽しもう
考えをつたえよう、思いを受け止めよう
個性を磨こう、知性を重ねよう
もっと疑おう、もっと信じよう
そこに学びを見つけよう

小林:初稿をいただいたときに、「学び」という言葉使いたくない!って僕たちが言い出して。「学び」という言葉に乾さんと飯田さんがだいぶアレルギー反応を示していました(笑)

宇田川:柳瀨さんも、ミテモのWebサイトを隅々までみてくれて、私たちのことを理解してくれて、だから「学び」を最後に提案として持ってきてくれてたんですけど・・・。

乾:「学び」という言葉は手垢がついているし、ポジティブワードなんですよね。バリューにポジティブワードは極力使いたくなかった。あと、その言葉自体に意味があるものは、価値が惑わされる気がして。

飯田:「学び」って言ったらまぁいいだろうっていうニュアンスを帯びている言葉だから、思考停止するじゃないですか。もっと価値中立的な感じにしたかった。それを当たり前としないところから、ミテモはもうちょっと原点的なところから考えたいと思いました。

小林:柳瀨さんは、本当にキョトンってしてましたよね・・・・
僕らの反応に対して、全体的にはそうですよねぇ・・・と理解して受け止めてくれたんですけど「学び」を使いたいくないことに関しては「へ?御社のwebサイトに大きく出してますよね?」とビックリしてましたよね。本当に衝撃だったと思います。そのほかの言葉で言うと「個性も、磨くのか?深掘るのか?」「遊びって言葉も世の中で流行ってるし」「本質っていう言葉も惑わされる」などなど出てきました。

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飯田:このあたりから宇田川さんの存在感が増してきて、言葉一つ一つを丁寧に見つめて行くと、この言葉と言葉は何を意味しているのか?対応関係なのか?と彼女中心に掘り下げて煮詰めていきました。

宇田川:「もっと疑おう、もっと信じよう」の部分も、最後だし「信じよう」で終わるのはなんか危なくない?っていう私の意見に対して、柳瀨さんも「いや!ここはでも、締めの言葉なので!」という押し問答があって。とてもいいやりとりでした。その後、第二稿でかなり仕上がってきたので、あとは私たちで決めますということで、コアメンバーで審議をしました。

ep6. ついに「ミテモの歩き方」完成へ

望月:デザインは私が担当して、中性的にしました。男性っぽくなりすぎず、女性っぽくなりすぎず、強すぎず、弱すぎず。言葉が上がってきた段階でビジュアルイメージを持っていました。

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飯田:社内向けにはどんなふうに浸透していくかは考えていきたいですね。ミテモの歩き方だから、靴下とか靴の中敷とかかな。左右で言葉が分かれてて(注:この時点でのアイデアです)

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飯田:これからミテモのメンバーに「ミテモの歩き方」が浸透するよう動いていくんですが、まず10月1日にお披露目会があります。

宇田川:このバリューが社内に浸透しているイメージは、このバリューの言葉がネタになったり、日常会話に使われるようになったらいいなと思ってます。このバリュー通りに行動しているか!というような堅苦しい雰囲気じゃなくて、気軽に遊びながら、イジりながら半笑いで使って欲しいんですよ。「お!火花散らしてるね!」「え?今さ、信じちゃってたでしょ!」「混沌に飛びこもうよ!」などミーティングや立ち話でそんなふうに会話として使ってもらうといいなぁと思っています。

飯田:振り返ると、社長である澤田さんが手放して、信頼して、任せてくれたということは大きいですね。経営者が手放すことができるかどうかチームにも大きく影響すると思いました。

行動指針やバリューというと堅苦しい雰囲気になりそうだけど、ミテモの皆さんは「もともとあるミテモのカルチャーにジャストフィットするための言葉探し」を延々と惜しみなく考え尽くしていたように思う。着せられている感じや、背伸びしている感じではなく、自分たちの感情や思考や行動に、ジャストフィットするかどうか?がとても重要なのだ。言葉にして自己認知できることは、チームの強さにつながる。これからのミテモが世の中に対して、どんな面白いことをしてくれるのか、とても楽しみだ。

「ミテモの歩き方」の紹介と解説はこちら

本記事の前編はこちら

この記事を書いたひと : シムラケイコ
徳島県出身。上京後クリエイティブディレクターとして都会に生き、現在は逗子に住み、原っぱ大学を運営する、小学生男児をひとり持つ母。変わり種がたくさんなミテモに興味を持ち、「ミテモなひと」コーナーのインタビューと執筆を担当。おとな・子ども関係なく、それぞれがワクワク心躍らせる瞬間に立ち会うのが好き。そんな瞬間をたくさん生み出すためにも、すべてのひとにとって心地よい場をつくりだせないか?と頭と心をめいっぱい使って日々試行錯誤。


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