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影と光に、あの頃の願いを、今も、いつまでも…

年末どこに行こうかと我が家で話していると、久しぶりに藤城清治さんの絵を観に行きたくなりました。藤城ミュージアムのホームページを訪ねると、なんと、藤城さんのトークが聞けるイベントが12月24日にあるではないですか。通常の入館料よりかなりお高いけれど、貸し切りになるみたいだし、何しろ藤城さんの話を直接聞けて、もしかしたら言葉も交わせるかもしれない、そんなチャンスがこれからどれだけあるのかわからないので、早速申し込み。結構日は迫っていましたが幸いまだ空きがあり、これはラッキーと、ワクワク楽しみになっておりました。

藤城ミュージアムは二度目。前回行った時も、月並みですが、ほんとうに感動しました。このミュージアム、「生きている美術館」という藤城さんの夢のひとつがかなったものとのこと。実際、見終わって出てくるいろんな世代の人たちが、みんな楽しそうに元気になって、それはそれは満たされた表情になっていました。

紅葉がきれいだった前回とは異なり、那須の森は冬景色。でも空気は凛としてとても清々しい。近くのホテルに前泊し、翌朝意気揚々とミュージアムに行くと、

ガーン

藤城さんが体調を悪くされて今日はいらっしゃれないとのこと。昨晩お電話かメールでご連絡しましたように・・・えーっと我が奥さんのスマホには来ていなかった気が。。。

無茶苦茶残念・・・でも、何しろ95歳。お病気や手術もされたし、ここはもちろん無理されずお大事にしていただくことがいちばんです。気を取り直して、久しぶりの藤城さんの絵を1日ゆっくり堪能することにしました。

イベントがあるので、来場者の人たちがその会場に集まっている間、展示部屋に入った僕は、たった1人で藤城さんの影絵を独り占めでした。右を見ても左を見ても、前を見ても後ろを見ても、藤城さんの光と影の絵。見上げるとそこにも藤城さんの絵。他に誰もいないミュージアムのなかで、子どもの頃の震えるような魂の輝きが蘇り、涙が止まりませんでした。

透き通った光に輝く色。影のコントラストに引き込まれそうになりながら、魂がほんとうに喜ぶのです。

これは藤城さんからの贈り物なのでした。いらっしゃれなかった藤城さんは、こんな贈り物をくださったのでした。

子どもの頃に好きだったはずの藤城清治さんの絵のことを、僕はすっかり忘れて何十年か過ごしていました。何年か前に思い出して藤城ミュージアムを初めて訪ねた後もまたしばらく忘れていました。でも、本当は完全には忘れていなかったのです。忘れようがないのです。折に触れ、自分の原点に還る手助けをしてくれるようです。

今回はいらっしゃれなかった藤城さん。4月の誕生日パーティーのイベントには来ますよとのこと。今度はしっかり来るぞ。ちなみに、なんと知らなかったのですが、藤城さんの日課は駒沢公園の散歩だそう。駒沢公園でフルートの練習をしている女性を見てすぐに自宅で描いたという作品すらあります。まったくもう、なんで知らなかったのかな。ジョギングしている芸能人にすれ違うよりよっぽどよかったのに。。。

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