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リモートワークで需要が伸びつつある文字起こし【実は奥が深い話】

こんにちは。こんばんは。

このnoteは5000字超あります。

実は文字起こし歴5年目になるTakaです。

過去に記事執筆や取材、原稿を書くライターの経験もあり、僕はその中の業務の一つでもある音声の文字起こしと校正の業務を担当していました。今現在も文字起こしやライターの仕事を請け負い、今でも月に20時間分の文字起こし作業をしています。


今回は文字起こしとは?文字起こしは奥が深いと話、今後の文字起こしの仕事がどうなっていくのかについて考えをまとめようと思います。文字起こしを専門に長年行われている諸先輩方もたくさんおられる中で、今回は勝手ながら自身の経験や観測から文字起こしという仕事が何なのか、皆さんに是非知っていただきたいです!


◆高まりつつある文字起こしの需要

2020年に入ってから、リモートワーク・テレワークの働き方が加速し、企業や個人の限られた予算やコストの中で、外部に仕事を委託するアウトソーシングの流れはここ数年で高まっています。

クラウドワークスやランサーズに代表される、アウトソーサー(委託側)とアウトソーシー(受託側)とマッチングさせ、業務の管理から報酬管理まで一括で行えるサービスも、ここ数ヶ月で軒並み需要が高まり、文字起こしの案件数自体も増加しています。

先述の2社の株価から、2020年2月頃からは少し落ち込んでいるものの、3月以降は株価が上昇傾向にあるために、アウトソーシング化の流れ、需要は加速していく一方であると考えます。


◆そもそも文字起こしって何?

一言でいうと・・音声の内容を文字に起こす仕事です。文字起こし、テープ起こし、書き起こし、音声反訳も同じ意味の言葉として用いられます。

音声の種類・・・会議やミーティング・プレゼン、インタビュー・対談・取材、オンラインの講座・講義、イベント登壇など。
使用意図・・会議の議事録作成・ネット上のメディアに掲載・書籍・雑誌出版のための記録、パンフレットなどの紙面掲載など

中には、医療・メディカル、法律・政治経済といった専門分野や、外国語の文字起こしの業務もあります。音楽や漫画などのエンタメ寄りの案件もありますが、多くは企業のミーティングやインタビューです。


今ではICレコーダーやマイクといった録音機材を使わなくとも、スマートフォンでクリアな音声が録音できるために、発注側も手軽に依頼できるようになりました。

また、企業や個人がYouTubeといった動画サービスへの参入が増えており、最近では、字幕用の文字起こし案件やZoomなどのオンライン上で行われるミーティングやインタビューの案件が増えています。


次にどんな人が文字起こしをしているのかご紹介します。


◆どんな人が文字起こししているのか

1.会社や企業に属する人
⇒一般に的に、本や雑誌、新聞などのメディアを扱う企業などでは、社内で音声文字起こしから記事作成までを一貫して行うことがあります。その他にも、メディア戦略や広報活動として自社でメディアを立ち上げ、運営から管理までを行う企業も増えています。

2.フリーライターなどの個人事業主
⇒会社や企業に属さないフリーで活動されているライターや編集者、記者のの方々です。インタビューや取材の内容を原稿にし、記事を作成する中で文字起こしの業務が発生します。

3.副業や在宅ワーカー
⇒本業とは違う副業として文字起こしをする方や、主婦の方や学生さんなど、在宅でお仕事を探す方が始めに文字起こしを選ぶ学生さんや、会社に属しながらも副業として行う方もいます。ある程度のPC操作の知識や経験があれば簡単にできる作業のために人気があります。

4.趣味の範囲で行う文字起こし
⇒主に趣味の範囲で行う収益が発生しない文字起こしです。YouTubeやテレビ、ラジオなどの文字起こしをされる方は多いです。しかし、それをブログなどでアップしたりすると著作権に引っかかる可能性もあるために注意が必要です。


以上が、主に文字起こし業務をされる方々になります。


クラウドサービス上では、1や2の属性の方々から依頼が来て3が文字起こしを受注します。その他、1が業務委託で3と契約し、文字起こし業務だけを請け負うという形もあったり、文字起こし業務をフリーで受託する方もいます。

中には文字起こし未経験の方でも、法人と業務委託で契約して案件を受ける方もいますが、ここ数ヶ月は案件の増加ともに同じように、在宅で働きたい方で文字起こしをしたいという人も増えています。募集や採用のハードルはかなり上がっていると思われます。文字起こし未経験の方は、まずはクラウドサービス上で経験を積むことをおすすめします。



◆ ◆ ◆


誰でもできそうですが、実は奥が深い文字起こし。

ここからは主観ではありますが、文字起こしをやっていて良かったこと、大変なこと、それぞれ紹介します。文字起こしあるあるも含まれていると思いますので、もし、これから文字起こしをやってみたい方への参考になればなと思います。

◆やっていて良かったこと

①仕事をしながら国語力・文章力・読解力・あらゆる知識が身につく

文字起こしの面白いところ、やりがいの部分だと思います。

企業や社内ミーティングでは世の中の情勢や情報をいち早く知ることができますし、イベントや講演では話すのがうまい人のトークが聞けたり、インタビューや対談では、本や雑誌の紙面上では聞けない裏話も聞くことができたり、講義や講座では触れることのない専門分野の知識が得られます。ビジネス用語や医療用語などの横文字にも強くなりました。自然と語彙力が身につきます。

もちろん音声の内容は企業や個人の公開前の情報であるので守秘義務があります。他者へ口外してはいけません。


耳が良くなる

最近、電話やZoomで会社の人や友人と話したときに「耳がいい」と言われることがよくあります。聴力自体が良くなっているかは分かりませんが、人の声に関しては特に敏感になりました。

受け取る音声の中には雑音やノイズが含まれていて、聞き取りにくい音声もあります。音声を加工したり、修正したりしても今まで聞こえなかったものが、経験を積むことで、口の開き具合や母音から不明な語句を想像したり、前後の文脈から大体の音声は聞こえるようになります。


③自分の文字起こし原稿が、本や雑誌などの出版物に掲載される

自分が起こした文章が記事になる。これは文字起こしの仕事をする上で一番うれしいことです。

全ての発注者が使用目的を教えてくれるわけではありませんが、中には出版物やHPに名前を掲載いただけたりと、自分の起こした文章が世の中に出回って、出版物やHPなどで目に見える形となる。これほど嬉しいことはありません。

納品物のクオリティが高いと、次回以降もお声がけいただけることもあります。


◆大変なこと・苦労することベスト3

●第3位:思っていたよりも時間がかかり、稼げない。

未経験の方はこれで悩んで辞めてしまう人も少なくないと思います。

文字起こしには向き不向きがあります。一人で音声とじっくり向き合い、ひたすら音声の再生と停止を繰り返し、パソコンに起こしていきます。音声の話者の話すスピードやタイピングスキル、文字を起こす方法によっても異なりますが、多く見積もっても最初のほうは、元の音声の6倍の作業時間を要します。

例えば
30分の音声なら180分
60分の音声なら360分


そして、そんな思ったよりも時間のかかる作業に加えて、先述したクラウドワークスやランサーズでは雀の涙ぐらいの報酬しかもらえないことも。。時給換算したらいくらだよ!?と嘆く方も多いはず。。20分の音声を200円でお願いします?100円でやってください?

自由価格の取引とはいえ、あまりにも文字起こしの大変さを理解されていない発注者には本当に腹が立ちます。でも、最初のほうは実績と経験を積むためには、いくら安くてもやるしかないんですよね。。

パソコンの知識やタイピングの経験、漢字の変換がヤバイという方は、最初とても苦労します。ただ、経験と実績を積むことで信頼度は上がり、それに伴って単価も上がります。自分が受けたい案件を選べるようになります。なので、苦しいのは初めの数ヶ月ですね。


●第2位:興味のないテーマが来ると辛い。。

自分の得意なジャンル・不得意なジャンルはあるかと思います。

先ほど経験を積めば案件は選べると言いましたが、それは料金や納期が条件に合っているかの話で、音声の内容やジャンルはほぼ選べません。選んでいるとほとんどの仕事は受けられなくなります。

受けていく中でも、特に医療の分野や科学技術の分野、法律、政治経済など、自分が不得意なジャンルは時間がかかります。難しい横文字や英語が並んでいると、調べる作業が大半となって、頭がパンクしてしまいます。

今やオールジャンル、どんな内容でも受けていますが、その辺の自分の不得意なジャンルにもチャレンジして興味を持てるかどうかが勝負です。お金をもらっている以上は、分からなければ検索して、納品までは責任をもって作業するべき。昔の自分に言い聞かせたいです。。


●第1位:音質が悪い&素起こし

いただく音声の中には本当に聞き取りずらいファイルがあります。接触不良や周辺機器を周囲に置いているときのノイズや、Zoomでよくある音が途切れるなど。ザーザー、プツプツ、道路や駅の近くで録っているのか、車や電車の音が常に鳴っていたり。

まだ音質の悪さに関しては、慣れの部分もあるのでだんだんと聞き取れてくるのですが、、そうした劣悪な音声に加えて、さらに苦労するのは、【素起こし】という起こし方法です。


●文字起こしの方法は大きく分けて3種類あります。

素起こし・・・音声で発せられた言葉を一字一句起こす方法。
ケバ取り・・・言い間違いや、口癖、意味のない言葉を省略して起こす方法。
整文・・・話し言葉を書き言葉にして、文体をですます調に整える方法

整文が一番作業時間がかかるものですが、整文はこちら側である程度修正ができます。しかし、素起こしは一字一句起こすことが必要で、音質が悪く聞き取りにくい音声、言い淀みや口癖の多い方、ましてや言い方は悪いですが滑舌が悪く声の小さい人が話者におられると、もう大変。。


●素起こしの例⇩⇩⇩

こんにちは。今日はいい天気ですね。ええと、今年は、ええと、令和何年だ。あ、令和2年ですね。去年が2019年で、令和元年だったんですか。ほぉー。1年ってあっちゅう間ですね。なんか、ここ最近ほんと時間が経つのが早いなぁ。結構ね。まあでも、毎年言ってますけどもね。

ケバ取りや整文の場合、太字部分は省略します。このように聞こえた音全てを起こさなければならないために非常に時間がかかります。音質が悪いと加工や修正する時間や何度も聞き直すために、先ほどの「作業時間=音声の長さ×6倍」という時間では完了できません。

多くの音声は、クリアで聞き取りやすいものばかりですが、過去2回このような音質が悪い&素起こしのオーダーがありました。どちらもクラウドサービス上でいただいた案件で、1回目は納期と報酬の部分で相談し、2回目はこちらから相談したところ、不明箇所が多くなってもいいということで折り合いがつきました。情報漏洩の観点から、事前に音質を確認してから受注することはなかなか難しいので、クライアントさんを信頼するほかありません。

断ることも可能ですが、最後の評価の項目もあります。お互いに気持ちの良い取引を心がけたいですね。


◆おわりに

いかがだったでしょうか。

文字起こしの仕事は経験を積めば積むほど奥が深い仕事です。

今回はどうやって起こしているのかの方法や細かい作業の中身については触れませんでしたが、なくてはならない立派な仕事だと誇りをもって思えます。


しかし、良いことだけではありません。


今後、案件自体が増えて、ライバルも多くなり、さらには、、音声を自動で起こしてくれるソフトやアプリが登場してきています。音声を流すだけで勝手に文字を起こしてくれる。しかも、音声の長さよりも短い時間で。。月額で契約料を払えれば使えたり、高額なソフトを購入して、、、

このnoteを打っている時点で、さまざまな企業がしのぎを削って開発がされていることでしょう。。


でも、でも、安心してください。


これは5年前からずっと言われていて、今後も無くなりません。


レジ打ちの人がいなくなる、工場がロボットに代わる。今になって機械化・自動化が進んできましたが、必ずそれに代わる新しい仕事や役割が登場します。


文字起こしについても、簡単で短く簡単な音声の自動化は進んでいますが、音声全てを正確に起こすことは、いくら音声認識のシステムが発達しようと不可能で、そのシステムを操作するのも、そのシステムによって起こされた文章を修正するのも人間です。

誰でもできる文字起こしといえども、全くの初心者の方がそうやすやすとできるものではなく、経験と知識が要る仕事で、何よりも、人間の手と目と耳がないとできない仕事です。


これから文字起こしを始めてみたいという方や、今現在、文字起こしを仕事にされている仲間へ届いてほしいです!


ここまで読んでいただきありがとうございました。



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