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上司のパワハラや証人の証言が否定された例(令和1年10月29日東京地裁)

概要

信用金庫に勤務していた従業員が、在籍当時、上司からいわゆるパワーハラスメントを継続して受けたことにより精神疾患を発症し、被告には使用者としての職場環境配慮義務の違反があったと主張して、被告に対し、慰謝料及び逸失利益等の損害賠償金の支払を求めた。

結論

棄却

判旨

元従業員主張の支店長による本件パワハラ行為に関して客観的な証拠等は見当たらず,また,医師作成に係る診断書には,適応障害の発病の状況について,元従業員の主張に沿う記載があるが,医師の元従業員に係る初診の時期は,元従業員が会社を退職して1年8か月余りを経過しているものであるから,この診断内容をもって直ちに本件パワハラ行為の存在を肯定することはできず,さらに,証人は,元従業員と交際がある友人であり,本件証拠上うかがわれる関係性に照らし,元従業員の供述を支えるに足りる客観的な証拠力があるとまではいえず,そして,元従業員は,支店長から遂行が明らかに不可能な量の業務を割り当てられた旨主張するが,元従業員が毎日30件の顧客を訪問するよう指示されていたとしても,それが信用金庫の営業業務として達成が困難な程度のノルマないし業務量を課したものであると認めるに足りるものではなく,支店長の元従業員に対する業務の割当てに関して違法であると評すべき行為は認められず,以上の検討のほか,元従業員が会社に対して初めて損害賠償を求めたのは,会社を退職してから2年以上も経過した時期のことであること等から,本件パワハラ行為についての元従業員の供述は,にわかに採用することができず,元従業員の請求は理由がない。

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