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人生を変えた1枚の求人チラシ

何かやらなくてはと思っていた矢先、アルバイトのない朝に新聞を読んでいたら、ふと一枚の求人チラシに目がいった。今まで求人チラシなど見たこともなかったというのに。我が家からほど近い女子大の求人広告であった。綺麗なキャンパスのカラー写真に目が留まったのだ。求人の内容は就職難を反映してか「学生の就職支援をするアシスタント募集、時給850円、週3~4日、9時30分~17時30分」とあり、何か引きつけられるものがあった。

 ・キャンパスが綺麗で女子大生に囲まれて仕事ができる。
 ・自宅から近いので車で通うことができる。
 ・それに春休み、夏休み、冬休みもある。

 いいことづくめである。この際、時給などはどうでもいい。
 動機は不純だが、いまの怠惰な私には言うことのない最適な仕事だと思えた。

翌日、電話をするとまず年齢を訊かれ
「本日現在、たくさんの応募が来ています」
と、担当者は暗に応募しても難しいとほのめかす。
 現役時代には多くの学生の採用面接に携わってきた実績があるので、きっとお役に立つことができると力説した。
 わざわざ60歳近くの男を雇うはずはないかと諦めかけていた時に、追い打ちをかけるように
「キャリアカウンセラーの資格をお持ちですか?」
「その資格をお持ちでしたら一名採用枠があるのですが。また時給は倍になります」
と言う。
 当然そんな資格は持っているはずもなく、拒否回答そのものじゃないのかと思った。
 まあ予想はしていたものの、久しぶりにムっとした。
 積極的に仕事をしようとしていたわけではないので「まあ、いいか」と思いつつ、一方でこのままではなんとなくまずい、何かやらなくてはとの思いが強くなってきた。

それにしても時給が倍になるというのは聞き捨てならない。キャリアカウンセラーとはいったいどんな資格だ。すぐにインターネットで調べてみた。
 キャリアカウンセラーの役割はいろいろあるのだが、その一つに「就職難の中、悩みや不安を抱えている若者や転職者がキャリア形成できるように寄り添いながらカウンセリングし、支援すること」とあり、人の役に立ちそうな仕事であると感じた。
もともと人に接することや話すことは好きなので、この仕事は自分に合っていそうな気がした。また娘が来年就職を控えていることもあり、父親としてまともなアドバイスの一つもできるのではないかと、資格取得を前向きに考えてみることにした。

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