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夜に誘う⑦

「会えた...夢の中って...?」

「まぁ、夢の中でだから現実じゃないのは確かだけど夢の中であの時の麗に会えるだけで、今は胸の中がいっぱいになる。俺が好きなのはあの時の麗だ。ずっと俺達を見ていてくれた優しいあの時の麗なんだ。」

「今の麗じゃ駄目なのか?」

「ごめん、今の麗は...俺の知ってる麗じゃない...。大きくなるに連れて一緒にいる時間も少なくなっていって、お互いに知らない事も増えていく間にあの時はなかった心の隙間っていうのかな...そこに触れた瞬間に怖くなる事があって...。」

「それで幼稚園の時にはそれが無かったからずっと好きでいる事が出来た。そして今、あの時の麗にあった時に幼稚園の感情が出てきた...と。」

「おかしいだろ...。自分でもわかってる。だけど自分に嘘はつけない。これが今はあの時の麗だけが麗なんだ。」

真一は考える。

『サッカー部の最近の詳細がわからない...ただの現実逃避なのか?

それとも過去のトラウマからきたスランプ...。

どちらにしてもここまで体調に影響があるのは良くない。

このまま話をしてても何の解決にもならないし、翔の体力を奪うだけだ。とりあえず翔が言いたい事を全部聞いて何か手掛かりを...。』

「...なぁ、何があったのか話してもらえないかな。どんな小さな事でもいいから。俺は翔を信じてる。」

「...夢の中で麗に会って自分の気持ちに気付けただけ...ただそれだけなんだ。」

「そっか...わかったよ。明日お姉ちゃんが来てくれるからもう寝ようか。」

「姉ちゃん来るのか...嫌だな...。」

「病人に怒る程お姉ちゃんは馬鹿じゃないし俺も隣にいるから。」

「ありがとう...おやすみ...。」

「あぁ。おやすみ。」

それ以降2人は何も話さずに真一は目を閉じた。

『とりあえず学校に何かきっかけがあるはずだ。』

そう信じて眠っていった。



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