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推し燃ゆ

「中心っていうか、背骨かな」

『推し、燃ゆ』

この言葉がすごく印象に残った作品であった。

中心は点、背骨は線、推しは中心という点ではなく、背骨という線で自分自身の存在意義を支えている、要のような者を表現しているのかなと感じた。
無くてはなら、生きてる糧、生きる意味、全てを「背骨」というこの3文字に集約してるように感じた。

また、本来で有れば「ずいぶん昔」と表現するところを「だいぶん昔」と表現されていたところも、興味深かった、「ずいぶん」はある程度期間が定まっている印象で、「だいぶん」はだいぶ前という大雑把な印象がある。ここにも何かしら作者が意図して何かを表現しているのに違いないと感じた。

推しがアイドルを解散して、芸能界を引退し、主人公のあかりの心に空洞ができた印象があった。背骨を抜き取られ、緩く崩れていくサマが最後に表現されていて、推しの計り知れない影響を身近に感じる作品であった。

綿棒をひろった。膝をつき、頭(こうべ)を垂れて、お骨をひろうみたいに丁寧に、自分が床に散らした綿棒をひろった。

『推し、燃ゆ』

抜き取られた、自らの綿棒(背骨)を拾い、再出発に向けての兆しが覗かせて最後幕が下りた。印象があった。

ファンを付ける人は罪深い


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