白く見えるほど明るい街で

赤い提灯がさがったラーメン屋台にいる
わたしたち以外は誰もいない
有名人と結婚した有名人の彼女は
ラーメンの湯気のなかで言う
「幸せになりたいんじゃないの。ジャンプしたいの、」
発光した背景に
輪郭が溶ける

何も語らない
何も知りたくない
何にもなりたくないものたちの
要約で埋もれていった赤い舌が
いつか大きな川の前で
あらゆる感情を吐き出して
自らの夢を放流する
溺れる前にすくってみれば
結晶

漏れる吐息が白い
難しくしないことだ
この部屋を出るのか
次の部屋に入るのか
自分で決める

場所をかえても人は変わらない
人が変わらなければ人生も変わらない
足踏みして声が枯れる
去年は色んなことを学んだ気がするけれど
結局は来世を待つだけのものだと思う
薬中にでもなって早く死んでしまえたらいいと思う
暗い、海の底にいる
少しでもいい一年になればいいな

胸がおどる　初恋みたいにドキドキして　かき分けた背の高い草の　向こう側を見たときのような。フイルムはいい。

慰め