ドラフトどうだった? 後編

今日から日本シリーズということで、その前に書き上げなければ!と気合を入れて書いていきます。パ・リーグの球団ばかり残りましたね。

●福岡ソフトバンクホークス🐥

《ドラフト前の課題》

投手➡正直、課題らしい課題は感じられない。先発固定人員は少し少ないが、いざとなれば先発兼任のリリーフが数名いるので駒不足になることはない。ドラフト会議の時点でほぼ優勝も決めていたので、大社に拘ることもないだろうと思われる。リリーフの人員補充に関しても、育成契約のプロスペクト投手を支配下登録すれば事足りると考えることが出来る。
野手➡ポスト松田宣浩を躍起になって探している。3Bで増田珠・リチャード・野村大樹・小林珠維がいるが、彼らは他ポジにコンバートもできる(される)可能性があるので、さらに大物新人を加えていく構えである。他のポジションは最年少が22歳前後のポジションも複数あり、高校生を指名するのがデプス管理という意味では適合する

《ドラフトでの狙い》

とにもかくにも3Bのプロスペクト確保という姿勢が色濃く出ていた。外れ指名の井上朋也は1巡目というほどの選手とは思っていなかったが、2巡目が遅いソフトバンクとしては、他球団に2巡目で指名されるのを嫌ったのだろう。2巡目以降は”優勝した年のソフトバンク”らしい、市場人気を考慮しないような指名だったが、高卒野手を多めに指名したのはデプス管理としては正しい

単に高卒野手を指名したのでは、待ってれば出番が来るという甘えの姿勢につながりかねなかったり、一軍のレベルが遠すぎて目標にできなくなってしまったりするものだが、前述通り3Bは二軍にライバルが大勢いるし、捕手と左打OFに関しては育成でも高校生を指名しており、身近にライバルを置いておくという指名ができていて好印象。高校生を多めに指名した際に起こりかねない、同世代で仲良くなりすぎて緊張感が薄れるというリスクも回避した格好だ。高校生だらけの指名に懐疑的な目を向けられることもありそうだし、自分もどうなんだろうと思う面もあるが、考えられた末の高校生ドラフトであり、三軍まで完備したソフトバンクらしいドラフトと言えるだろう。

《印象的な指名》

ドラフト当日に話題になっていたようだが、笹川吉康の指名は、指名順位も含め、かなり意外だった。まだ指名時点では来田涼斗も残っていた中での笹川だっただけに、スカウトのチェックポイント的に笹川の方が刺さるものがあったのだろう。そこまで評価しているからには、と考えたいところだが、予想を裏切る上位指名者が何人も出てきた球団ではないだけに無風でフェードアウトする可能性もある。ぜひ笹川には下馬評を覆していただきたい。

●千葉ロッテマリーンズ🐟

《ドラフト前の課題》

投手➡高卒入団選手も含めた若手先発の一軍定着の目立つ有望なローテ。種市のトミー・ジョン手術による離脱は痛いが、それでも2位でフィニッシュできるだけの最低限の選手層はあり、佐々木朗希ら、次世代のプロスペクトも在籍中。強いて言えば中堅層の先発が少ないぐらいか。逆にリリーフは中堅層が支え、さらにシーズン中に澤村拓一をトレードで獲得し、非常に盤石。ただ、リリーフ陣にFA保有者が複数おり、オフの交渉次第では一気に層が薄くなる懸念もある。
野手➡スタメンに並ぶ面々は悪くないが、内野の層が薄く、誰か離脱すると一気に見映えしなくなってしまう。できれば複数人、一軍クラスの内野手を補強し、誰か不調になっても入れ替えられるようにしたり、スタメン内野手の刺激を与えられるようにしたい。CFが多いという珍しい編成状況なので、両翼を任せられる強打者(候補)を指名できればといったところ。

《ドラフトでの狙い》

事前報道から予想された通り、今年は最大5人までという少人数の支配下指名の中で、なんとか補強ポイントを揃えようとしてきたというのが伺えた。先発補強として外れ1位で鈴木昭汰を確保し、大社内野手(特に二遊間の薄さが目立った)として小川龍成を確保し、リリーフも睨んで河村説人も確保した。最大の懸念ポイントを確保できたという意味では、スカウトとしては一安心したことだろう。

二人の高校生については意見が分かれそう。正直、佐々木朗希に入札した翌年に、高卒右腕を2巡目で指名する意味はあっただろうかという思いはあるが、2位以上の球団が、2巡目で指名しようとして狙っていた選手が先に指名され、次善の策として高卒右腕指名することが良くあるので、そういう裏事情があったのではないかと予想。5巡で西川僚佑を指名したのは編成状況にかなっているが、それより大社二遊間をもう1枚増やしてもよかったかもしれない。とはいえ、元々は1位候補とも言われていた西川を確保できたという意味では評価できる。まずは二軍で、山口航輝を上回るインパクトを見せられるか。

《印象的な指名》

大社SSを指名しそうだなと思っていたが、小川龍成だとは思っていなかった。なお、今年は大社SSがかなり揃っていたが、彼が最初に指名されることとなった。守備はかなり上手いが、打撃が今ひとつ確実性がなく、そのうえ、チーム事情を考えると二軍で育成されることなく一軍帯同し続ける可能性もあり、一軍の打席機会の中で成長しなければいけないかもしれない。とはいえ、守備力が評価されればいきなり開幕スタメンもあり得るだけに、このチャンスを活かしてほしいところだ。

●東北楽天ゴールデンイーグルス🐦

《ドラフト前の課題》

投手➡中堅~ベテラン世代で先発ローテを支えており、逆に言うと25歳以下にめぼしい先発がいない。プロスペクトは数多くいる(いた)はずだが、故障であったり、一軍の壁に跳ね返されたりと、どれも通用していない。先発ほどではないがリリーフもどちらかというと中堅~ベテラン寄りで、外国人を複数人、一軍に入れていないといけない状況。来年、優勝を狙うのであれば投手補強は急務
野手➡FAや外国人補強、ドラフト戦略も実り、一軍の面々はかなり充実してきている。強いて言えば22歳以下の野手で、コア候補となると黒川史陽しかおらず、3年後あたりにジワジワと打線が弱体化していく懸念はある。デプスで言えばSS・3Bに、二軍で育てて一軍に送り出せるような若手がいないこと。2Bを黒川が務めたように、SSでもそろそろ若手を入れたいところではある。

《ドラフトでの狙い》

高卒・大卒・大卒社会人の投手を左右問わず指名し、最大の懸念の解消に踏み切った。1~4巡目まで大社投手を指名し続けたのは、広島より更に入念な指名だったといえよう。藤井聖・内間拓馬が先発・リリーフどちらに振られるか分からないが、煮え切らない若手先発への刺激としては既に十分だろう。楽天は2012年以降、入札は常に高校生だったが、ここに来て早川隆久を指名したあたり、来年にかける思いが強いのだと受け取っている。

反面、育成指名を含めても野手の指名は入江大樹のみ。地元・仙台育英の打撃型内野手で、プロではSSか3Bの両方で実戦に出し、適性が試されるのだと思う。ただ、さすがに高卒の彼に100試合前後も出てもらう計画は酷なので、戦力外やトレードで内野手を獲得するのも手だろう。ただ、これは来年の優勝を狙うために、野手の状況を分かりつつも投手ドラフトに踏み切った結果だし、編成を分かっていないわけではないはず。

《印象的な指名》

入江大樹は、あの順位で強打の高卒内野手を指名するなら妥当ではあるが、西巻賢二を指名から2年で解雇し、仙台育英との関係はどうなるのかと思われたあの日から、僅か1年ほどしか時間が経っていないだけに、大丈夫なのかとさすがにハラハラした。背景を勝手に想像しすぎるのは良くないが、彼が仲直り指名というだけに終わってしまわないためにも、しっかりと爪痕を残していきたいところだ。

●北海道日本ハムファイターズ🐻

《ドラフト前の課題》

投手➡先発外国人を何人も抱えていることで察せるが、もうひとつ若手先発が一軍定着しきれていない。一軍ローテの最年少の上沢直之ですら今季27歳であり、加えて、有原航平のMLB移籍にも備えるべく、先発補強は欠かせない。リリーフもクローザーを最後まで決めきれないまま終わってしまったが、先発に外国人枠を割きすぎているという理由もあるので、まずは大社先発を1人、できれば2人獲得し、リリーフに外国人枠を回したい。
野手➡高卒野手メインで指名してきた弊害として、二軍野手の延長線上のような、一軍で出すと見劣りしてしまうような選手が多い。できれば有望な大社野手を指名し、彼らに簡単にスタメンを奪われるようではまずいという状況を作り出さないと、今ひとつ緊張感と実力がないままになってしまう。ポジションとしては、軒並みOPSの低い選手しかいない捕手と、西川遥輝のMLB移籍に備え、CFを指名しておきたいところ。

《ドラフトでの狙い》

地元生まれ・地元育ちの伊藤大海の入札を公言し、見事に単独指名。そこからはCF・捕手・SSとセンターラインの3ポジションを全て指名するという、ヤクルトと同様の指名となった。5・6巡目で北海道関係の選手も指名し、伊藤大海と合わせると3名も北海道関係の選手を揃えた。近年の日本ハムは北海道関係の指名が徐々に増え、かつての指名路線とは変えてきつつあるが、新球場開設を踏まえての地域戦略といえるだろう。ただ、やみくもに指名しているわけではなく、CFタイプが多くて小粒になりがちだったOFに強打の今川優馬を指名しているなど、補強ポイントは捉えている。

特に気になるポイントはないのだが、地元生まれ・地元育ちの選手を上位指名というのは、地元の過熱ぶりや、本人の気持ちの切り替えが難しい(遠方の球団ならその時点で気持ちを切り替えやすい)点などによるのか、あまり他球団でも成功例がないので、首脳陣のケア・メディアの取り上げ方など、色々と配慮が必要になると思う。伊藤大海自身はとても良い選手なので、うまく結果を残していってほしいところ。

《印象的な指名》

今川優馬は、日本ハムとしては14年ぶりの社会人野手指名。北海道関連ということもあっての指名だと思うが、その順位も含め、非常に驚かされた。今年は社会人野手の指名順位が軒並み低く、3人全て6巡目という、ここ数年のトレンドに反するような指名順位だったが、ドラフトまでに社会人野球の全国大会がなかったことを踏まえると、上位指名に踏み切れなかったのも仕方ないといえる(ようやく都市対抗が始まったが、恐らくスカウトとしては、目をつけていた野手が結果を出し、指名したかったな・・・という気持ちになるケースが多々あるだろう)。順位こそ低かったが、今川優馬には初年度から存在感を示してほしい。

●おつかれさまでした

先程、日本シリーズの一戦目が終わりました。始まる前に仕上げたかったですが、間に合わなくて少し残念です。ドラフトについてのnoteは、ひとまずこれで終了としたいと思います。

次回以降は、何か書きたい意欲が湧いてきたものを取り上げます。ドラフトのnote面白かったよ!とか、また何か書いてね!と思われましたら高評価!お願いします。それでは、また次回。

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