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古作こぎん刺しのバッグブランド「kosaku」について⑩〜コンセプトブックで何を表現するか

「kosaku」は古作こぎん刺しをバッグに仕立てるセミオーダースタイルのブランドです。
今年3月の発表にあたり、サンプル商品とともにコンセプトブックを作りました。
バッグの形は4つに絞ったものの、図案や布・糸の色はオーダー次第で固定されたものではないため、商品選びをする「カタログ」ではなく、kosakuの考え方を伝えるものである「コンセプトブック」です。

kosakuのコンセプトブック表紙

方針として2つのことを大事にしました。
一つ目は、「外に出かける」を意識することです。
こぎん刺しを含めハンドメイド作品は豊かなおうち時間と結びつきやすいせいか、インスタやHP、パンフなどには屋内で撮影された画像が比較的多い気がします。インテリア、食器、お花などと組み合わせた素敵な画像に、私もよくうっとりします。

でも、kosakuは屋外で撮影しようと決めました。
バッグなので、できればどんどん使ってほしい、外に持って出てほしいから。
新型コロナウイルス感染症の影響で好きなように人に会ったり出かけたりしにくい状況が続いていました。数少ないお出かけ時間や、やむなくひとりで出かける時でも、このバッグと一緒に出かけることで少しうきうきしてくれたらいいなあ、という気持ちもありました。

ならば、活き活きした緑と一緒に撮りたい!というが人の常、ですよね。
しかし、サンプル作品を作り終えたのが2月の頭頃。3月の発表会から逆算すると、遅くとも3月上旬までは写真撮影を終えないとなりません。この時期、東京はまだまだ冬。どこを見ても、芝生や木々は茶色ばかり……。
暇を見つけては写真撮影ができそうな公園や広場を歩きまわり、草の成長が早そうな日当たりが良い場所を目指し、ちょっとでも緑が見えたら走り寄り……を繰り返し、ギリギリの時期にやっと、ある公園でいい場所を発見。見つけた!という興奮と間に合った〜という安堵でバシャバシャ撮影しました。

いい感じの緑がバッグをひき立ててくれました
かわいい切り株もこぎん刺しとマッチしました

さらに、「バッグは人がもってこそ」と⑧回目で書きましたが、皆さんに自分が持った時を想像してほしかったので、人が持ち歩いているシーンも入れました。

そして、もう一つ大事にしたのは、口数を減らすこと。
実はいったんは、各ページに通販カタログのようなキャッチコピーや解説テキストを入れていました。
でも、あるときふっと「あれ?ちょっと私、しゃべりすぎじゃない?」と気付きました。わかりやすく伝えようと思うあまり、私の考えを押し付けているような気がしてきました。
画像である程度は表現できているはず、あとは受け取る人がどう感じるかは自由なはず、説明の余白を作らないと! そう気付き、ざくざくと文章を削除しました。言葉を減らすのはある種の勇気がいるものですが。

では、なぜ今、ここに書いているのか。第二階層のフォローのような意味合いでしょうか。もっと知りたいと思ってくださった方に読んでいただければ、という。

とか何とか言いながら、本当は自分自身の備忘録ですね。コンセプトブックで削り落とした分、私が一番、あの時の気持ちや考えをどんどん忘れてしまいそうなので、こういうことだったでしょ、と自分に言い聞かせながら書いてます。


Instagramでもkosakuを紹介しています
kosakuの商品概要やオーダーについてはHPをご覧ください

https://www.mishida135.com/


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