見出し画像

古作こぎん刺しのバッグブランド「kosaku」について⑦〜好きな図案と飽きない図案

2022年3月に立ち上げたこぎん刺しのブランド「kosaku」は、「古作」と呼ばれる、江戸時代から明治中期ごろに作られた着物に由来する図案をバッグにします。

古作は主に農家の女性たちが刺したものです。いま、私たちが目にできる古作の着物は、彼女たちが伝統の模様を受け継ぎながらも、自分の技術や好みやチャレンジ精神を注ぎ込んでバージョンアップされていったものだと思います。

ですから、古作図案は一点一点、違う個性があります。
kosakuは比較的広い面積を刺すので、一つの作品を仕上げるまでにじっくりその図案と付き合うことになります。最初はいちいち目数を確認しながら刺している図案も、半分以上刺し進むとだんだん理解が深まってきて、何も見なくてもさくさくと刺せるようになってきます。
この間、こんな図案を考えた人ってどんな人だったんだろう…と作者に思いを馳せるのは本当に楽しいものです。
きっちり計算された図案にすごいなー!頭いいなあと敬服したり、他に見たことがない「もどこ」(基礎となるような単位模様をこぎん刺しではこう呼びます)にわ〜〜〜なんでこんなの思いついたんだろうと驚いたり、わざとルールから外れた部分を見つけてそのイタズラ心にニヤッとしたり。
ちょっと気取った言い方になりますが、いにしえの作者とコミュニケーションしているような気になります。

さて、そんな古作図案で私が気に入っているのは、kosakuのブランドイメージのバッグに使っている図案です。

ブランド立ち上げにあたって作ったショルダートート3作。ひたすら同じ図案を刺しました

元々は単純に見た目が好みだったから選びました。内布なしのバッグにも少しのアレンジで使える点もkosakuにぴったりでした。これが、刺してみるとさらに魅力がある図案でした。もういくつも作っているんですが、なぜか全然刺し飽きない。
一見シンプルだけど、左右対称じゃない「流れ」(単位模様を囲むようにして走る模様部分をこう言います)が変則的なリズムを生んで、飽きさせないのかもしれません。…と分析はしてみますが、もっと複雑で変則的でも何かしっくりこない図案もあります。自分の刺しぐせのようなものと合う、といったこともあるのかもしれません。

kosaku用に自分でアレンジした図案。最初は目数やリズムが変わるポイントなどを書き込んでいました

同じ図案でも、小さい手さげにすると印象が変わったり、切り取る部分が変わるとまた違う顔が見えます。
これからもまだまだ深掘りしたい図案です。

同じ図案を小さい手提げにするとこんな感じ
同じ小さい手さげでも切り取り方を変えると違う顔に

図案とは不思議なもので、見た目では全然気に留めていなかった(ごめんなさい!)ものでも、刺してみると楽しくてしょうがない図案というのもあります。逆もあります。
なぜなのか、誰か、この現象を分析してくれないだろうか…。

前出の小さい手さげの仕立て前のもの。刺し終わった時「ステキな図案…」とほれぼれ眺めちゃいます

Instagramでもkosakuを紹介しています
kosakuの商品概要やオーダーについてはHPをご覧ください


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?