クリエイティブ側ではない人間がクリエイティブな思考を持つために必要なこと。
テテマーチでの僕のポジションは曖昧というか悪くいうと中途半端である。
ビジネスプロデューサーであったり、プランナーであったり、ブランドプロデューサーであったり、事業責任者であったり、取締役であったり。
ポジティブに変換するのであれば何でも屋なのかもしれない。
(ちなみにそう言われたことはないw)
今日はそんな僕が「ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門/原野守弘」を読んだ際に感じたこと、気づいたことをまとめてみる。
前提としては、僕に「クリエイティブな発想はない」と思っていた。
ビジネス的な設計や事業推進はやってきたこともあり、できるほうであると思うが、今までの経歴からもクリエイティブなことに長けているという自負はない。プレゼンや提案の機会は多いが、”作る”より”伝える”が専門な人間だと思う。
ただ、本書で感じた正直な気持ちとして、
「あぁ、自分も本来はクリエイティブな思考で仕事をしていることもあるんだ。」
さらには、
「やばい、もっとクリエイティブな思考を持たないと。」
クリエイティブという言葉に怖気付き逃げてはいけないことを気づかせてくれた。
そんな僕が本書を通じて「クリエイティブ側ではない人間がクリエイティブな思考を持つために必要なこと。」をいくつか紹介したい。
1.感情を動かすものを知る
読み始めすぐに出てくる言葉だ。
「映画のようなプレゼンを作れ」
真っ先に「確かに!」と思った。最近はいろんなプレゼンを聞く立場になった。正直につまらないプレゼンも多く存在する。
ただ、いつも「よかった」と思えるプレゼンは確かに説明だけではない気持ちのこもったものだと思う。
さらにはストーリーテーリングされていることが多い。実際の没入感であったり、こんなことができたら面白いだろうなと想像力が掻き立てられる。
本書でもこのように述べられている。
「課題の整理=平凡な日常」から始まり、
「今回のミッション=事件の発端」を再確認し、
「商品や市場についての洞察=試練・仲間、宿敵との出会い」など話を広げ、
スパッと「ビックアイディア=最大のチャレンジ」を切り出し、
ここから先は「クライマックス=勝利」なので無言で。
企画の実施案などをすべてビジュアル化し、何も言わずともスライドを送っていく。
これだけだと難しいかもしれないが、(詳細は本書にて)
企画書だけで、企画の内容だけで感情を動かすことは難しい。
ここはプランナーやクリエイティブディレクターの役割だと勘違いしていた。良い企画は良いプレゼンテーションから生まれるのだと思う。
人間は感情でしか動かない
こちらも本書で述べられるサブタイトルだ。
そしてここで出てくるのがサイモン・シネックのゴールデンサークルの話だ。この業界にいればほとんどの人がこの考えを知っているのではないだろうか。
HowとWhyは、感情、信頼、忠誠心などを司る「大脳辺緑系」に対応するという。大脳辺緑系は人の行動を司り、すべての意思決定を行うが、言語能力はない。
最近よく「良い企画」とはを言語化することが僕自身のミッションである。
本来であれば言語化し切れるはずがないだと思う。
ただ、だからこそ自身が考え抜かないといけないことは、
何を、ではなく、なぜやるのか?
そしてそれをどうストーリーテリングするのか?
最後にどんな表現(=プレゼン)をするのか?
このフレームを持つことで、良い企画を生み出せる確率は引き上がる。
もしくは企画だけではなく、事業や組織などに良い影響をもたらすことができるのではないかと学びを得た。
2.「好き」には勝てないということを知る
最近よく耳にするのが「嫌われる広告」という言葉だ。
しかし、嫌われる広告の逆説である好かれる広告とはなんだろうと思う時もある。本書ではこんな言葉がある。
偉大なブランドは、自分のことではなく、自分の愛するものについて語る
ナイキやアップルは自己紹介をしない。
その広告で表現されたことに「共感」するオーディエンスが集まる。
これがブランド・ロイヤリティーの正体だという。
確かにそうだ。営業では押し売りは嫌われる。
僕らの主軸であるSNSマーケティングでも、告知や商品紹介ばかりのアカウントはフォローどころかエンゲージメントもされない。
ただ、いつの間にか押し売り(=一方的)のようになってしまうのもマーケティングの落とし穴だと思う。
じゃあどうすれば好きを作れるのか?
好きになる、愛される=ブランディングなのであれば、
どのようにしてそれを描くのか?
ここで前項に述べたWhyで語るということだ。
ブランドが発するWhyに共感するということは、
つまり、好きを意味するということ。
ナイキの商品を好きなのではなく、ナイキの考えていることやナイキの思想を好きになっているのである。
(ちなみに僕も生粋のナイキ好きである。なぜナイキが好きなのか?それはもちろんデザイン性などの商品力もあると思う。だた、いつまでも離れないのはブランドの姿勢にあると思う。ナイキは常に自分たちがやるべきこととその理由、つまりWhyを考えて行動していると信頼できるから好きで居続けられる。)
※ライト兄弟とラングレーの話も面白かったが割愛。
「好き」ということには勝てないということに、
自身の話と掛け合わせると、Whyを大切に考えつつも、やりきれていないことが多いことに気づいた。
なぜ、この事業をやるのか?
なぜ、このプロダクトを開発するのか?
なぜ、この提案なのか?
明確な理由は考えているし、言えることの方が多い。
ただ、それはあまりにも「それなり」で「つもり」になっていることが多いのではないだろうか。多分、そうだ。
会社の売り上げのため、お客さんのため、そのお客さんの先にいるお客さんのため、どれだけ全部考えきれているかというとどうだろうか。
考え始めたらキリはないが、これもクリエイターとして、だけではなくビジネスパーソンとしてビジネスに関わる全員が持つべきクリエイティブな思考だということを本書では間接的に教えてくれていると思う。
そして、この「好き」を生み出すというブランディングの中で重要な3つの考え方が下記である。
①「ちょっといい未来」をを語れ
②個人的に語れ
③地声で語れ
記載すると長くなってしまうので割愛するが、
①は言葉の通りだが、ちょっといい未来を作ることが生活者の共感を生み出し、(正確にはそこに共感してもらうこと)説得力につながる。
②は結局「好き」というのは個人から生まれるということ。「信じたいものを信じる」という性質があるため、ペルソナなどに騙されすぎてはいけない。
③は簡単にいうと自分の言葉で、自分のトンマナで語れということ。同じジャンルのブランドでも、そこには人格があるので同じことをしても捉え方が変わるという話である。自分たちにしか言えないことを自分の声で語ることが大切である。
自分に置き換えた際に本当にできているだろうか?
3.ものづくりを成功に導く7つの原理を知る
最後に下記は本書の付録として書かれている内容である。
あえて体系化しない著者が体系化したものらしい。
1.知りすぎるな
2.いきなり考えるな
3.侵犯せよ
4.捨てろ
5.寝ろ
6.無駄のために無駄を作るな
7.愛と尊敬
このそれぞれの言葉の意味はぜひ本書を読んでもらいたいので
1つだけ、「捨てろ」はかなり響いた。わかっていてもできないことが多い。だけど、捨てなくてもうまくいくこともある。ただ、それは単なる妥協にしかないことを教えてくれる。
僕自身も非常に考えさせられる内容だった。
最後に・・・
冒頭でもお伝えしたように、
クリエイティブ職ではないと思っていた僕が本書から学んだことは、
仮にクリエイティブを手掛けるポジションでなくても、”感情を動かす”ための思考から逃げてはいけないということ。どこかで「クリエイティブ=作る」という頭になりがちだが、本来はビジネスの根幹やコミュニケーションのド真ん中にあるようなことも言わばクリエイティブであることがわかる。そこに職種は関係ないし、本質を捉えれば身につけられる考え方だと思う。
感情を動かすものを知り、その動かすもの(=好き)を追求するために、
今後の事業や組織、クライアントへの企画などでこのクリエイティブな思考を磨いていきたい。
おわり。
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