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企業の中から新商品や新規事業を生み出すための好循環サイクルを設計する

初めまして、Makuake Incubation Studio(MIS)の事業責任者の木内と申します。本日からnoteにて様々な発信をしていければと思っています。

Makuake Incubation Studio(MIS)とは?

Makuake Incubation Studio(MIS)は、Makuakeを出口に、企業の中にある研究開発技術や企画を製品やサービスに仕立て、事業として生み出すことで、新規事業開発と実践による人材育成を同時にサポートする取り組みです。

研究開発費は世界第3位だが、素晴らしい技術が数多くお蔵入りしてしまっている現状

多くの企業が様々な新規事業創出に挑戦しています。非連続の成長を実現するためにその必要性や重要性が高まる一方、「トップは新しいことをやれと言っているのになかなか社内で進まない」「新しいことをやらないとまずいと感じるが上司の理解がない。プランを持っていってもできない理由を言われる」等の声を聞くことも多いです。既存事業の運営に最適化されたオペレーションにおいては予算計画通りの実績管理と着実な実行が重要なため、不確実性が高く試行錯誤が必要な新規事業の取り組みは既存事業の視点からすると非効率で、特に大企業の中での挑戦においてはなかなか困難なハードルがあるのが一般的です。

年間30〜40件ほど、各社の研究開発所や工場にお伺いさせて頂く中で、現場には非常にユニークで魅力的な技術やイノベーションのタネが本当にたくさんあると感じています。一方で「出口まで到達する実現性のあるビジネスアイデアと実行プラン」がないことで素晴らしい技術が数多くお蔵入りしてしまっている現状があるのも事実です。

マクロ的な視点で見ると、日本は約19兆円の研究開発投資をしていて、世界的に見ても多額で世界第3位の規模です。

図1

一方、残念ながら日本の労働生産性はOECD36カ国中21位と総じて低い状態が続いてしまっていて、研究開発効率もOECD諸国の平均を下回っている状況にあります。

図2


図3


つまり、「世界的に見て継続的に高い水準で研究開発投資をしている」ものの、「相対的な価値(=競争力、利益)に結び付きにくい」状況が
続いてしまっていると言えるのではないでしょうか。

 そこには様々な理由があると思いますが、MISがこれまで多くの企業と話してきた実感値としては下記のような負の循環があると感じています。

図4

多くの大企業の方々と議論していて感じることとして、新規事業に関わる上長の方々は邪魔をしようとしているわけではなく、むしろ個別に話をすると気さくで良い人が多いです。実はそれぞれが関わるタイミングで、一生懸命仕事をしているだけだなのだと思います。但し、「部分最適での一生懸命」になってしまっていることが多く、「自分の得意な分野での責任感」と「(自分は事業を創出する側ではなく管理監督する側だという)少しの他責」の掛け算が突破を阻害する要因になってしまっているのではないでしょうか。 

例えば6名の会議があったとして、全員が自分の持つ力を90%ずつ出したとします。(100%コミットではないものの、9割本気)よくある話かもしれませんが、各人90%程度の力の入れ具合の参加者が6名集まって会議したとすると、0.9の6乗ではなんと全体の力は半減(0.53%)してしまい、実はこのような状態になってしまっている会議は多いのではないでしょうか。

これまでMakuake Incubation Studioとして30社以上の大企業において「社名を出して売上を立て、メディア等にて話題化する」まで具体的な製品・事業の市場創出を企業とご一緒してきましたが、Makuakeプロジェクトの実施を起点として新たな商品を生み出し、それを事業成長に結びつけていく好循環として、下記の好循環を生み出す事例も増えてきました。事業を推進する尺度として社内の論理をふまえながら、リスクを最小に抑え小さく生み出すチャレンジにより、ユーザー、メディアの支持を得て事業を前に進めていくアプローチです。

図5

そういった意味で、冒頭の日本の研究開発効率を上げ新商品や事業を次々に生み出すためには、大企業の中での新たな挑戦が生まれにくい構造を把握した上で、その課題を解決するためのデザインが必要なんだと感じています。

図6

そもそも新規事業への挑戦は日夜効率経営に邁進する既存事業側から見ると非効率極まりない活動なのかも知れませんが、30社以上の大企業で売上計上できるレベルまで市場創出するプロセスを経験して感じるのは、その「既存事業側の前提を踏まえそれを突破するプロセス」は6〜7割程度共通項があると言うことです。また特に上場企業の意思決定権者は「自分が理解しきれないことは意思決定しない」ことが合理的な選択とも言えるため、不確実性の高い新規事業の実施有無を自ら責任を持って決め切る、という構図に無理があるのかもしれません。そのために、事業実施の大きな意思決定の前に「市場に問い、実際の販売行為を通じたテストマーケティングを実践に近い形で(かつ失敗した場合STOPがかけられる状態で)実施する」ことが必要であり、その実施の結果を踏まえて本格事業化すべきかどうか、意思決定する方が妥当だし、“機会損失のリスク”も抑えることになると思います。

重要なのは実際に近い形でのテストマーケティングをゴールに見据え、そのプロセスを設計することであり、その挑戦の数を増やしていくことなのではないでしょうか。

図7

今後は、これまでの取り組みを通じて「大企業の技術を起点にした新商品・事業開発を具体的に売上計上まで市場創出する」ために必要だと感じているいくつかのポイントについて述べていきたいと思います。


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