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イマドキの女子高生は、電車で枝毛を探すか?ナニモしないってなんだっけ

電車に乗っているとき、ふと外の世界が気になる。携帯や本から目を離した状態で座っているが、なんだか目線が定まらず、心もとない気持ちになる。

例のごとく、ギリギリで家を飛び出してきたら、いつも通学の電車で読んでいる小説を家に置いてきてしまった。

「明日は、もうちょっと余裕を持って家を出よう」守れない誓いをしながら、おさげにした髪先を無造作に持ち上げて、枝毛を探す。

枝毛を探すのに飽きたら、ぼーっとして、そのうち居眠りを始める。

携帯電話がまだパカパカのとき、私は高校生だった。厳しい学校だったから、携帯電話を電車で使おうものなら、あちらこちらに存在するOGたちに学校へ通報される。(今振り返ると、一体どんな学校なんだ…)

そんな恐怖感から、道中手にするのは小説、テスト前は参考書。

それ以外は…何してたんだろう。高校時代に思いを馳せる。


最近大好きで聴きまくっているpodcastのバイリンガルニュースで、トークしているマミさんが過去に「イマドキの女子高生は、電車で枝毛を探すことはするのか?」という話をしていた。たしか「何かを常にしている現代人」の文脈からそんなことを言っていたのだと思う。

スマホを普通に使えるようになってから、電車に乗っている時は、何もしていないと目線に困るようになった。挙動不審で逆にアヤシイのでは、と自意識過剰に思ったりもする。

広告を見るフリをしたり、爪を見たり、前の人の顔をこっそり観察したり、外を見たり…やっぱり落ち着かなくて、スマホや本を通じて自分の世界へ戻ってしまう。

ナニモしない。ただ座っているだけ。

外と自分の世界との境界線を曖昧にしながら、ナニモしない。

常に何かをしていないと落ち着かなくなってしまったいま、もはやナニモしないことは難しい。

イマドキの高校生は、電車の中でスマホを置いて枝毛を探すことはあるんだろうか。

こんな質問をしたら、10年前、高校1年生だった自分に笑われているきがする。




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