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お前が、そのお前だけが、お前やねん。

サザエさん症候群とはよく言ったもので、社会人になってから本当に週明けの夜が怖くなった。前職にいた頃は、起きたら会社に行かなきゃ行けないと思うと部屋の電気を消すことも目を瞑ることさえもできず、ポロポロと涙をこぼしてベッドに横たわる日曜の夜が当たり前だった。

「わかる。行っちゃえばいいんだけどね」

そう共感してくれる友達に、それでも「行ける」のだからすごいと、心の底から尊敬する気持ちは今も変わらない。わたしは結局「行けなかった」し、「行かない」働き方を選んだ。

それでも身体や心に染みついた習慣はなかなかとれない。以前何かの本で、一度壊れたものは元には戻らない。それは人も同じ。と書いてあるのを読んだことがある。

一度壊れてしまったわたしは、もう元には戻らないのだろうか。弱気になる夜は、今も変わらず。夕飯を食べ終えたあたりからわけもなくソワソワしだし不安になる。月が満ちれば欠けていくような、自然現象のように身体が反応するのだ。


お前がお前だと思うお前が、そのお前だけが、お前やねん。


西加奈子さんの短編集『おまじない』の最後に書かれている物語りは、今夜もわたしを救ってくれた。


言葉は、呪いじゃない。おまじないだ。


そしてそれを決めるのも、自分でいい。自分が思う世界を、自分が決めて、自分で見る。自分で色を塗り替え、自分で捨てて、自分で拾って。何もかも、自分で決めていいのだ。


だって、わたしたちは幸せになるために生まれてきてるのだから。

誰もあなたを、不幸にしたいわけじゃない。いいんだよ、自分で決めて。


あなたを救ってくれる言葉がこの世界にありますように。

『おまじない』の帯に書かれた言葉を、わたしは今夜も「おまじない」にする。

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