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5歳の娘と「性」について学んだ日のこと。

「3歳頃になったら娘に性教育をしよう。」

かねてからずっと、そう思っていたのには理由があります。

青い光

私はかつて養護教諭(保健室の先生)をしていました。子どもが直面している様々な性に関する問題が、保健室には集います。

思春期における体と心の変化
 性自認・LGBTに関すること
性犯罪被害
望まない妊娠・中絶・性感染症

文部科学省が定めた学習指導要領では、性教育は小学校4年生の保健の授業ではじめに行われることになっています。

私は、性犯罪については低年齢の被害者が多いのに、小4から学ぶのでは遅すぎると思っています。 そして、内容が浅すぎます。性行為については国公立学校では学ぶことはありません。

様々な問題から子どもたちも守るためには、もっと早くからの、もっと深い性教育が必要です。


5歳の我が子に性教育をする決心に至った経緯

私個人の意見では、性教育は早いうちから始めるべきで、言葉でのコミュニケーションが可能になってくる3歳くらいからがベターではないかと思っています、、、が、慌ただしい毎日を言い訳にしているうちに、あっという間に、娘は5歳を終えようとしていました。

そんな時、質問箱にこんな質問をいただきました。

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敬愛するママ友からでした。

お互い、我が子はもうすぐ6歳です。
ここのところ、外出自粛で毎日ずーっと一緒です。
これは、腰を据えて時間を取れなかった私たちにやって来たチャンスではないでしょうか。
 ママ友からの質問をきっかけに、性教育をしてみることを決意しました。



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早期性教育の必要性は常々感じていて、準備もしてはいましたが、実際行うとなると、内心とても緊張しました。

こうして、満を持して実行した感想は、
「性教育、やってよかった、、、!」です。

プライベートゾーンの話から始まり、性犯罪や体の変化についても話しました。
娘からの質問に答える形で、性行為についても話しました。性行為について話をするのははじめてでしたし、5歳の娘がどう受け止めるのかも緊張しましたが、驚くほどすんなり受け入れて理解していました。

「性教育をしよう!」などと意気込んでいましたが、それはおこがましかったです。一緒に性について話し合い、学びを深めた、貴重な時間になりました。

以下、ママ友のために今回の性教育レポをします。ご興味のある方も、是非読んでみてください。


親が読むのにおすすめの本

わかりやすく、1冊目に読むに最適な良本。 「性教育にはメリットしかない」根拠がきちんと書かれています。

個人的には、子どもに性に関する質問をされた時、「いい質問だね!」と返すといいというアドバイスがとても役立ちました。

娘から、「卵子と精子はどうやってくっつくの?」という質問をされた時も、内心「来たか!その質問!」と身構えましたが、 「いい質問だね!どうすると思う?」という切り返しをすることで、私も一呼吸置いてリラックスできるし、娘も安心して、聞いたり・考えたり・答えたりしていました。



性教育先進国オランダから学ぶことがたくさんありました。
日本の性教育は、マジで遅れています。



我が子への性教育の方法

おすすめアイテムは「絵本」です。

絵本は子どもも好きだし、情報が整理されていて簡潔なので、伝えたいメッセージがわかりやすいですよね。
今回の性教育プロジェクト(?)も、「絵本読もうよー。」と誘って、自然な形で学びに入ることができました。

今回読んだのは、この3冊です。

プライベートゾーンについて、「水着でかくれるところ」という言葉を使って、伝えてくれています。 読み終えた後は、いつも裸のままにされているリカちゃん人形やメルちゃんに服を着せて、プライベートゾーンを隠していました。

この絵本を初めに読むと、この後に紹介する性犯罪の話や、性器がなぜ大切なのかといった話の理解が深まると思います。


「知らない人」だけでなく、「よく知っている人」からも被害にあうことを前提に書かれています。もちろん、お父さんやお母さんにも、嫌だと思ったら「いやだ。」って伝えていいんだよと伝えることもしました。

性犯罪の半数以上が顔見知りからの被害という実情がある中、「知らない人にはついていかない。」だけの教育では子どもは守れないなと思っていたので、この本をチョイスしました。


性を、科学的かつ生物学的に理解をするのに助かる本です。

質問が出た時に一問一答的に使うもよし。
初めのページから読み聞かせていくもよし。

性行為についてもわかりやすく図式してあるので、是非、お子様と質問や疑問を投げかけあったり、意見を聞いたりしながら読み進めていって欲しい一冊です。

性行為の説明を聞き終えた娘の反応は、「おちんちんをお股の真ん中の穴に入れるなんて、痛そう。ちんちんは痛くなさそうだけど、お股は痛そう。」というものでした。

「なるほどー!確かにそうだよね。痛そうだね。心と体、両方とも大人になって、準備ができていないと痛いのかもしれないね。」と返しました。

もう少し発達段階が上がったら、大人になって痛かった時にどう伝えるか、自分を大切にしてくれる相手だったらどういう反応をしてくれるかについても話し合いたいです。

低用量ピルについても、月経のページの時に少し触れました。
ピルについては、また発達段階が変わったところで、再度詳しく話してみたいと思っています。

「男らしさ」「女らしさ」より、「自分らしさ」を大切にしようというページもありましたが、私としては、性自認やLGBTについてはもっと触れたかったので、それについては別の絵本で重点的に勉強したいと思っています。


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3冊とも、全てを読み聞かせることよりも、読みながら質問したり、一緒に考えたり、質問に答えるために絵本を使ったり、あくまでツールとして使おうと思っていましたが、娘は「これも読んで!これも読んで!」と集中して最後まで聞いていました。

各々の子どものペースに合わせてで、いいと思います。嫌がったら、また別の機会にしてもいいと思います。一度で響かせるより、何度も伝えて、深めた方がいいと、個人的には感じました。

ちなみに、「これさえ読めば性教育は完璧!」みたいな教材は今のところ見つけられていません。  それでも、性教育は早く始めることが肝心だと思うので、完璧に合う教材がなくても、自分が伝えたいメッセージに考え方があっている本を読みながら、我が子に合うようにカスタマイズして使用することをオススメしたいなと思います。



性教育をしてみてよかったこと

①性的な発言や性を面白がる様子がなくなった

娘は、Amazonプライムの恩恵?により、クレヨンしんちゃんやおぼっちゃまくんの影響を受け、性的なことを笑いにしたりといったセクハラと言える言動が目立っていました。
今まではその都度注意していましたが、性教育をした日を境に、性的な発言や性を面白がる様子が一切なくなりました。

 

②信頼関係が深まった

性犯罪についてもかねてより話してきましたが、ゆっくり腰をすえて話ができたので、親子の信頼関係が深まった気がします。何かあったら、何でもお母さんやお父さんに話していいと、再確認できたようです。
 私にくっついてくる時間も増えました。私の膝にのって、抱きついて、ニコニコしています。「相手も自分も安心するタッチはいいタッチ。」だから、ですね。


③性行為の話題がタブー化することを防げた

赤ちゃんがどうやってできるのか→性行為
のくだりは、私が懸念していたような娘がショックを感じたり、恥ずかしがったりということは全くなかったです。
 「疑問が解決されていく知的探究心」で満たされたようで、娘からたくさん質問がでて、リアクションも大きく、2人でおしゃべりが盛り上がりました。楽しかったです。
誰よりも先に娘が性行為について話したのが母になったことで、性行為の話題がタブー化することを防げたと思います。

「聞きたいこととか、質問はある?」と聞くと、
「今は思い浮かばないから、また思いついたら聞くね!」と言ってくれました。


④親である私も成長できた

娘に性教育をするにあたり、事前に最新情報を入手し、勉強したことで、親である私自身の性に関する考えをアップデートすることができました



⑤娘を大切に思っていることを伝えられた

そして何より、我が子の大切さを再確認し、娘にも自分が大切な存在であることを再確認してもらえたことが、今回性教育をしてよかった感じた一番の理由です。
 「触らせてはいけない、守らなければいけないのは、大切な存在だから。」
「産まれて来たのは、たくさんの奇跡があったから。」
が改めて伝わったようです。

娘が私を褒めてくれる機会も増えました。
この直後に作った昼ごはんには、「最高に美味しい。花丸で百点。お母さんは料理の天才だ!今日も美味しいご飯を作ってくれてありがとう!」と絶賛コメントをしてくれました(笑)



おわりに

性教育をしたことで、 沢山の奇跡が重なって娘と出会えたこと、娘がとても大切なこと、自分らしさを大切にすること、これからの時代に、自分を守っていくために必要なこと、 たくさんのことを伝えることができてよかったです。

そして、性教育に限らず、教育を学校に頼りすぎている面があったことを自白します。

 今回、改めて自分で勉強し直し、娘に伝えたいメッセージを伝えるために方法を試行錯誤して望んだ性教育。 今まで、親として「本気で伝えて」いなかったことに気づき、反省しました。

これだけは絶対に大切にしてほしいという願いをもって、本気で伝えていくとこで、想いは伝わるのだと思いました。

「これだけはということを本気で伝える」を、親も、先生も、周りの大人も、それぞれがシェアしていくのが、目指す教育の在り方なのかも知れません。

性教育は、生教育。生きることは命を大切にすること。

自分のことを大切にしてほしい。
相手のことを大切にしてほしい。
全ての命を大切にしてほしい。

願いを込めて、これからも伝えていきたです。


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