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歩きの速度で、見えたもの。

「会いたい人に会いに行く。」という、当たり前のことを、私はしてこなかった。

それどころか、外出を制限された時に、少しホッとさえした自分がいた。

今振り返ると、詰めに詰めたスケジュールとtodoに押し流されて、気持ちを感じる余裕がなかったのかもしれない。
どれがすべきことで、どれがしたいことなのか、そんなことさえわからなくなっていた。

今年の春は、がらがらの白いカレンダーを、時より眺めながら過ごしていた。

こんなに時間があったのに、私は撮ることも書くこともほとんどしなかった。ただ、日常を生きてみた。

私が住む町に、夏がやってきた。

海の家がずらっと立ち並び、人で賑わう活気ある海岸は、去年の光景。

今年は人がまばらな穏やかな海。

どちらがあたりまえの光景なんだっけ。
日常と非日常の境目があいまいになった頃、くっきりと見えたものがあった。

それは、自分の中にある、「会いたい気持ち」だった。

あの人に会いたい。

会えたら、話を聞きたい。
そして、写真を撮らせてもらいたい。
そのことを、残しておきたい。

私にとって、写真を撮ることも、文章を書くことも、「会いたい人に会う。」ことから生まれる気持ちだったのだ。

寝転がったり、ゆっくり歩いたからこそ、流されずに見えた気持ちだ。

走るのと歩くの、どちらが良いとか悪いとか、そんな話じゃない。

電車の速度だから見えるもの。
車の速度だから見えるもの。
自転車の速度だから見えるもの。
歩きの速度だからみえるもの。
立ち止まったから見えるもの。
寝転がったから見えるもの。

それぞれ見える世界は違う。

それにしても、こんなに長く、寝転がり、立ち止まり、ゆっくり歩いたのはいつぶりだったのだろうか。

おかげで、水面からは見えなかった、海底が見えた。

余白を大切にしたい。感じる余裕になるから。
つながりを大切にしたい。生きる力になるから。
そして、今を大切にしたい。それはいつか、非日常になるから。

真夏の空の下を、私はちょっとだけ駆け出した。
息を切らして、会いたい人に会いに行く。

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