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眼鏡で、きれいになる。

「眼鏡を掛けていないほうが可愛いよ」

そう言われた経験がある人は、きっと少なくないだろう。多分、発言する側は男女問わず良い意味で言ってくれているのだと思う。「眼鏡を掛けていない本当のあなたは可愛いんだよ、美しいんだよ」って。

でも、これって本当に褒め言葉なんだろうか。

「もう、これから一生眼鏡なのよ」

小学校高学年から眼鏡を常用するようになった私に、親が放った言葉。それを聞いて、絶望的な気持ちになったのを覚えている。

風邪をひいても寝たら治るし、虫歯になっても痛い治療を少し我慢すれば治ってた。なのに、眼科に通っても、もう視力は戻らないらしい。

それに両親は、これから私が一生使う道具であるはずの眼鏡を、なるべく掛けないように言う。私は眼鏡がなければ、黒板を見ることもできないのに。不思議でしょうがなかった。

そんな親の勧めもあり、高校生になるとコンタクトを使うように。それから24歳で眼鏡にどハマリするまではコンタクト(眼鏡なし)の日と眼鏡の日があったりしたわけだけど、眼鏡を掛けている日は、たいてい周囲の人にこう言われた。

「あれ、今日は眼鏡なんだ」
「眼鏡掛けてないほうがいいのに」

私が度付き眼鏡の仕上がり、つまり“見られ方”を重視する理由はここにある。多くの人が抱いているであろう、「眼鏡(往々にして度付き)を掛けていることは、掛けていないときより見た目が劣っている」という、このイメージに少しでも抗いたいのだ。

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掛けた姿に自信を持てるように

これまで眼鏡ライターとして10年以上仕事をしてきました。それは、私自身眼鏡が大好きであるということはもちろん、私と同じように眼鏡を必要とする女性には、堂々と、素敵に、そして快適に掛けてほしい。少しでも自分が掛けている姿を好きになれるような眼鏡と、そして相談に乗ってくれるお店と出逢ってほしいという思いがあるからです。

「眼鏡で、きれいになる」

これが、今私が取り組みたいテーマ。掛ける必要があるのなら、楽しく、快適に掛けたほうが良いに決まってる。さらに、眼鏡を掛けることで少しでもきれいに見せることができたら、最高だ。

「きれいになる」といっても、眼鏡は視力矯正器具ですから軽々しく語れるものではありません。それは長年取材をしてきたからこそ、重々承知しています。自分の好みや見た目を重視するあまり、見えづらくなってしまうようでは本末転倒です。

でも同時に、だからこそ、これまで“見られ方”の文脈で語られることが少なかったのではないかとも思うのです。

それゆえ、情報不足になっているのも事実で。以前に比べて素敵な眼鏡の情報は増えている一方で、その先の情報はまだまだ届いているとは言い難いのでしょう(以前に比べたら、SNSで発信してくださっているお店さんは増えているけれど)。それはたとえば、強度近視でも輪郭の凹みや眼が小さく見えるのをなるべく回避できるフレームやレンズの選び方だったり、美しく快適に掛けこなすための、フィッティングの重要性などなど。眼鏡をどう"掛けこなす”かの情報ですね。

雑誌やWEBで見つけた可愛い眼鏡を買ったはずなのに、自分が掛けた姿には自信が持てない。そんな人も多いのではないかと。これについては、自分自身の発信も足りていなかったと反省もあります。

いつまでも「眼鏡を掛けていないほうが可愛い」と言われる世の中だったら、積極的に眼鏡を掛けようという気持ちにはならないでしょう。きっとそれが、昨年話題になった「女性の職場での眼鏡禁止」の話にもつながっているはずで。

あくまで私はライターなので、悩んでいる人に解決策となる眼鏡をあつらえることはできません。「みんな私と同じようにすべし」とも思っていません。でも、眼鏡店さんに相談するきっかけを作ることはできるかもしれない。そのための発信をすることが、これまで実際に眼鏡ユーザーとして試行錯誤してきた私にできることなのだと思っています。最近、とりわけ度付き眼鏡の仕上がりについて語っているのは、そのためです。

「眼鏡で、きれいになる」。その発信方法や手段はまだまだ手探りだけど、じっくり取り組んでいきたいと思っています。

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