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リーマン・ショック期に創業し成功した10のスタートアップ (Slack, Airbnb, Uber, etc.)

お久しぶりです、Plug and Play Japan Marketing TeamのMireiです。

このアカウントのnote記事総読者数が8000人を超えたということで震え上がっております。読んでいただいている皆様本当にありがとうございます。

今日はまずこの8000人の皆様に謝らなければいけないことがあります。
これまで11本の記事で「リーマン・ショックを超える大逆風だ」などと各業界の要人と言われる方々のコメントをたびたび引用し各業界に新型コロナウイルスが及ぼした影響の大きさを説明してきましたが、私自身リーマン・ショックを社会人として経験していないので正直なところこれらの言葉は「なるほどこれは深刻な事態だ」ではなく「なるほど分からん」と思いながら書いていました。すみませんでした。。。

なんとなく分かったフリをしてしまうのは、大学の友人が「高円寺に住んでるんだよね〜」と話しているのを聞いて、高円寺という地名をそもそも聞いたことが無いのにもかかわらず(多分寺が沢山ある特殊な場所なんだろう)と適当に推測し「それ渋すぎじゃない?」という言葉をなんとか絞り出し「あんまり渋くはないかな」と一蹴されるなどしている私の悪い癖です。

というのも私、実は2000年に生まれた正真正銘のミレニアムベイビーなんですね。
2008年9月にリーマン・ショックが起きた時に私は何をしていたかな〜と振り返ってみたんですが、当時小学3年生だった私は「校庭の人工芝は激しく叩くと砂が大量に出てくる」という自分史上最大の発見をし、友達と来る日も来る日も芝を叩き大量の砂をビニール袋に収集していたところ、下地として重要な役割を担っていた砂が全て抜かれた校庭の人工芝の地面がガタガタになってしまい先生にものすごく怒られていました。まさかその頃アメリカで世界規模の金融危機が発生し株価チャートがガタガタになっていたとはつゆしらず。

ただこのように経済危機時のスタートアップの対応を発信する立場にある人間がいつまでも(いやー2008年はひたすら人工芝を叩いていたんで分からないんですよ。。)というスタンスでいてはいけない!と思い今回は以下の6点について自分なりに調べましたので皆様にお伝えしていこうと思います。今回の記事テーマは「リーマン・ショック期に創業し成功した10のスタートアップ」です。

リーマン・ショックが経済に及ぼしたかなり影響は大きかったらしい

2007年に住宅市場の価格が下落したことによって住宅バブルが崩壊。これにより大規模な負債を負ったリーマン・ブラザーズが2008年9月15日に経営破綻し世界規模の金融危機が起こりました。ダウ平均株価は1日に4.5%下がりこれは2001年のアメリカ同時多発テロ以来最大の下げ幅だったといいます。日本もこの影響を受け日経平均株価は金融危機発生から最安値まで結果的に41%下落しました。(なるほどアメリカをはじめとする多くの国が影響を受けた金融危機だったらしい。これは世界のスタートアップの資金調達にもかなりの影響を及ぼしたに違いない!)こう思った私は次に2008年付近のグローバルでの資金調達額の推移を調べてみました。

金融危機が起こってもシード期の資金調達はあまり影響を受けなかったみたい?

Crunchbaseが2020年3月24日に出した “Lessons From 2008: How The Downturn Impacted Funding Two To Four Years Out” というニュースに大変興味深い分析がありました。この記事の内容を簡単に要約すると

2008年の金融危機は世界全体の資金調達額を下落させた。でも注目したいのはシード期の調達額はシリーズ A~Cに比べて影響を受けなかったということ。その理由としては、会社設立にかかる諸費用が安くなったためシード期のスタートアップにとってはチャンスだったことや、技術革新による新たなビジネスチャンスが生まれていたことが挙げられる。
(2006年にAmazonはAmazon Web Servicesをローンチ。2007年には初代iPhoneが誕生などこの時期はクラウド・モバイル関連のスタートアップ創業の好機だったとも言えます。)

というものです。

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Source: crunchbase news

たしかに上のグラフを見てみると、Series A~Cの調達額が大幅に下がっているのに比べて左上のSeed期の調達額のグラフはフラットであまり影響を受けていないことが分かります。つまり金融危機が起こっても次世代のイノベーションを創出していたスタートアップには資金が確実に集まっていたことが分かります!そうすると気になるのは、この時期にシードの資金調達をしたスタートアップが今どうなっているのかな〜ということ。では次に2008年リーマン・ショック期に設立されたスタートアップ10社見ていきましょう!

リーマンショック直前に創業したDropbox、Twilio、Airbnb

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リーマン・ショックが起きたのは2008年9月15日。
この直前に創業した会社の中で今回私が注目したのはDropboxTwilioAirbnbの3社です。Plug and Play シリコンバレー本社も投資しているオンラインストレージサービスのDropboxは2018年に設立から11年目でIPOを達成。クラウドコミュニケーションのTwilioは2016年に設立からわずか8年でIPOしています。日本での認知度も高い宿泊施設・民宿を貸し出す人向けのウェブサイトを運営するAirbnbもこの時期に創業し今でもユニコーン企業として注目を集めています。

リーマン・ショック直後に創業した7社の中には大手企業に買収される会社も

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リーマン・ショック直後の2009年1月には、アイデアを画像検索できるビジュアルディスカバリーエンジンを運営するPinterest、多くの人が業務連絡用にお世話になっているであろうSlackが創業されました。この2社は2019年にIPOしています。

さらに翌月にはモバイル決済のSquareが創業。6年後の2015年にはIPOを達成!というスピードには驚きです。同月にはスマートフォン向けインスタントメッセンジャーアプリケーションを提供するWhatsappも創業。この会社は2014年にFacebookに190億ドル(約2兆円)で買収されています。2兆円!!!という感じですが、この買収額はFacebookが会社を設立して以来最高額だったようです。同じく2009年2月にはソフトウェア開発のプラットフォームであるGitHubが創業。こちらも後にMicrosoftに75億ドルで買収されています。

2009年4月にはモバイル決済サービスVenmoが創業。この会社は80億ドルでPlug and Playの投資先であるPayPalに買収されています。ちなみに同時期に色々と話題には事欠かないUberも創業。2019年にIPOを達成しています。

リーマン・ショック期に創業しても成功した企業の共通点は?

2006年にAmazon Web ServicesがSimple Storage Service (S3)をローンチしたことによってクラウドサービスの開発が進み、2007年には初代iPhoneが誕生したことで、モバイルサービスの開発が促進されたという背景を考慮すると以上で紹介した10社がなぜリーマン・ショック期に設立したのにもかかわらず成功したか?という疑問が解けてきます。

まずは2006年にAmazon Web ServicesがSimple Storage Service (S3)をローンチした影響を考えてみましょう。このSimple Storage Serviceというのはクラウドにデータを保存するという今となっては当たり前となった文化の先駆けにもなったサービスでした。「これからはクラウドの時代が来る」というAmazonの宣言とも受け取れます。その後、2007年にクラウドストレージサービスであるDropboxが創業。2008年にはクラウドコミュニケーションTwilioが創業され、両社ともIPOを達成できたのは時代の潮流に乗って即座にサービス開発に取り組んだからではないでしょうか?

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2007年に初代iPhoneが発表された影響はかなり大きかったと言えます。この発表が前述した6社の成功を支えました。iPhoneの普及を見込みモバイルコミュニケーション強化の必要性を見出したSlackWhatsAppは見事に時代の流れに乗りIPOと売却に成功しています。iPhoneが普及すれば決済もモバイルに移行するのではという点に目をつけたSquareVenmoのモバイル決済2社もIPOと売却に成功。直接的に影響を受けたとは言えないですが、AirbnbUberの2社はモバイル端末の普及によってグロースしたと言えます。

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このようにリーマン・ショック期に創業し成功した10社中8社がAppleとAmazonという今となってはGAFAと呼ばれるまでに成長した企業の発表を受け新時代の到来に合わせたサービスの開発を行ったことで、不況を乗り越え成功を収めています。

今回のコロナ・ショックでも経済が大きく落ち込んだため、多くのスタートアップが社員を解雇したり正社員を契約社員に変えたりしなければいけない状況に陥っています。しかしながら今回の分析からは不況期でも未来を見据えて創業をしその未来を信じ続ければ成功する可能性もあるということが分かります。

日本でリーマン・ショック期に創業したスタートアップは今どうなっているのか?

今回は主にアメリカでリーマン・ショック期に創業した10社が今どう成長しているのか?をご紹介しましたが、次に気になるのは日本でリーマン・ショック期に創業したスタートアップはどう経済危機を乗り越えたのか?ということですよね!ということで

リーマンショック期の起業家と投資家が語るコロナ禍のサバイバル戦略 (2)

6月10日(水) 13:00~14:00に「リーマン・ショック期の起業家と投資家が語るコロナ禍の成長戦略」というオンラインイベントを開催することが決定しましたリーマン・ショック期に創業したスタートアップ3社に加えて、その時期から今に至るまでスタートアップへの投資を行っている投資家の方をお招きしパネルディスカッション形式で開催いたします!

リーマン・ショック期に小学3年生だった子が20歳になってリーマン・ショックを経験した方々から"今"スタートアップが応用できる成長戦略を学ぼうとイベントを企画するという珍事をぜひ多くの方々に目撃していただきたいです。このリンクからのお申し込みお待ちしております。

<<イベント概要>>
■日時:2020年6月10日(水)13時〜14時
■開催方法:オンライン(チケットをお申し込みいただいた方には視聴方法のご案内を前日までにメールで送らせていただきます)
■参加費:無料
■定員:100名
■質問:パネリストへの質問は下記リンクから(匿名で質問ができます)
https://app.sli.do/event/dc4bsttz
<<パネリスト(順不同)>>
■田口順一 氏
2001年から幅広い領域のベンチャー企業への投資業務に従事
三菱UFJキャピタル(株)投資第二部副部長
■髙橋 恭介 氏
リーマンショックの10日後に株式会社あしたのチームを設立
株式会社あしたのチーム 代表取締役
■萩原 智啓 氏
リーマンショック直後の2009年3月に株式会社アクアビットスパイラルズを設立
株式会社アクアビットスパイラルズ代表取締役CEO
■田村 建士 氏
2008年5月 リーマン・ショック直前に創業したレイ・フロンティア株式会社に2010年に入社
レイ・フロンティア株式会社 代表取締役社長 CEO
■貴志 優紀  (モデレーター)
ロンドンで新卒研修中リーマンショックが起きる
Director, Fintech and Brand & Retail Japan / Plug and Play Japan
<<参加申込方法>>
EventRegistお申し込みページから、チケットをお申し込みください。
https://eventregist.com/e/2008_2020financialcrisis
※EventRegistでお申し込みいただいてから参加確定となります。

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