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フリーターのケンさん

私は小さいころからずっとテレビを見ている子供だった。
一人っ子で外にもあまり出ない子供だったのでおもちゃで遊んでもすぐに飽きてしまい、そうなると唯一新鮮な娯楽はテレビだった。

その時によく見ていたのがアニメだ。
アニメはいろいろな世界に私を連れて行ってくれた。
簡単に異世界にいけたし、こんな存在がいるのかと知ることができた。
その中でも特に好きだったのがおじゃる丸だった。
夕方の、夕飯前にやっている短いアニメでおじゃる丸を中心とした月光町の人々の姿が描かれている作品だ。

数々の個性的なキャラクターが出てくる作品だがその中でも最近ふと思い出すことが増えたキャラクターがフリーターのケンさんだ。
それは私が今フリーターだからかもしれない。

なぜケンさんはフリーターをしているかというと自分にぴったりの仕事を見つけるためにフリーターをしていろいろな仕事をしているらしい。
だけど実際は本当にそれが難しいことが体験してよくわかった。
自分に合う仕事を探すにしても仕事を辞めることがまず難しい。
ここ数年は人手不足が叫ばれている世の中で雇用主側はそうそう労働者を手放しはしないし、やめるにしてもこちらの心境として大変気まずいものがある。
そして次の仕事を見るけるのも難しかったりする。
どうしても同じ職種で探してしまったり、かといって全く経験のない仕事をしようにも向いてなかったりはなから未経験ということではじかれてしまうこともある。

そう考えるとフリーターのケンさんってかなりすごいのではないか…?と思った。
そもそもコミュニケーション能力が尋常ではない。
月光町の人々がいい人ばかりということはもちろんあるがフリーターのケンさん自体コミュニケーション能力がかなり高いのでどんな職業でも人と打ち解けるのが苦にならないのだろうな、と思った。
正直仕事をするうえで大事なのは技術力でも器用さでもなくコミュニケーション能力だと私は思っている。
これさえあれば多少仕事でミスをしても周りが仕方がないなぁと言ってリカバリーをしてくれるしできないことがあったとしても周りがなんだかんだやってくれたりする。
逆にコミュニケーション能力が低い人だったり嫌われている人だとそういうのが一切ないので自分のしりぬぐいは完全に自分でしなければならなくなり最終的に職場にいづらくなりやめる、という結末になる。
これは仕事がどんなにできる人でも同じことが言える。

そういった観点から見てフリーターのケンさんはかなりすごい人だということがわかる。
そしてケンさんについて調べてみたところなんと今まで経験した仕事の数はざっと400を超えるというのだ。驚きだ。
NHKのホームページが見れなくなっていたのでウィキペディアの情報ではあるが300は確実に超えているようなのですごいとしか言いようがない。

天職を見つけるためにいろいろな仕事をしているケンさん。
この存在を小さい時に知れたのはかなり今の自分が救われている気がする。
今の私は特にやりたいことがあるわけでもケンさんのように天職を見つけるためでもなく楽に生きていきたいからという理由だけでフリーターをやっているのだが小さい時に”フリーター”というワードを知れたこと、そしてケンさんのように前向きに未来を見据えてひたすらポジティブに進む姿を小さいころから見れたということ。これは本当にでかいと思う。

正直アニメと現実では全く違うという方ももちろんいるとは思う。
そして今の私の現状を振り返って多少落ち込むことも当然ある。
だけど心の隅でフリーターのケンさんが応援してくれてるのでまだなんとなく頑張ろうと思える。
このフリーターという期間も何かの役に立つと信じて。

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