見出し画像

SXSW2018 | コミュニケーションアプリの進化に見る、“URL to IRL”のトレンド

人生100年時代に自分が健やかに生きるためには、周りの人達とのつながりをどう構築していくか?どう共感を作っていけるのか?ということがSXSW2018では多く議論されました。

未知なる出会い から 身近な人との親交 へとコミュニケーション欲求は動いている|ベストスピーカーのエステル・ペレル

象徴的な出来事として、愛を研究する心理学者のエステル・ペレル氏がSXSW2018のBest Speakerに選ばれた事があげられます。今までとは違った問題へのアプローチに、人々の興味関心が高まりつつあります。

エステル・ペレル氏は、愛やエロス、セックスを専門にする心理カウンセラーです。彼女は有名なTEDスピーカーでもあり、今の時代の価値観を反映した示唆に富むプレゼンテーションで有名です。

I imagine a world in which we can experience our relationships with a sense of vitality, aliveness, and vibrancy, because I live with one perennial truth: the quality of your relationships is what determines the quality of your life.

彼女が2018年に話したのは、「人生の質=人間関係の質」であるということです。SXSWでは多くの未来の議論、特に2015年あたりまではテクノロジーの話が中心に行われてきましたが、自分の人間関係がどうあるべきか?という極めてアナログなところを考えるきっかけを与え、人々を魅了しました。

恋愛のスタイル、家族の形など、ルールは常に変化しています。今までのロールモデルに捕らわれているのが果たして幸せなのでしょうか?
自由でいたい、もっと仲良くなりたい、だけど近すぎて束縛しすぎてもいけない、知らない・秘密のロマンスの部分も作りたい...そんな複雑な感情を私たちは抱えています。果たして、私はどうしたいのか?に耳をもっと傾ける必要があります。

おそらくこの分野にもっとテクノロジーの手助けができるのではないかと私は感じました。

コミュニケーションアプリに見る、欲求の移り変わり

ペレル氏が話す流れは、コミュニケーションアプリの傾向からみ見て取れます。

2011年〜見知らぬ人と出会いたい社会の空気感:
スマートフォンの普及とともに、SXSWでも2011年頃から位置情報サービスが話題となり、デートアプリの走りとなった位置情報ベースのゲイ向け出会い系アプリGrindrが出てきました。
その後、日本でも有名なtinderが社会現象となるほどに現在では一般化し、見知らぬ人との出会いは簡単になりました。

2014年〜実のある出会いがしたい社会の空気感:
その後、2014・2015年あたりから変化が現れます。
tinderの創業者のホイットニー氏が「マッチしたらまずは女性から話しかける」というルールのアプリBumbleを作って大ヒット。現在は2900万人ものアクティブユーザーを抱えるサービスになりました。
同社は数年前に、そこで集まったアクティブな女性達のコミュニティを活かし、bumble bff(親友作り)・bumble bizz(ビジネスマッチング)という新機能も追加して事業を拡大。
#metooムーブメントもあり 、SXSW2018ではbumbleの創業者ホイットニー氏が、女性同士のリアルな深いつながりを強くする必要性とともに、インターネットの世界も、より男女に開かれたものにしていく必要があると話しました。

2018年〜身近な人とのコミュニケーションを深めたい社会の空気感:
SXSW2018で話題なったサービスの一つとして、「Go Happy」があります。

現在はピボッドしてしまいましたが、当初は家族や恋人、友達同士などの身近な人との時間を豊かなものにしてくれるマイクロCRMサービスとして発表しました。

「今日飲みにいきたいけど、、(誰かに連絡するまでもないか...)」という時に、最近あってない友人をリマインドしてくれたりすると、人間関係をより深くしていけるのではないでしょうか。

この他にも、リアルなつながり自体を強めるアプリが2018年から多く登場し始めており、時代の変化を象徴する兆しと言えるでしょう。引き続き注目していきたい分野です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?