20190604タイトル

超高解像度でみる内閣支持率と政党支持率――2013年から直近までの動き

毎週更新している内閣支持率と政党支持率のグラフについて、もっと長いスパンでのグラフを出してほしいという要望をもらったので、第二次安倍内閣が発足してからの推移を通してみられるよう、2013年以降を書き出してみました。

全ての定例世論調査を用いた平均です。

●内閣支持率・不支持率

内閣支持率は初期の頃はかなり高く、2013年春のピーク時は68%程度ありました。そこからは上下しながら緩やかに低下し、2015年7月と9月には安保法の強行採決が深い溝となっています。しかし安保から経済に力点を変えてからの1年半は上昇基調で、トランプ当選後の2017年1~2月には58%のピークにいたります。

その後には二度の急落があります。一度目は森友・加計学園問題をはじめ、共謀罪、PKO日報、都議選など下落要因が多かった時期で、二度目は公文書改竄の発覚と同時期です。

2019年4月になると新元号発表に前後して内閣支持率は5~6ポイントほどの上昇を見せました。その後は横ばいで、現在は平均49.5%となっています。

●政党支持率

●政党支持率(15%未満拡大)

ここからは各政党を個別に見ていきます。(なお、複雑になりすぎないよう、上のグラフには一部掲載していない政党があります)

●無党派層

支持政党を持たない無党派層は通常、40%前後の高水準にありますが、選挙のたびに鋭く落ち込みます。これは選挙ブーストに対応するもので、落ち込んだ分は多くが野党側の支持率に変わります。

【選挙ブースト】
主に国政選挙の公示から投開票に前後して、政党支持率が急上昇する現象。

●自民党

自民党の支持率は、35~40%程度で安定して推移しています。ただしこれは、選挙における集票力よりも過剰に高い値となっています(ここでは解説は避けますが、第一党効果によるものです)。

内閣支持率と合わせてみると、強行採決や政権のスキャンダル発生時に連動して下落していることや、その一方で内閣支持率の「底」を支えていることがわかります。なお、この時期の自民党は選挙ブーストがほとんどありません。

●民主党・民進党・立憲民主党・国民民主党

民主党は47回衆院選(2014年)に大きな選挙ブーストがありました。このときは支持率が段差をなしており、選挙を通じて支持層を固め、拡大していることがうかがえます。選挙ブーストの一つの典型例です。

現在は、国民民主党の支持率が1%弱、立憲民主党の支持率が6%強で推移しています。

●公明党

公明党の支持率はとても安定しています。選挙ブーストは弱いものの見られることがあります。2014年の衆院選ところなど、弱い段差型という感じです。

●共産党

共産党は2度の大きな選挙ブーストで支持層を拡大してきました。一度目は23回参院選(2013年)、二度目は47回衆院選(2014年)で、いずれも段差型です。

しかし24回参院選(2016年)の選挙ブーストは一時的なもので、段差を持たない「ピーク型」となっています。これは選挙時に一時的な注目によって支持率が上がっているものの、選挙が終わればすぐに支持が離れてしまうような場合です。支持率はその後、2018年なかばまで緩やかに低下し、その後は3%でおおむね横ばいとなりました。

●維新

維新は鋭い選挙ブーストが一目瞭然です。最近では、2019年4月の大阪12区補選や大阪府知事選、市長選、府議選、市議選を経て、2ポイントほどのブーストが起こりました。今は落ちているようですが、段差分がどれくらい残るのかが気になります。これまでの傾向からして、参院選の告示後はまた上がりそうです。


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与党列島と野党列島――世論調査から知る日本の姿(Webちくま)

うちには先月末に見本が届きました。トトロたちが読んでいます。

ここに掲載した内閣支持率のグラフも解説付きで載せました。


ぼくのパソコンはいつも猫さんです(灬╹ω╹灬)

出版後は、疑問や質問にできるだけ答えますね!

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