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去年の夏、内閣不支持層に激変があった

日テレ、読売、朝日の3社の世論調査をもとにして内閣不支持層の動きを考えます。

日本テレビの世論調査では、内閣不支持率(内閣を支持「しない」有権者の割合)は2014年以降このように推移しています。

この内閣不支持率を理由別にわけて表示したのが下のグラフです。強固と思われる理由から順に積み上げており、下から「人柄」「閣僚」「政策」「支持政党の内閣でないから」「リーダーシップ」「特に理由なし」「その他」「わからない・答えない」となっています。

グラフの見方の一例を示しました。

安保法が衆院で採決された後の時期を例にあげてみます。これは理由別に内閣不支持率の内訳を示したものなので、グラフの上端が当時の内閣不支持率と一致することになります。また、グラフ最下層の「安倍総理の人柄が信頼できないから」を見ると、当時の不支持率のうち安倍総理の人柄が理由となる部分が9.8ポイントであることに対応しています。

この理由別のグラフで最も注目なのは「人柄」の推移です。2017年5月から8月にかけて、安倍総理の人柄を理由とする不支持は急上昇しました。そしてその「人柄」による不支持は今に至るまで段差として残っていることが読み取れます。


読売新聞世論調査の傾向

さて、ここまでの話は「内閣支持率急落の情勢を『支持理由』から見る」でも触れてきたことです。しかしそのときは「世論調査は複数のものを見るべきなので今後の検討が必要」として終えていたのでした。

そこで今回は読売の調査もグラフにしてみました。下から順に「首相が信頼できない」「閣僚」「政策」「自民党中心の政権だから」「指導力」「これまでの内閣の方が良い」「その他」「わからない、答えない」と、先の日テレと同様に強固と思われる理由から積み上げています(真ん中あたりの並び順にはあまり意味はないですけどね)。

説明を書き込んでみます(※2017年10月~11月は世論調査の詳報に理由別の質問と回答がないため、飛ばしています)

「首相が信頼できない」の推移を追っていくと、読売では2017年7月から8月にかけて不支持率の大きなピークが見られます。これはその後、減少しつつも以前とは異なる大きな領域を占め続けており、直近ではまた跳ね上がりつつあることがわかります。


朝日新聞世論調査の傾向

今度は朝日の調査をもとにして、不支持の理由として下から順に「首相が安倍さん」「自民党中心の内閣」「政策の面」「他の方がよさそう・なんとなく」「その他」と積み上げたグラフです。

こちらも説明を書き込んでおきます。

※朝日新聞の世論調査では2016年7月調査から選択肢が変更され、それ以前の「なんとなく」が「他の方がよさそう」に変わりました。もっとも、不支持率に関しては変更の前後で大きな影響はないようです。

グラフ最下層の「首相が安倍さん」を見ると、日テレの「安倍総理の人柄が信頼できないから」や読売の「首相が信頼できない」と同様の傾向で、2017年8月のピーク後の段差が明らかですね。


固い内閣不支持層の形成

以上で見てきた日テレ、読売、朝日によるいずれの調査でも、2017年8月までの数か月間で内閣不支持率の理由別構成が大きく変わっていたことがわかりました。

ご存知の通り、この時期には森友学園や加計学園が大きな問題として持ち上がっていました。組織的犯罪処罰法改正案の国会審議と採決、自衛隊のPKO日報問題、豊田議員による暴行の報道、都議選での安倍首相の「こんな人たち」発言や自民党の敗北なども同時期におきています。

こういった状況の中で不支持率が上昇していったことについて、よく失言やスキャンダルをマスコミが取り上げたからだという説明がされます。しかし単なる失言やスキャンダルのせいにするのも報道におしつけるのも一面的でしかなく、実際は「問題そのもの」と「問題に向き合う安倍政権の姿勢」の両方が不支持率を上昇させ続けることになったのではないでしょうか。その問題と向き合うべき安倍首相の姿勢に批判の目が向いたからこそ、不支持率にしめる首相の人柄や信頼の割合がこんなにも増えたのではないでしょうか。

この時期、固い政権批判層が急激に形成されたとみて良いと思われます。そしてこのとき跳ね上がった「人柄」を理由とする不支持層は、その後も解消されずに段差として残ることになったのです。