上士幌MaaSプロジェクトに学ぶ

2019年10月5日〜7日、道東の上士幌町でMaaSプロジェクトの実証実験が行われたことについて知りました。
道東の移動の未来について考える時のヒントになりそうなので、調べてみました。

このプロジェクトは、北海道上士幌町、Japan Innovation Challenge 実行委員会、SB ドライブ株式会社および株式会社 MaaS Tech Japanが共同で行ったもので、経済産業省および国土交通省が推進する新しいモビリティーサービスの社会実装に挑戦する地域などを応援するプロジェクト「スマートモビ リティチャレンジ」の一環として行われました。
正式なプロジェクト名は「生涯活躍のまち上士幌 MaaS プロジェクト」です。

プロジェクトの目的は、
1) 住民のために 〜外出の機会の創出〜
2) 観光客のために 〜観光地への移動を簡単に〜
の2つです。

私は前回のnoteの中で、MaaS、カーシェア、ライドシェアは、対象別に
①人口集中地域を移動する住民向け
②人口集中地域・過疎地域を合わせた広域を移動する観光客向け
③過疎地域を移動する高齢者向け
の3つに分けられるのではないかと書きました。

今回の取組のうち1つ目が、「過疎地域を移動する観光客を対象とした複数の移動手段をまとめて使えるMaaSのサービス」、
2つ目が「過疎地域を移動する高齢者を対象としたデマンド型バスに商品配送の付加価値を加えたMaaSサービス」
ではないかと思います。

また、前回のnoteでMaaSにおけるサービスの違いを考察しませんでしたが、上士幌町の例を見てもMaaSには大きく分けて以下2つの種類があるように思えます。

A. 色々な移動手段をまとめて使えるサービス
B. 移動に他の付加価値がついたサービス

Aの方は、フィンランド発のアプリ「Whim(ウィム)」が最もわかりやすい例だと思います。

一方、Bの方は少しわかりにくいですが、政府広報オンラインのページで
『MaaSによるサービスでは、スマートフォンのアプリを立ち上げれば、出発地から目的地までの交通手段の検索から予約・支払いまでができ、さらには、観光案内、飲食店やホテルの予約・支払い、または病院や行政サービスなどの予約・支払いも一括して行うことが可能となります。』
と説明されているのを参考にできます。

つまり、移動の検索、予約、支払いに加えて、飲食店などの予約支払いもできるという広義的なMaaSのサービスになっているかと思います。

日本において、小田急電鉄が昨年10月に実証実験を行ったアプリのエモットがこれにあたるのではないかと思います。
エモットを使うと、小田急の電車が乗れるだけでなく、系列の商業施設の買い物がお得になったり、駅内のお店でおにぎりやそばを食べるのがお得になります。

上士幌町の具体的なプロジェクトの内容は、資料に詳しく説明されていますが、まとめると以下のとおりです。

1) 住民のために 〜外出の機会の創出〜
*スーパーと住宅地を往復する新しいルートの自動運転バス運行
*スーパーの商品配送
【B. 移動に他の付加価値がついたサービス】

2) 観光客のために 〜観光地への移動を簡単に〜
*色々な移動手段を使えるアプリ
*新しい移動手段の実証
【A. 色々な移動手段をまとめて使えるサービス】

1では、商品配送を行うという点で小田急のエモットなどとも違う新しいサービスが盛り込まれていました。
現状、北海道で多くの店舗を展開するコープさっぽろがトドックというサービスを行なっていますが、それに近いのではと思います。

2では、電動自転車や電動キックボードなどの新しい移動手段の実証を行われていました。
実際に使った観光客からどのような声が得られたのかとても興味があります。

今回、上士幌のMaaSの事例を知ることがてきて、少しだけ理解が深まった気がします。
今後もさまざまな事例を調べて学んでいきたいです。

○参考リンク
「生涯活躍のまち上士幌MaaSプロジェクト」の実証実験を開始 | 株式会社TKFのプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000049002.html

生涯活躍のまち上士幌MaaSプロジェクト | Japan Innovation Challenge
https://www.innovation-challenge.jp/maas/visitor/

生涯活躍のまち上士幌MaaSプロジェクト(北海道 上士幌町) | NRI資料 スマートシティプロジェクト スマートシティ官民連携プラットフォームHPより
https://www.mlit.go.jp/scpf/projects/docs/smartcityproject_meti%2010_kamishihoro.pdf

スマートシティプロジェクト|スマートシティ官民連携プラットフォーム
https://www.mlit.go.jp/scpf/projects/index.html

フィンランド発MaaSアプリが12月に日本上陸 ── 2020年は「MaaS元年」になるか | Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/post-201656

「移動」の概念が変わる? 新たな移動サービス「MaaS(マース)」 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201912/1.html

MaaSアプリ「EMot(エモット)」サービスイン
| 小田急株式会社プレスリリース 2019年10月7日
https://www.odakyu.jp/news/o5oaa1000001mstg-att/o5oaa1000001mstn.pdf

未来の移動サービスをひと足先に体験!北海道・上士幌町でのMaaS実証実験、視察レポート【前編】 | カルモマガジン
https://car-mo.jp/mag/category/news/future/reports_1/

未来の移動サービスをひと足先に体験!北海道・上士幌町でのMaaS実証実験、視察レポート【後編】 | カルモマガジン
https://car-mo.jp/mag/category/news/future/reports_2/

コープ宅配システム トドック【eトドック】|コープさっぽろ
https://www.etodok.jp/

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