道東の移動の将来についてMaaS・カーシェア・ライドシェアを通して考えたい

道東では公共交通機関や自家用車による移動がなされていますが、将来的により便利な移動方法が確保されれば、もっと道東での生活は豊かになります。
今回は、ITの普及にともない注目されているMaaS、カーシェア、ライドシェアといった新たなサービスの可能性について考えていこうと思います。

はじめに、それぞれの言葉の定義を調べてみました。
まず、MaaSについて日本の政府広報オンラインの中で、
『「MaaS(Mobility as a Service)」とは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスです。』
と説明されています。

次に、カーシェアリングについて、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団のHPで、
『カーシェアリングとは、1台の自動車を複数の会員が共同で利用する自動車の新しい利用形態で、当初は仲間同士等で自然発生的に行われていたものが、組織的に運営されるようになったものです。』
と紹介されています。

最後に、ライドシェアについて、一般財団法人日本エネルギー経済研究所のHPに掲載された記事の中で、
『ライドシェアは、配車サービス会社が提供するアプリ上で、ドライバーと利用者をマッチン グするサービスである。対して、カーシェアは、決まった時間の間、車両の貸し出しを行う サービスである。』
と書かれています。

これを読んで、
『MaaSは、公共交通機関やレンタカーを一括で使えるアプリ』『カーシェアは、個人が集まって行うレンタカー』『ライドシェアは、相乗り(白タク)を合法化したもの』
と私はイメージしました(わかりやすい比較を専門家の方にしていただきたいです)。

北海道におけるMaaS、カーシェア、ライドシェアの取組を調べてみると、
『NTTとさっぽろ連携中枢都市圏とのまちづくりパートナー協定』
『札幌や帯広などのカーシェアリング』
『ひがし北海道での観光型MaaS』
『北海道十勝MaaS実証実験』
『マドラー株式会社の厚真町におけるモビリティインフラ構想』
『天塩稚内間の相乗り交通事業』
などが出てきています。

私は、これらの取組を
①人口集中地域を移動する住民向け
②人口集中地域・過疎地域を合わせた広域を移動する観光客向け
③過疎地域を移動する高齢者向け
の3つに分けて考えました。

まず、①人口集中地域を移動する住民向けとしては、NTTとさっぽろ連携中枢都市圏とのまちづくりパートナー協定や札幌などに広がるタイムズカーシェアがあげられます。
前者はまだ協定が結ばれた段階ですが、後者は普及がかなり進んでいます。
現状でもキタカを使えば札幌圏内の多くの地下鉄やバスを使える状況ですが、さらに便利な交通系アプリが出て、カーシェアやタクシーなどと連携することを期待したいです。

次に、②人口集中地域・過疎地域を合わせた広域を移動する観光客向けとして、ひがし北海道や十勝で先進的に行われているMaaSの取組があります。アプリを使って電車、バスなどを一括して予約できるサービスのようですが、JR北海道が従来行っていたレンタカーサービスに近いものではないかと感じます。こちらは、電話や日本語サイトで予約が必要だった交通手段を使いたい外国人観光客向けに普及するのではと思います。

最後に、③過疎地域を移動する高齢者向けのサービスですが、
『デマンド型バスに新たな付加価値を加えたサービス』
『ボランティアドライバーによる相乗りサービス』
が始まっています。
厚真町と天塩町ではそれぞれ実証実験が行われているようですが、個人的にこれらのサービスが1番興味があります。
なぜなら、MaaSやライドシェアなどを相乗り(白タク)の法的な制約や公的サービスの限界の中で民間事業として収益化するのは非常に難しそうだからです。
日本では東京でもUBERがライドシェアサービスを行えていませんが、ライドシェアを過疎地域に導入するというのはかなりチャレンジングな発想だと思います。
また、デマンド型バスに付加価値をつけることについては、町の事業として連携して行う事業を収益化する限界があるのではないかと感じます(その壁を乗り越えてぜひサービスを実現してほしい所です)。

自動運転ラボのHPでは、地方版MaaSのメリットがこう書かれています。
『基幹となる鉄道やバス路線を軸に、デマンドバスやタクシーなどを効率的かつ利用しやすい形で提供することで新たな需要を喚起し、顧客減に歯止めをかけながらコスト削減に努めることで事業の継続性を確保していくことができる。』
『マイカー非所有者も、やや遠方のスーパーや病院に安心して出かけることが可能になる』

これらのメリットを発揮するMaaS(あるいは、カーシェア、ライドシェア)を実現する方法を今後考えていきたいです。

ちなみに、地方のカーシェアに関しては、高齢者同士の話し合いの中で相乗りを行うコミュニティカーシェアリングの取組が東北などで始まっています。こちらも要チェックです。

○参考リンク
総務省|情報通信統計データベース|次世代の交通 MaaS
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000045.html

「移動」の概念が変わる? 新たな移動サービス「MaaS(マース)」 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201912/1.html

カーシェアリング:公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団
http://www.ecomo.or.jp/environment/carshare/carshare_top.html

ライドシェアの現状と日本における導入方法の検討 IEEJ: 太田 充亮 2019年3月掲載 一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 - IEEJ -HPよりhttps://eneken.ieej.or.jp/journal/smartcommunity/smartcommunity.html

なぜ日本は「MaaS」の主導権を海外勢に奪われるのか? 根本にある2つの理由 |ビジネス+IT
https://www.sbbit.jp/article/cont1/36653

“人の移動”に変革をもたらす『MaaS(マース)』とは? 交通手段の未来像を解説します|TIME&SPACE by KDDI
https://time-space.kddi.com/ict-keywords/20191025/2762

NTT、MaaSなど推進へさっぽろ連携中枢都市圏とまちづくりパートナー協定 – 自動運転ラボhttps://jidounten-lab.com/w_ntt-sapporo-ken-maas

日本版 MaaS の「先行モデル事業」交付式を開催します! ~ひがし北海道で観光地型 MaaS の実証実験をスタート~
北海道運輸局
http://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/press/presspdf/201908/20190822.pdf

北海道十勝MaaS実証実験 | 総合政策部交通政策局交通企画課
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/hokkaido-tokachi-maas.htm

北海道のレンタカー予約は駅・空港からすぐ近くのJR北海道レンタカーへ | JR北海道レンタカーHP
https://www.jrh-rentacar.jp/phpapp/index.phtml

MaaSの3類型「都市版」「地方版」「観光型」、それぞれのメリットは? – 自動運転ラボ
https://jidounten-lab.com/u_maas-live-ranking

【保存版】ライドシェアとは?日本での規制と特区制度まとめ – 自動運転ラボ
https://jidounten-lab.com/u_rideshare-rule-japan

ウーバーは日本のライドシェアを断念したのか | 経営 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
https://toyokeizai.net/articles/-/299935?display=b

コミュニティ・カーシェアリング|日本カーシェアリング協会
https://www.japan-csa.org/action/carshare.php

カーシェア・マップ:北海道のカーシェアリング・ステーションを地図から検索
https://carsharemap.jp/hokkaido

天塩-稚内 相乗り交通事業 | 長距離ライドシェア(相乗り)- notteco(のってこ!)
http://lp.notteco.jp/teshio/

Mobility Meets Community ローカル発モビリティのあり方 マドラーHP
http://muddler-service.mystrikingly.com/

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