会社案内文の書き方
会社案内文はどう書けばよいのか?
会社案内文といえば、企業のウエブサイトやパンフレットを作る際、欠かせないもののひとつです。じつは私もその昔、ライターとしてまがりなりにも関わってきた分野なのですが、これまでその書き方を意識して考えたことはほとんどありませんでした。
じゃあ、意識しなくても書けたのかよ、すごいじゃん? とかいわれると困ってしまうのですが、とにかくこれまでは、一般的な記事やコピーを作成する際と同様、なんとなく、つまり勘で書いていたように思います。
しかし、これでは困ります。いつまでも勘頼みではいつなんどき勘を生み出すインスピレーションの泉が涸れてしまうかわからないからです。
そこで遅ればせながらではありますが、会社案内はどのように書いたらよいのか、をあらためて考えてみました。
ということで、試しにネットを探してみたら「取材と文章作成 エディラボ」というたいへん参考になる記事を見つけました。
とてもよくできた内容で、もはや私の出る幕はないかとも思いましたが、気を取り直し、ここではそれを参考にさせてもらいながら、例の問答式三行作文術の視点も加えた私なりのコツを書いてみようと思います。
※現在、リンク先の内容が変更されているようです。
会社案内文の書き方 4つのステップ
第一ステップ 紹介したい事業を選ぶ
まず紹介したい事業を選びます。参考にした記事には「5つ選べ」とありますが、ここでは5つも必要ありませんので、とりあえず一番紹介したい事業をひとつだけお選びください。
第二ステップ 記載すべき内容を整理する
選んだ事業について次の内容を整理して書き出します。
●それはどんな事業なのか?
●それはお客様にどんなメリットを提供しているのか?
●そのメリットの根拠は何か?
●競合他社とどこが違うのか?
ここで「記載すべき内容」がいずれも「問い」に対する「答え」であることに留意してください。このことはあとで説明する作文方程式とも密接にからんできます‥。
第三ステップ 文章のアウトラインを作成する
第二ステップで整理した要素をもとに文章のアウトラインを組み立てます。その際、上のサイトで紹介されている以下のテンプレートを使うと効率よく組み立てられます。
弊社は〜を行っています。
それはお客様に〜という利益を提供します。
その根拠は〜です。
それは他社に比べて〜という特長があります。
ここでのポイントは主語と述語を明確にすると同時に一文一意を原則とすることです。またその際、修飾語など枝葉の部分はなるべく削ぎ落としましょう。できるだけ「AはBである」というシンプルな文にするのがコツです。こうすることで文の骨格が安定し、後で枝葉となる語句を付け加えてもねじれのないわかりやすい文に仕上げることができます。
第四ステップ 文章を整える
最後に日本語として読みやすいよう表現を整えましょう。プロのコピーライターであればここからが腕のみせどころです。レトリックを存分に駆使して表現の翼を自由に広げてください。
ただし、プロでない素人がいきなり凝ったレトリックに走るのはおすすめできません。レトリックの本質は伝えたいことをよりわかりやすく直感的に伝えるためのテクニックです。レトリックのせいでわかりにくくなってしまっては本末転倒です。
いいたいことがきちんと伝わるのであれば日本語として少々たどたどしくても無理に表現をいじるのはやめましょう。少なくともレトリックに凝りすぎたせいで何を言っているのかわからないよりはるかにましです。
以上、4つのステップで完成です。
考察:方程式文にあてはまるか?
参考までにこれを例の問答式三行作文術という観点から考察してみましょう。
他のところで何度も出てきましたが、三行作文術の公式は次の通りでしたね。
AはBである
理由はCである
だからDだよね
まずここでの問い(A)とはなんでしょうか?
会社案内ですから当然「その会社(事業)はどんなものですか?」になるはずです。
Bはその答えでしたね。
ということは、その答えが会社案内文の中核をなすと予想されます。
ではCおよびDの部分は何をもってくればよいのでしょうか?
実は会社案内文においてはこのふたつはあまり重要ではありません。場合によっては省略してもかまわない部分です。実際、CやDまで備えた完全な構造を持つ会社案内文はあまり多くありません。
通常は、
AはBである
の形で終わるのがほとんどです。
先ほどのアウトラインでいえば
弊社は〜を行っています。
→「どんな会社なのか?」に対する答え
それはお客様に〜という利益を提供します。
→「それは私にどんなメリットがあるのか?」に対する答え
その根拠は〜です。
→「なぜそのようなメリットが得られるのか?」に対する答え
それは他社に比べて〜という特長があります。
→「競合他社とどこが違うのか?」に対する答え
となっており、よくみればわかるようにこれは複数の問いに対する答えの羅列でしかありません(もちろん「問い」自体はかくれています)。
したがって作文公式でいえば
会社案内文というのは
AはBである
理由はCである
だからDだよね
というひとつの問いをめぐって展開する完全な文章構造ではなく、
そのうち最初の一行
AはBである の部分だけが複数並列してひとつの文章をなす構造、すなわち
A1はB1である
A2はB2である
A3はB3である
‥
というシンプルな構造のものが多いのです。
これは短い文章の中でできるだけ多くのことを伝えるという目的から必要に迫られてそのような形式になったものと推測されます。
会社案内文の「問い」を明確に意識する
では会社案内文に含まれる問いとはいったいどのようなものでしょうか?
代表的なのは以下の4つです。
●それはどんな事業なのか?
●それは私にどんなメリットがあるのか?
●なぜそのようなメリットが得られるのか?
●競合他社とどこが違うのか?
通常はこの4つの問いに対する答えを順を追って列挙したものが会社案内文の基本構造になります。
具体例で確認してみましょう。これはさきほどの参考記事の中から文章例をお借りしたものです。
弊社は産業用の機械製作を行っています。
現在、○○や○○の分野で多くの実績があります。
○○規模の工場でも実績があります。
○年の歴史がありすでに○件を手がけてきました。
お客様のコストダウンを実現し、工場内の作業効率をもっと高めます。
自社で製作するより低コストできめ細かいフォローが可能です。
人員の動線については長く研究してきました。
お客様の予算に合わせて材料を選択することができます。
弊社は設計から製作まで一括管理という特長があるので、より短期間で納品可能となります。
事前のヒアリングで安心いただけることが多いです。
専門の担当者が一貫してお客様の窓口となります。
部品ごとに並行して製作し時間短縮をはかっています。
いかがでしょうか? ここにあるのは、ひとつの問いをめぐって論理がぐるりと展開する通常の文章の形式ではなく、複数の問いに対してそれぞれの答えが単純に羅列される形式であるのがおわかりいただけるかと思います。
もちろん会社案内文の場合でも、通常の文章と同じような「A(問い)」「B(答え)」「C(理由)」「D(まとめ)」のある完全な文章として仕上げることも可能です。その場合は、
A 1
A1はBである
理由はCである
だからDだよね
A2
A2はBである
理由はCである
だからDだよね
A3
A3はBである
理由はCである
だからDだよね
という具合に問いの数だけ完全な文章が出来上がることになります。
追記:会社案内文の柱となるのも「問い」とその「答え」
会社案内文というのは、「その事業(サービス)は(需要者である)私にどんな利益を与えるの?」という問いに対する答えと見る事もできます。
ここで、上記のアウトラインをもとに再度公式文にあてはめてみましょう。
まずAに相当するのは、「それは私にどんなメリットがあるのか?」という問いです。
Bがその答えですから、ここではその「メリット」を答えます。
次にその理由であるCですが、これは「なぜそのようなメリットが得られるのか?」という「根拠」に相当します。
最後のDは「だから「他社(製品)と比べてココが違うんだよね」という結論、もしくはだめ押しの部分になります。
ちなみにアウトラインの最初にある「弊社は〜を行っています」の部分は、書き出し、すなわち話題提供の部分に相当するといえるでしょう。
以上を「三行作文テンプレート」にしたがって整理し直してみると、次のようにきれいに腑分けできることがわかります。
話題
弊社は〜を行っています
問い
それは私にどんなメリットがあるのか?
答え
そのメリット
論証
「なぜそのようなメリットが得られるのか?」その根拠
まとめ
「だから他社(製品)と比べてココが違う!」
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