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2023年終わりに向けての為替相場の考え方

米国のCPIが発表となり、為替にもどう影響が出るかと市場関係者も見ているでしょう。

11月のCPIはは前年比3.2%上昇から3.1%上昇へと低下しました。ただ、コアCPIは前年比4%上昇と先月と変わらない上昇率でした。

(出典:TRADING ECONOMICS/米国インフレ率)
(出典:TRADING ECONOMICS/米国コアインフレ率)

ドルー円の為替はこのところ値動きが大きくなっています。

(出典:TRADING ECONOMICS/ドルー円為替レート)

12月7日には一時1ドル141円の円高があり、驚きが広がりました。そのあとは144円、145円と戻していきました。

一方的な円安だったのが円高傾向になった(とはいえ144付近ですが)理由を考えてみます。

①23年11月の米国のインフレ鈍化の予想から23年12月の利上げは無くなり、2024年は逆に「利下げが確実になった」と、金融市場の投資家の多くが見ていたこと。

②逆に植田日銀総裁は「1ドル150円を過度の円安」と見ていて、円安の原因であるマイナス金利政策を解除する可能性が大きくなったと投資家が見ていたこと。

上記のグラフは日米金利差とドルー円の金利差を重ねたグラフです。

2020年のコロナ前の1ドルが107円から108円あたりだったころの日米金利差は1.5%付近でした。そこから日米金利差が上がると共に、円安に向かっていることが分かります。

この相関グラフにおいて、やはり日米金利差と為替には関係が深いことが分かります。ただし、実際のドルー円相場では、直近の金利差だけでなく「3カ月くらい先の日米金利差」を投資家が心のうちに織り込んで、ドルー円の通貨ペアを売買しています。

こういった投資家の考え方が反映しているのが現在の145円付近の為替ということです。

(出典:TRADING ECONOMICS/ドルー円為替相場)

現在は、米国CPIの発表を受け、明日のFOMCでは金利は維持されるとの予想が大半です。2024年の5月の予測となると、利下げの予測が49.4%となり、2024年は利下げという観測です。

その為、2024年の米国金利の低下、円金利の上昇を予想する人が多数派であるため、145円付近のピークからすると円高傾向となっています。

(出典:CMEのFedWatchツール)
(出典:CMEのFedWatchツール)

日本の金利は現在0.73%付近です。この米国FRBの金利政策と、日銀の金融政策によって日米金利差がどうなるか?やはり、ここがドル-円の焦点であることは間違いなさそうです。

円高になると、円建ての日本株は上がったドルからは下がったように見えるので、米国ファンドは一般的に「売り」を増やします。

金価格も国際的なドル建ての卸価格を1グラムの円建てに変換するので、ドル価格が上がっていても、円高では円高の分下げます。

株価や金融商品の短期的価格の動きのほとんどは、コンピュータアルゴリズムでの自動高速売買(HTF)で決まります。

「2024年の日米金利差縮小を予測すると、円高・ドル安の傾向が出ます。すると下がる予想の日経平均を売却する」というロジックです。株式市場では、内外のコンピュータからのHTF売買が約70%です。

人間は金融商品のポートフォリオの構成比の変更の時、関与します。世界における日本株のシェアは株価の時価総額に比例して5%付近でしょう。米国株は40%程度でしょう。

短期的な動きとは別に長期的な予測をしておくことも大切です。目の前の売買で利益を上げたいという人は多いと思いますが、それは、米欧と中国の銀行、ファンド、シャドーバンクの巨大含み損には目をつむり、高い塀の上で踊っているようなものです。地震が来たら、崩れ、落ちてしまいます。地震の兆候には十分に注意が必要でしょう。

自分が関心があることを多くの人にもシェアすることで、より広く世の中を動きを知っていただきたいと思い、執筆しております。もし、よろしければ、サポートお願いします!サポートしていただいたものは、より記事の質を上げるために使わせていただきますm(__)m