建設DXのリアルな今と専門工事会社が選ぶべきDXツールとは
高まる建設需要と危機的な人材不足
建設活動の実績を示す重要な指標である建設投資額。
バブル崩壊直後の84兆円をピークに、その後減少し続け2010年にはピーク時の約半分にあたる41.9兆円にまで減少しました。
しかしその後、東日本大震災の復興や民間設備投資拡大を背景に2022年の建設投資額は67.0兆円と近年では建設需要が高まっている傾向にあります。
一方で業界の労働人口に目を向けると、就業人口の減少と高齢化が進んでおり、需要に対して人材供給が追いつかない状況が続いています。
そのため建設業では作業環境の改善や労働時間の適正化など、業界全体のネガティブなイメージを払拭して雇用を促進する取り組みが進められています。
同じ建設会社でも全く異なる
元請と専門工事会社が現場で作成する報告書
建設現場の元請はプロジェクト全体を管理する重要な役割を担っており、安全管理と品質管理の義務を負いながら、工程の進捗状況を正確に把握して予算内での完了を目指します。
情報を整理し、関係者間での円滑なコミュニケーションを図りながら、建築基準法や労働安全衛生法などの法律に基づき、高品質な施工を提供するための仕様やルールを作成しています。
一方、専門工事会社は元請からの指示を受け具体的な現場作業を行っています。
そして、作業品質の証明や代行業務として写真報告書を作成し、作業内容や再下請けの出面管理などを記録した日報を作成しています。
このような安全書類や点検記録は社内向けに作成されますが、事故を未然に防ぐための重要なプロセスであり、社外から信頼を得るための重要な業務となっています。
このように、元請と専門工事会社では作成する報告書の目的が異なります。
報告書のレイアウトだけでなく必要な情報や作成過程での作業も変わります。
しかしながら、どちらも建設業の性質として膨大な書類作成業務が発生しており、両者にとって大きな作業負担になっています。
全体の90%以上が資本金5千万円未満。現場が疲弊する表面的なDX化の弊害
建設プロジェクトの引合から受注、完工に至るまでのフローは「建築主と元請社内」「元請と下請」と大きく二つのブロックに分けることができます。
昨今の建設DXツールは、建設業に特化したプロジェクト管理やグループウェアの機能を中心としたものが多い傾向にあります。
資本金5千万円を超える規模の会社では、既に導入されている基幹システムをはじめ、Office 365、LINE WORKSなどのホリゾンタルSaaSのアップデートで業務効率化の余地がまだ見えると言えます。
一方、業界の90%以上の法人が資本金5千万円未満です。
その多くが専門工事会社です。
そして現場レベルで見てみると、発生する報告書の作成や施工管理に直結する業務については紙と電子が混在しDX化が不十分なのが現状です。
一般的な元請専用ツールでは、数十〜数百人の全ての関係者を招待することは時間やコスト面で非現実的であり、多くの場合一次下請までの招待にとどまります。
そのため、一次下請は元請専用ツール上で二次下請との情報共有や共同で報告書の作成ができず、メールで画像などを共有したのち、それらの情報をExcelやPDF、紙などで管理することになります。
つまり、一次下請にとってはDXによる業務効率化の恩恵は全く受けず、むしろ2重作業で作業負担が増加します。残業へと繋がるケースが少なくありません。(実際に複数のお客様からそのようなお話を伺っています)
今後、建設業界全体でDX化を進めるのならば、元請と下請の間での情報共有や業務プロセスの一体化はもちろん、現場にかかわる全ての人の効率化を目指すようなツールが必要不可欠になると考えています。
現場の業務効率化につながるDXツールの必須要件とは
では専門工事会社が求めるDXツールとはどのようなものなのでしょうか。
専門工事会社がDXツールによる業務効率化を達成するための最も重要な要件は、元請だけでなく協力会社や社内の全員が運用できることです。
同じプロジェクト内でも、施主、元請、社内など報告書の提出先が複数にまたがるケースが多いため、提出先(資料)ごとのプラットフォームを用意し、異なるメンバーを無制限に招待できる機能が必要です。
また、パソコン作業は時間と場所の制約が発生するため、モバイル操作のみで入力から提出まで完結できる機能も必要です。
一方、出力データについてはどうでしょうか。
こちらはExcelのレイアウトをユーザー自身で設定可能にすることが重要です。
元請が下請に対し、専用ツールへのデータ入力だけでなく、合わせてExcelデータでの提出を求めるケースが多いからです。
元請自身でも編集できるようにするためです。
そのため元請指定のExcelファイルや社内で使用しているExcelをそのまま登録できる機能があれば、現場での作業時間の短縮と業務の標準化が図れると考えます。
『関係者を無制限に招待して共同作業』
『PCだけでなくモバイルでも作業が完結』
『今使っているExcelのレイアウトをそのまま設定』
これらの要件は専門工事会社が現場での業務効率化を図るために必須のDXツールの要件と言えます。
現場の事務作業をスマホで完全DX化!
革新的なモバイルアプリ『ミライ工事アプリ』
膜構造建築の専門工事会社である太陽工業株式会社の現場からスタートし、モバイル活用と残業時間短縮を目的に開発したのが『ミライ工事アプリ』です。
この『ミライ工事アプリ』には現場での撮影から台帳の編集、保存・提出までスマートフォンで完結できる工事写真アプリ『ミライ工事写真』、工事現場に関わる業務をクラウドで一元管理して効率化する施工管理アプリ『ミライ工事DX』があります。
また『ミライ工事Web版』を利用すればパソコンからも操作可能です。
『ミライ工事写真』:写真台帳をスマートフォンで作成
『ミライ工事写真』は、工事写真台帳をスマートフォンで簡単に作成できる電子黒板付きのモバイルアプリです。このアプリを使用することで、現場で工事写真を撮影し、その場で台帳を編集、PDFで提出、これら全ての工程をスマートフォン一台で完結できます。
また、クラウドで写真台帳を一元管理できるため、複数の現場・複数人での共同作業が直感的に実現できます。アプリ画面も台帳形式でどんな写真がどこに必要か一目で分かります。施工管理者や関係者だけでなく、協力会社もフリーアカウントとして招待できるため、これまで課題とされていた共同作業の問題が一気に解決します。
カスタムエクセル機能を使えば全社統一でマスタ管理が可能
パソコンなど大きな画面で数百枚の写真を扱うには『ミライ工事Web版』が便利です。
機能としては、工事写真台帳の黒板や写真テキストの事前準備、エクセルレイアウトの登録、アプリ入力フォームの事前準備、データの一括操作などです。
特にカスタムエクセル機能は自由にExcelテンプレートをカスタマイズすることができるため、 様々なレイアウトの報告書をアプリ運用に移行できます。
このカスタムエクセル機能は、スマートフォンで入力する「チェック項目の作成」と、入力したデータをExcelに反映させるため「セルを指定する」2つの事前準備で構成されています。
まず、チェック項目についてはプルダウンやテキスト、数値、画像といった形でデータ形式を指定し『ミライ工事Web版』にてマスタを作成します。次にセルの指定はExcel上で操作になります。
この機能は工事企画部や情報システム部でも喜ばれます。
最新バージョンのレイアウトが実際には現場で利用されていないといったケースはあるあるです。
また、配布に手間と時間がかかるといった問題もマスタの更新1クリックで解決されます。社内の全ユーザーに自動で反映されるからです。
『ミライ工事DX』:施工管理とエクセル報告書を全てアプリ化
『ミライ工事DX』は工事現場に関わる業務をクラウドで一元管理して効率化する施工管理アプリです。日報、点検表、安全衛生報告など、現在エクセルで運用されている報告書を全てスマートフォンによる運用に置き換えることができます。上記のカスタムエクセル機能で組織的に準備し、現場ではこのアプリで入力、編集、確認できます。
また『ミライ工事写真』とアカウント情報やプロジェクト情報が自動連動されるので写真と点検表を組み合わせた報告書の作成や、報告書から写真一覧へ辿って現場の詳細を確認することがスムーズになります。前者は現場の時短に繋がり、後者は管理者が喜びます。安全品質管理が向上するからです。
なお報告書作成に付随した施工管理機能も持ち合わせています。トーク、予定表、掲示板、ファイル共有、点検表ワークフロー、出面(事前配置)、安全パトロール、電話番号での招待といった機能です。
現場の事務作業をゼロにする!
ミライ工事が目指す建設業界のDXの未来
ミライ工事は、専門工事会社がDXを達成しにくい建設業特有の業界構造にアプローチし、現場の事務作業をゼロにするために日々アップデートし続けています。
振り返ると『ミライ工事』開発スタート時のメインユーザーは、膜(テント)の専門工事会社である太陽工業株式会社の現場でした。現場の半分は元請で残りは下請。官民両方の工事があります。2021年に株式会社ミライ工事として分社化して以降、現在は太陽工業とは直接の資本関係はありませんが、オフィスの間借りや現場との共同企画開発、実地検証など、引き続き協力関係にあります。そしてユーザーは社外が99%を占め幅広い工種の会社様にご利用いただいています。
『ミライ工事アプリ』は、写真報告書、日報、点検表、手配書、実績報告書、安全パトロールなど、現場で発生する様々な事務作業をスマートフォンで完結させることで、業務効率や従業員の満足度向上をサポートしています。
建設会社からカーブアウトした経験を持つ当社だからこそ、現場と同じ目線に立って対話を重ね、より良いサービスの品質向上に努めることができるのだと自負しています。
今後も引き続き、現場のニーズに応じた革新的なソリューションを提供し、建設業界全体のDX化を推進してまいります。
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