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ゲーム依存に関する実態調査の結果が出ました

こんにちは。MIRA-iの森山です。

11月27日、ゲーム使用状況等に関する全国調査の結果が出ました。
ゲーム依存についての全国規模の調査は初めてで、どんな結果になるのか関心を寄せていました。今回はその調査結果の概略をまとめ、私の感じたこともお伝えしたいと思います。

調査の概要と背景

これは我が国のゲーム使用状況等に関する実態の把握のため、厚生労働省の調査研究事業として国立病院機構 久里浜医療センターが調査を実施したものです。

10~29歳の若年層をターゲットにアンケート調査を実施し、ゲームやインターネットの使用状況、ICD-11(国際疾病分類 第11版) におけるゲーム障害の特徴等を踏まえた質問項目などがアンケート内容となっています。

2019年5月、世界保健機構(WHO)が「ゲーム障害」をICD-11に追加することを承認し、ゲーム依存が正式にアルコールやドラッグと並び、治療が必要な疾病として扱われることになります。
このような背景を踏まえ、まずは我が国における実態の把握を行い、ゲーム依存への具体的対策を考えていくことになります。

ゲーム使用状況

過去 1年間でゲームをした人は、85%(男性 92.6%、女性 77.4%)で、約80%がスマートフォンでゲームをしていました。
ゲームをする場所は「自宅」(97.6%)が最も多く、次いで「移動中」(32.5%)でした。 通常は「一人で」ゲームをする人が 89.1%と圧倒的に多いことが分かりました。

ゲーム使用時間

平日における1日当たりのゲーム使用時間では、4時間以上と答えた人が約10%に上りました。(「4時間以上6時間未満」6.5%、「6時間以上」2.8%)また、休日における1日当たりのゲーム時間は、男女とも平日に比べて長くなっており、12%の人が休日に6時間以上ゲームをしていました。

平日のゲーム使用時間

休日のゲーム使用時間

ゲームによる影響

過去 1年間に、ゲームを止めなければいけないのに止められなかったと答えた割合は、ゲーム時間が「60 分未満」で 21.9%、「1時間以上2時間未満」で 28.5%、「2時間以上3時間未満」で 32.7%、「3時間以上4時間未満」で34.7%、「4時間以上5時間未満」で43.3%、「5時間以上6時間未満」で37.4%、「6時間以上」では 45.5%となっており、ゲーム時間が長くなるにしたがって多くなる傾向が見られました。

6時間以上ゲームをしている人の約30%は、スポーツ、趣味、友達や親せきと会うなどといった大切な活動に対する興味が著しく下がったと答えています。ゲーム時間が多くなるほど、学業や仕事に悪影響が出たり、身体や心の問題を引き起こしていてもゲームを続けたと答える割合が多くなっています。

また、6時間以上ゲームをしている人の半数は「昼夜逆転またはその傾向(過去 12 ヶ月で 30 日以上)」があったと答え、約20%は1年で半年以上家に引きこもっていたと答えました。

調査結果から感じたこと

何時間したら依存か、という明確な基準はありません。どこから依存なのかはその人のライフスタイルによって異なり、たとえ6時間以上ゲームをしていたとしても、使用時間を自分でコントロールできており、日常生活に支障が出ていなければ依存とは言えないでしょう。

ただ今回の調査から、長時間ゲームをしている人の中には、学業や仕事など日常生活や心身にさまざまな問題が生じているにもかかわらず、自分で止めようと思っても止められない状態で苦しんでいることがうかがわれます。
この場合、自分の意思で依存状態から抜け出すことは困難であり、周囲から何らかのサポートを得る必要があります。

しかし、自宅で1人でゲームをし続け引きこもっているケースでは、周囲から気付かれにくく、孤立しているために、サポートが得られにくくなります。そのため、私たちは医療機関や支援機関につながれる仕組みを考えていかなければいけません。

また、自分でコントロールできない状態になる前の段階で、家族や周囲が気付いて具体的な対応を取れるように、正しい知識と必要な情報を提供していきたいと改めて思いました。

一方で、今回の調査結果では、ゲームをしたから昼夜逆転や引きこもりになったというような因果関係は分かりません。
ゲームをすること自体が悪いのではなく、大切なのは、ゲームに依存せざるを得なかった経緯、背景を個別に探り、その人に合った解決の道を考えていくこと。そのことを忘れないようにしたいと感じました。



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