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年の瀬の夜道で


仕事納めの帰り道
歩きながら山茶花を楽しむ
一重八重
色とりどりに咲いている
これを観ない手は私にはない

いつもならばしないけれど
何となく
自販機でホットコーヒーを買う

誰も居ない路地
マスクを外したら息が白かった
コーヒーの湯気も白い

いつの間にか冬だった
いつもマスクをしていたので
解らなかった
吐息の白さに気づかない日常が
当たり前になっていた

白い息を追って空を見た

オリオン
シリウス
寒北斗

街角の月極め駐車場の上に
少しだけ開けた空も
冬だった

何となく脳裏に浮かんだ言葉

「わたしは此処に居るよ」

誰に宛てるでもなく
自分に言い聞かせるでもない
なぜかぽつんと出た言葉

街路灯の灯りの中
ブロック塀に映る淡い影法師と並んで歩く夜は
少しだけ寂しくて…

けれど確かに
穏やかで幸せな時間でもある

よろしくお願いいたします。