仕事が出来ても、お金持ちでも、身につけられないものは...。

お金持ちなだけでは、
仕事が出来るだけでは、
美的センスは磨かれません。
美意識を鍛えましょうよ。


私は在宅介護系の本社で、
3社、働いたことがありました。


そのうちS社は7年程度勤めた、
私の核を育ててくれた会社です。
CMをしない主義なので
一般的な知名度は高くありませんが、
在宅介護業界では知らない人などいない
大手企業です。


U社は日本人の誰もが知っている
超有名企業が福祉に進出した会社です。
今日はこの2社の比較から。


S社の本社は
いわゆる普通のオフィスです。
椅子も机も、ありふれた
変わりばえしないものでした。
ところがこの会社に初めて入った
私の印象は、


「うわ〜!きれい‼︎

天井から床までホコリ一つなく
空気まで澄みきった印象です。


それもそのはず、毎日全員で
朝礼の前に15分間
掃除をする
のです。
例外なく全員でやるので、どこも汚くはない。
それでも毎朝、汚れを探し回って
徹底的にするのです。


PCのキーボードは分解して
掃除します。
デスクの上にズラリとフィギュアが
載っていることなど有り得ません。
置き傘して忘れ去られた傘は
捨てられます。


「トイレ掃除は事務所のリーダーが
行います」
そんな文が経営計画書にありました。
その通り、社長がトイレを
率先垂範して掃除
します。
もちろん、大変綺麗です。


オフィスには観葉植物
さりげなく幾つも置いてあり、
癒されていました。
ちなみにオフィス内で知り合った
我々夫婦の結婚の際に
滅多に花をつけない
オフィスのサンセベリアが一斉に咲いたのは
偶然とはいえ、感激しました。


お客様には高級なお茶
丁寧に淹れてお出ししていました。
コーヒーも高級な豆を買ってきて
召し上がって頂いていました。
入り口にはお客様のために
毎週生花を飾っていました。


何にでも予算を使っていたのでは
ありません。
備品購入は厳しかったし、
裏紙も大切に使っていました。


この会社、どちらかと言うと
地味な印象だったのですが、
同僚と話す内容は本やクラシックや
歌舞伎や能、
手芸や靴のお手入れなど
何というか清らかで、とても好きでした。


ここに3年とちょっといた後、
U社に転職しました。


東京は青山の一等地に鎮座している
あのマークを知らない日本人はいない企業。


超有名企業で、素晴らしい給料です。
椅子もデスクも、カッシーナイクスシーです。
知っていますか?
椅子などは一脚50万円くらいは普通の
ブランドです。
それを全員が使っているんです。
いや〜きらびやか...


なはずですが、


おや...
随分と汚れが...ホコリが...超高級家具に...。


あ、玄関に生花がないんですね。
オフィスに観葉植物もないんですね。
まあ、それは別にいいですが...。


お客様がいらっしゃった時、
ん???
紙コップで出すの???
お客様に???
コーヒーサーバーから???


なんかサイ〇リヤにありそうな
サーバーですね…。
そのコーヒーサーバー、
ゴキちゃんいましたけど…。


また、
接客スペースにお客様をお通しした際、
あ、ここコーヒーのシミがついたままだ
隣のテーブルにしようかな...って、
どこもシミだらけだけど‼︎
拭いてないの???いつから???


極めつけが応接室。
もちろん高級なカッシーナの
ふかふかソファーに麗しいテーブル...

なんだけど、臭い‼︎
トイレの匂いがする‼︎
と思ったら、
超庶民的な安物の消臭剤が
派手なパッケージのまま
ドカンと置いてある‼︎
(取締役に訴えて撤去して貰いました...)


センスないの⁉︎何なのこの会社‼︎


給湯室、埃だらけで虫がいる...。
ひえぇ、と思って年末の大掃除の時に
掃除していたら、
高級な服を着た今風の女の子たちに
奇異な眼で見られました...。


いや、貴女たち、自分は
美しく着飾っているのに、
なぜそのように汚く周りを
使うでござるか...。

せめてお客様が帰られたら
テーブルぐらい拭くでござろうよ...。
(ショックのあまり日本語がおかしく
なっています)


ある時、とえらい取締役に
カタログを渡されて言われました。
「みおいち女史よ(この方には「女史」と
呼ばれていました)、
客用の湯呑みを買おうと思うがね。
湯呑みなぞ高くても安くても
大して変わらんやろ。
一番安いのにせぇ。


いや‼︎全然違いますって‼︎
安物は一目で分かりますって‼︎
カタログ写真だけでも
分かるでしょう???取締役‼︎

あ〜も〜!
何でお客様にお金使わないかな、
この会社‼︎
意味わからん〜!
(ダンナからうつった愛知弁が
つい出てしまいました)


大好きな会社でしたよ。
ただ、不可解すぎて
かつてのS社の上司から
カムバックの要請を頂いた時、
元の鞘に戻ってしまいましたよ...。
あの、静謐な空間に
我が身を戻したくて...。
復帰後はかなり格上げしてもらいましたが、
給料はそれでもU社の方が
良かったのにね。


母に
「U社は利益も相当出ているはずだし
 昔から大手なのに、
 何で応接室に
 安っぽい消臭剤を置いたり、
 接客用のお湯呑みをケチったり
 するんだろう」と愚痴ったところ、


「つまり、成金なのよ。
 お金だけ持っていて
 美意識が育ってないのよ
」と一蹴。


そうです。
美意識って、仕事が出来ても
お金持ちでも、
それだけでは育たないのです。


でも、美意識がないと
すぐに分かるのです。
要所要所で、格として
出て来るのです。


上げましょうよ、美意識。


美術館へ通って本物を見る目を
養いましょうよ。


ブランドを悪く言う前に
多少無理してでも身につけて
一流の仕事を知りましょうよ。
(カッシーナを日々使っていても
目が育たない人もいますが...。)


高級ホテルのラウンジに座って
美を研究しましょうよ。
座るだけなら無料ですよ。
(私は子どもがいないとき、
よく帝国ホテルへ行って
人間観察していました)


間違っても高級家具で埋め尽くされた部屋に
「消臭○」を置くようなことを
しないで下さいよ。
ゲンナリしますよ。


美しいものが美しいと分かると
感動します。
世界はもっと輝いて見えます。
味方にしましょうよ、美意識。


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