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149.ここは楽園じゃない、だけど 描ける限りの 夢の中


子どもたちの夏休みが終わって、今日から彼らは学校へ。久しぶりにひとりきりで家にいられる幸せを味わう。こころの底からほっとした。やっとひとりに、なれた、と。

つい先日、同じく小さな子どもたちを育てている母である方の「夫も子どもたちもいない数日間を過ごして、とても良かった」というテキストを読んで、ちょっとぽろっと泣いてしまった。わたしも切実に、ひとりになりたい。なってみたい。

「家族」という単位で、子どもを産んで暮らし始めて13年。その間に、わたし自身の何回かの出張はあったけれど、自分の家でひとりで24時間を自分の自由に使う、ということをやったことがないんだな、と気づいて切なくなった。

起きたい時間に起きたりしたい。やりかけのことを、誰かの用事で中断されずにやりとげてみたい。だれにも話しかけられずに過ごしてみたい。24時間を、自分の家で自由気ままに過ごしてみたい。13年間、ついぞその奇跡は起こらなかったので、もう願うことそのものをやめてしまって、”願っていませんし、願ったこともありませんフォルダ”にしまい込んでいた夢だった。

だれかのためになにかをしていない自分なんて、とっくに忘れてしまったな。

まあ、でも突然そういう日はやってくるものだ、ということもわかっているので、それこそあまりシリアスにならずにふわっとさせておこう。そのうちイヤっていうほどひとりで過ごす日々もやってくるだろう。


ずっとひとりでいたときは「もうひとりには飽きちゃった」と思っていた。ひとりでなんでも決められる自由も、ひとりで時間やお金のすべてを使える自由も、そのときには色あせて見えた。

いまは人生の中で、いちばんにぎやかな、お祭りみたいなときだ。わたしたちは若くないけど老いてもいなくて、子どもたちは元気に”子ども時代”を生きている。だいじな親たちも、多少からだのどこかを痛めたり、悪くしたりしていつつも、まだまだ元気で現役で、親としてわたしたちの世話を焼いてくれる。孫の成長を楽しみにしてくれている。

わたしは生きていて、家族も生きていて、親たちも生きている。

そんな、人生の中にいっぱいに実った果実を、手にしてたっぷりと味わっているような日々なのだ。だから疲れていたっていい。ぜんぜんいい。人生ってそりゃあ疲れるときもあるもんね。


ここは楽園じゃない、って七尾旅人くんだって歌っていた。『サーカスナイト』。



Oh baby 今夜のキスで
一生分のこと 変えてしまいたいよ
ここは 楽園じゃない だけど 描ける限りの 夢の中
目の前で 魔法が解けてゆく 焦る気持ちだけが 言葉つなげ
君を抱きしめるたびに 綱の上で揺れる Circus Night


”ここは 楽園じゃない だけど 描ける限りの 夢の中”


この星に住む全員の「一生ぜったいに忘れないってこころに誓った、いちばん素敵な夜のこと」が、自動的に胸にせまってくる曲だね。

神さま。この夜のことを一生忘れません。この手を、この髪を、この瞳を。
神さま、どうか。他にはなにもいらない。


そんなふうに願った夜のこと。


明日は、朝から横浜方面へ。午前と午後にひとつずつ、横浜でミーティングがあるので。


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