見出し画像

mio girl

2015年5月の個展「mio girl」で展示したイラスト作品たちをご紹介します。

mio girl

ちょうど20世紀が終わる頃、安西水丸さんのイラスト塾に通っていた。そのとき見ていただいた「頭から双葉の生えた女の子」に「これは新しいね。頭に双葉の生えてるキャラはまだやってる人いないから、早くあなたのキャラとして発表した方がいいよ」と言われ、雑誌Illustaratorのチョイスに応募してみたが、落ちた。仕方なく、作りたての自分のサイトに載せた。数年して登場したNHKラジオ教育テキストの新キャラクターが、頭に双葉の生えた子どもだったのをみて、ヤラレタ、先に認められなかった私の負けだと安西さんのコメントを思い出しちょっぴりくやしかった。まあでも、私のキャラだって大元をたどればマンドラゴラだ。それにしても、いつか安西さんにまたお会いしてその話をできたら……との想いがもう叶えられないのが、残念で仕方がない。



BERRY YOGURT-2015年個展バージョン

みなとみらいに、アローズ・パレットというフローズンヨーグルト屋さんがある。ランドマークタワーとクイーンズタワーの間、銀色オブジェが鎮座する広場に面した小さな小さなお店で、選べるフルーツソースをかけて食べるそれは、爽やかに甘くなかなかのお味だ。ここが以前はベリーヨーグルトという名前で、縁あってロゴマークを作らせていただいた。その後事情により店名が変わりロゴが使われなくなったので、今回の個展の機会に、お色直しをして登場となった。



relesia-2015年個展バージョン

レリシアスタイル、というカーネーションがある。この花特有の大きなガクを中程でぐるりとカットしてしまい、根元から大輪に開く、という加工方法を施されたカーネーションのブランド名である。これを開発したのが、「南総食虫植物園」オーナーの越川さんだった。知的好奇心をびしばし刺激される、大変魅力的な方だった。夫が雑誌のイラスト取材に行って親しくなり、園の中にあるコテージに泊めていただいたりした。ある時レリシアの話しを聞かされ、儲かったら還元するからとロゴを頼まれ、発売当初は花業界でそれなりに話題になっていたと思う。残念なことに、その後の台風で壊滅的被害を受けた植物園は閉園、その二年後にオーナー越川さんが亡くなられてしまい、このロゴも路頭に迷ってしまった。ということで、今回こちらもお色直しをしての登場である。



Inoshishi girl(イノシシ・ガール)

イノシシは目が小さい。大きな顔と鼻とのバランスから考えると、可哀想なくらい、小さい。学生時代イタリアを一人旅したときに、電車で隣り合って座ったイタリア人男性に「君の目はなんて小さくて可愛いんだ!」と言われ非常に複雑な思いをしたことがある私は、妙に親近感を覚えてしまう。この作品では、願望も込めて、おめめぱっちりイノシシで登場。



Nezumi girl(ネズミ・ガール)

ネズミというと、アイドル的な既存キャラクターが複数存在するので、うっかりそれらに似てしまわないようにと思いつつ作業していたはずなのに、気付いたらズボンが赤だったという、なんとも言えない微妙な気持ちの今日この頃。彼女がそんなことどこ吹く風でダンスしてくれているのがせめてもの救い。



Ushi girl(ウシ・ガール)

ポプリを作る女子が主人公のマンガを読んでポプリ作りにはまっていた小学6年生の頃。面識がないのにも関わらず、近所の薔薇が咲き誇る家のチャイムを思いきってならした記憶がふとよみがえり。よく考えれば、その突撃メンタリティからつながった仕事は多々あるなあ……とあらためて。



Tora girl(トラ・ガール)

二面性があるというのは楽しい。外ではキリッと強い感じのキャラクターなのに、家ではとても甘えん坊だとか、普段は物静かで頼りなさそうなのに、いざ何かあった時は、知的にパワフルに立ち回れるとても頼りになる人だとか……。このトラも案外そうらしい。



Usagi girl(ウサギ・ガール)

みずたま、みずたま、みずたま。好みのままに買い物をしていたら、娘の服や靴下やパンツや靴などの水玉グッズ比率がかなり高くなっていた。そしてある日娘が言った。「みずたま、だ〜いすき!」ふと見ると、彼女が自分でコーディネートした帽子、Tシャツ、パンツ、靴下、靴……全身水玉づくしの娘ができあがっておりました。



Tatsu girl(タツ・ガール)

龍というとまず思い浮かぶのが、龍であることを隠して子供を産んだ母親が、正体を知られ子供のそばにいられなくなったあと、母を恋しがって泣き叫ぶ子供のために自分の目玉を二つとも与えるというお話し。さてわたしは…。ついつい忘れがちな、娘のそばにいられる幸運を心しておこう。


Hebi girl(ヘビ・ガール)

パソコン、プリンター、スキャナー、ハードディスク…私の仕事に不可欠なマシンにくっついている、にょろにょろしたコードたち。巻いたり束ねたり箱の中に隠したり…何をしても存在感が相当なもの。結局のところ思い思いにのたうつのを横目で眺めつつ、諦めのため息をつく現状である。ヘビ・ガールも、涼しい顔はしているが、おそらく、自分の下半身をどうにか美しくまとめようと日々苦労しているに違いない。


Uma girl(ウマ・ガール)

シマシマが好きだ。それも、細めかつ細すぎないヨコシマがベストだ。軽くよこしまな心を持っているからかもしれない。ふと気付くとクローゼット引き出しの半分以上がシマシマアイテムのこの頃だ。前世はシマウマだったのか、あるいはライオンか。


Hitsuji girl(ヒツジ・ガール)

美しいフォルムの身体を見るのが、子供の頃から好きである。フェミニストには怒られるかもしれないが、まるみを帯びたラインの美しさは、やはり男性より女性。そして、極限まで鍛えて整えられたダンサーのフォルムは、ほれぼれするほどに美しい。水面下では必死に水かきをしているのに、水上には優雅な姿のみを見せる水鳥のように、傷だらけの足を隠して優雅に舞う彼女たちへ、賛歌ならぬ賛画として。


Saru girl(サル・ガール)

身体の固さといったら、子供の頃から筋金入りだった。水泳教室で柔軟体操をしていて、私だけ足が90度くらいにしか開かず、背中もわずかしか倒れなかった。その反動で、しなやかな身体に対するあこがれがあるのかもしれない。ただのびをするだけで美しいフォルムの人に垂涎するわたしである。


Tori girl(トリ・ガール)

つい最近までずっと、高値の服を買う、ということに強い罪悪感があった。幼い頃アフリカの飢餓の話しやベトナム難民の話など色々聞かされ育ったせいなのだが、「衣服にお金をかける」ではないところが自分勝手な思い込みである。また対人コンプレックスもあり、接客される店で買い物ができなかった。本当は着てみたい服が色々あったのだが、着ないまま年齢を重ねてしまい、若い頃にもっと色々試してみたかったと残念に思うこの頃である。


Inu girl(イヌ・ガール)

本屋の中で大きなイヌに追いかけ回されたことがある。必死で逃げ回る私を、しっぽを振りながらどこまでも追いかけてくるイヌ……周りの大人はみなほほえましく見ていたらしいが、当の本人は、恐怖でしかなかった。それ以来、イヌが苦手である。こんな優雅なイヌだったらトラウマにはなっていなかったかもしれないのが少しだけ残念である。


Hebi girl 2(ヘビ・ガール2)

干支ガールシリーズで、最初に作った作品がこちら。私がフリーランスになり、公私両面で人生の大きな転換点だった時期。ヘビをフラフープに綱渡りをしているのは、今思えば当時の心境を反映していた……のかもしれない? 思い入れの強さにより、特別出演の13枚目。



このnoteは、以下の私のサイトに掲載したものを、1ページにまとめたものです。
https://urakami.net/works/miogirl2015

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?