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アメリカで音楽活動するのは大変か?

新しい季節が始まり、ゴールデンウィーク前のひと段落……な今日この頃。いかがお過ごしでしょうか?

私は一時帰国といいつつ、あっという間に2年が経ってしまい、「あらあら」という毎日。ようやくNYに戻れる目処がたったので、思うところを書いてみようかと思います。

というのも、最近、アメリカで活躍している日本人音楽家のブログなどを見る機会がたまたまあり、驚いたことがあったので……。

皆さま、異口同音に「アメリカで音楽やるのは想像以上に大変だ!」と。

私も「ラクラクだった」なんて言うつもりはないのですが……。「すごく大変」というのとは、かなり違いますね。

で、なぜこんな違いが出るのか?と考えてみたんです。

それは、ひとえに日本で上手くいっていたかどうかの違い。つまり、比べる対象からの落差ではないか、と。

だいたい、アメリカに乗り込むのは、日本でかなりの成功をおさめた方々ですよね。その成功も、簡単ではなかったはず。ですが、それと同レベルの成功を、言葉も業界事情も不慣れなアメリカで得ようとすれば、それは「大変」と感じるに決まってます!

日本で売れた歌手の方々がアメリカに進出しても、早々に撤退することが多いのは、こんな理由では?

日本で音楽スタッフをしていた頃に、とあるビッグ・アーティストのアメリカ進出に帯同したというレコード会社の社員さんとご一緒したことがありました。「大変で参った」と、苦い表情で回想されてましたね。

その点、日本ではビッグネームという程でもない音楽家の方々はちょっと別。「大変」といいつつも、粘って業績をあげている方が多いです。

ね? 「そんな大スターですら大変なのに、自分なんか」と思うとしたら、逆なんです。

私はといえば、日本ではさっぱりだったし、子育ても並行していたので、それは地獄でした。

一方、アメリカには”ピアノ音楽” という、私がやりたかったジャンルの地盤があります。カリフォルニアで開催される音楽カンファレンスに行けば、タイムリーな進路アドバイスをくれる第一線の専門家たちがいました。

それらがない日本よりも、格段にやりやすかったのは確かです。子育ても終わり、自分のことだけやっていればいいというのも、天国だし。

というわけで、「これから海外で音楽をやってみたいかも」というあなた! 成功している方々が強調なさるほど大変ではありませんから!

あと、アメリカでは就労に関して、年齢を聞くのは違法。年齢を聞かれたら、21+(飲酒できる成人)と答えればオーケーです。

私もアメリカのオーディションで年齢を聞かれたことはありません。どこでも年齢を書かされる日本とは大違い。何歳からだって、チャレンジ可能です。

また、音楽はビザが大変という話も耳にされたかもしれませんね。でも、やり方次第です。私は学生ビザから始めて、有能な移民弁護士やエージェントに言われる通りにしてステップアップしました。

なんといっても、エンタメの本場はアメリカ。その地で思いきり音楽して嬉しくなるには、スーツケースひとつでも大丈夫です。アメリカのお部屋は、たいてい家具付きですから。

必要なのは「何が何でも」という、その気持ちだけ。

もしも音楽ジャンルがアメリカと合いそうで、長期戦も厭わないなら……どうか臆せず、ぜひアメリカにいらしてくださいね。きっと上手くいきます!

冒頭の写真はパンデミック直前、ユジャ・ワンさんのカーネギー・ホールでのコンサート。ニューヨーカーに大人気の彼女、この日も総立ちのアンコールでした。