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チアリーダー・ダンサーにやってほしい基礎トレーニング3[腕立て伏せ]

王道なトレーニングでよく親しまれている腕立て伏せです。
チアのトレーニングでも使われているのをよく見かけます。
非常に優秀なトレーニングで僕自身も頻繁に行いまっています。
ですが、腕立て伏せのフォームについては厳しめに考えていて、患者さんに対してはあまり積極的には進めたくはありません。
それはスポーツ選手に対しても同じです。

この記事の目的はあくまで、『怪我をしない体づくり』です。

腕立て伏せについて


腕立て伏せというのは上半身全般を効率よく鍛える動きではありますが、肩・腕に対して求められる負荷というのはかなり高い方だと感じています。
体幹をしっかりと一直線に固めているのを保ったまま、胸と腕の力を使って良いフォームで腕立て伏せをできている人は少ないのではないでしょうか。
肘だけを動かき、体はあまり上げ下げできていない。肩甲骨が動いていないフォームでやっている人が多いのではないでしょうか。

厳し目にいうとすると、上手くできないのなら違うトレーニングで代用したり、「軽い重量」でベンチプレスをする方がよっぽど有意義です。

チアリーダー向け基礎力トレーニングを1〜3段構成で分けて投稿し、最後が腕立て伏せになったのはそういった単純な難しさが理由にあります。
特に女性は上半身で言えば男性の3割〜5割の筋力が限界と言われているなかで、腕立て伏せはかなり大きな課題になります。

私は格闘技をやっていて、自重やウエイトを使ったトレーニングを行っている選手を見る機会が多い環境にいます。
それに、自分自身もトレーニングをしています。
格闘技という身体的な強さを求められる競技でも腕立て伏せを正しいフォームでできない人を多く見かけます。
それはチアリーディングの選手を見ていても同じです。

逆に言えば腕立て伏せが綺麗にできる選手のフィジカルは、かなり信頼をしています。
ありがたいことに日本代表クラスの選手を担当させていただく機会がありましたが、トップレベル男女共にそういった基礎的トレーニングのフォームは綺麗な人が多いです。

腕立て伏せをできるようにするための道筋

「もう腕立て伏せなんてできるよ。」
と感じる方も多いのではないでしょうか。

腕立て伏せで重要なことは上半身ー足にかけて一直線に保ったまま、ひとつの重り(ユニット)として上げ下げをできること

良くない例として
・肩甲骨が動かない
・胸椎が丸まっている
・腰がそっている
そのまま1部分だけ上げ下げしていることそれでは意味がありません
⑴⑵の投稿で紹介したようなエクササイズを使い
・脊柱を一直線に保てる
・腕立てポジションで片手を一瞬浮かせても体が捻れない
そういった二つの条件を満たせる体づくりをしてから腕立て伏せに挑戦することが大切です。

腕立てを完璧にできる人に向けては、上級者向けトレーニングも紹介していますのでぜひ呼んでください

腕立て伏せを通した怪我予防の道筋①~④

①プランク・ショルダータップ
②プランク・プッシュアップ

③肩甲骨での腕立て伏せ(膝付き)
④腕立て伏せ(膝付き・膝浮かせて)

①〜②に特に注意をして取り組んでほしいんです。
運動中に肩甲骨をしっかりと体幹部に固定をする(力を抜かない)ことができるできないのとでは、運動の質が変わります!
チア技では、エレベーターからエクステンションなど全身の力が必要な場面で肩甲骨を固定できることが重要になってきます。

肩甲骨の固定が弱いままでは、身体に十分に力が入っていても身体から腕に力を伝えるのが不十分になってしまいます。
それでは力が足りなくなるし肩周りの怪我をしやすくなります。

大袈裟に言ってしまえば
肩関節の痛みやぎっくり背中など怪我をする理由は肩甲骨を制御(固定)することができていないからだと思っています
ですので、予防のためにぜひこの順番で取り組んで見てください。
エクササイズ中に体が真っ直ぐに保てない瞬間がある方はそこの改善を徹底してから取り組んでください。

①~②だけでも肩周りの怪我予防にかなり良い効果を出してくれるでしょう。

③~④は上半身全体の強化を目的に、トレーニングの総仕上げのようなイメージです。
『腕立て伏せへの道のり』の本編です。

プランク・ショルダータップ

ハンドプランクやハイプランクと言われるような、腕立て伏せのスタート姿勢を作ってから片手を床から離すエクササイズです。
膝は伸ばして、身体を真っ直ぐに保ったままの姿勢を維持したまま、片手で体重を支える瞬間を作って体幹と肩甲骨周囲に強い刺激を入れる良いエクササイズです。
片手を話したら肘を曲げて、反対の肩をタッチする。
シンプルですが肩周りが疲れる良い運動です。

レネゲードロウというエクササイズがこのエクササイズの発展系で存在します。

プランク・プッシュアップ

この記事では一貫して肩甲骨がぐらつかないことが大切で、なおかつ体が一直線に保った状態で運動できる事が大切である。と伝えています。
その点でプランクプッシュアップが綺麗な姿勢でできることがかなり大切な要素になってきます。
腕立て伏せよりは筋肉量が少なく住む印象ですが、それでも大変な運動かと思います。

①~②の運動はあくまで、肩甲骨は強く固定させた状態で身体を支える練習です。
③から腕立て伏せの発展にかけては、肩甲骨を固定させる力と動かしていく力が一緒に働かないといけない段階になり難易度が上がってきます
一般的なチアの演技ではここまでで良いのではないでしょうか。
ただ、難しい技に挑戦していったり大会前の練習の激しい時期に、怪我などのの不調が出ないように身体を整えるのであればこの先の運動は出来ていた方がいいでしょう。

①~②の運動が痛みなく、良いフォームでできるようになってから次の運動にうつってください。

肩甲骨での腕立て伏せ(膝付き)

ここからは肩甲骨を筋肉で支えながら、身体という重りを上手に上下するために必要なエクササイズです。
肘をついてプランクの姿勢を作ってください
①身体を頭ー肩ーお腹ー腰と一直線に保つ
②保ったまま、肩甲骨同士を寄せるようにして体を床に少し下ろしていく
③プランクの姿勢に戻す
地味ですがかなり難しい動きになります。

腕立て伏せ


膝を着いた腕立て伏せ
ここまでが一つのゴールでも良いと思っています。
膝を着いたままの腕立て伏せが綺麗なフォーム行うことができて、なおかつちゃんと全体的に疲れる(効いている)のなら、わざわざ膝を浮かせる必要がないかもしれません。

膝立て伏せが15回×3セットみたいにしても余裕です!と物足りなくなった時だけ膝を浮かせて挑戦すればよいと思っています。

通常の腕立て伏せと発展系
膝を浮かせ真っ直ぐのフォーム行うだけです。
ここには解説はいらないかと思います。

片手になる瞬間を作る、足を浮かせる、挙げ下げに角度を作るなどが負荷を変化させる工夫です。
ユニット側の動きをずらしてくださいどちらかというとスパイダーマンプッシュアップのように足を上げてユニット(体)の方をぐらつかせる方がおすすめです。
・スパイダープッシュアップ
・アリゲータープッシュアップ
・レネゲードロウ
・アニマルフローの種目

また、手幅を狭くしたり広げたりなどもやってみてください

膝付き腕立て伏せで、上半身全体的に疲れさせてから
①補強・追い込みで上腕を
ダイアモンドプッシュアップやリバースプッシュアップなど上腕を強くさせるための運動を追い込みでしてみる
②別の刺激を求めて、スパイダーマンプッシュアップや「アニマルフロー」に挑戦をするなど
をやってみてください。


まとめ

肩関節周りの怪我予防や、全身的な強さを作るのには腕立て伏せも重要になってきます。
何の気なしにやってしまっていることが多い腕立て伏せについてフォームを意識し直す機会にしてください。
また、腕立て伏せができない人はこの記事にある順番を意識して実践してみください

腕立て伏せのフォームは身体機能を反映していると思っています。
FMSのという考え方の中にTrunk Stability Push Upという種目があるように、体全体をひとつのユニットとして扱い、丸くならずに体を腕で制御できることは非常に大切です。
あくまでトレーニングはトレーニングであって直接チアリーディングのスキルがあがるかは人によるでしょう。
トレーニングにはトレーニングとしてのメリットがあります、ぜひチアの練習だけではくトレーニングも取り組んでみてください。


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