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シネマ評:最近観た映画のまとめ


Love, Rosie (邦題:あと1センチの恋)

2014年、英国、独製作。ロージーとアレックスの12年の友情と恋愛、人生を描いたものだけどこの手のものなら『ワン・デイ』の方がオススメです。

One Day (ワン・デイ 23年のラブストーリー)

同名小説の映画化で2011年の作品。アン・ハサウェイがエジンバラの学生を演じている。性格や趣味の違う2人の親友の友情と人生、すれ違いの23年間。か、な、り、泣いた。評価はそこまで高くないけどとてもいい映画だと思う。 

Monsieur Ibrahim et les fleurs du Coran (邦題:イブラヒムおじさんとコーランの花たち)

2003年フランス。60年代のパリの懐かしい雰囲気と、パリで受け継がれるイスラムの教えが良い。パリ銃撃事件後、アラブ=テロリストという間違った考えが広がらないように、フランスにあるアラブ、フランスの外にあるアラブを見るためにも、この映画をたくさんの人が観るといいな。

Medianeras (邦題:ブエノスアイレス恋愛事情)

2011年、歴史的な建物と新しい建物が混在する不思議な街、ブエノスアイレスで孤独に暮らす30代の男女の生活と恋愛をユーモアたっぷりに描く。誰もが問題を抱えている。でも、みんながきっと自分にぴったりのパートナーを見つけられる。

Salmer fra kjøkkenet (邦題:キッチンストーリー)

2003年、ノルウェー。50年代、国家事業の調査のためスウェーデンからノルウェーの独居男性のキッチンを観察に来た男性。心温まる映画、キッチンも可愛い。

Tillsammans (邦題:エヴァとステファンとすてきな家族)

2000年スウェーデン。75年、アル中の夫から逃れた母親がストックホルムのコミューンに子どもと住み始め、マルクス主義、菜食主義、同性愛など様々な主張を持つ若者同士、大人同士、子ども同士がお互いに学び合う。

Bridesmaids (邦題:ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン)

2011年、アメリカ。想像以上に凄かった。調べてみたらオスカーノミネート、フェミニズム映画の金字塔とも言われ様々な方面から高い評価を受けた作品。何がフェミニズム的かというところは意見が分かれるが、批評家は「オナラという古典ギャグを女性もコメディとして使いこなせるということを見せつけた」と書いている。運転違反シーンも話題となった。『バチェロレッテ』とは違い、あくまで友情にフォーカスしているところに好感を持てた。

Detachment (デタッチメント 優しい無関心)

2011年、エイドリアン・ブロディ主演、日本未公開。 学級崩壊の進む高校を舞台に、アメリカの教育システムや未成年の売春などを取り扱う。有名俳優が脇を固めるがかなり暗い。なぜ学ぶかを説くシーンが良かった。主人公の普段は寡黙で感情を出さない臨時教師がなぜ学ぶかを勉強に関心がない生徒たちに説くシーンがここにあがっていた(http://youtu.be/AtUcS1WEKTw)。Ubiquitous assimilation, doublethink などの用語に絡めて、「毎日毎日24時間、幸せになるためには綺麗でなくてはならない、痩せなくてはならない、オシャレでなくてはならない、そんなくだらない嘘を生み出し続けるマーケティング・ホロコーストから自分たちを守るため、読み、学び、自分たち自身の想像力を促し、良心や価値観を育まなくてはならない」と主人公が語りかけるシーンが最高だった。

The Internship (邦題:インターンシップ)

2013年、アメリカ。勤めている会社が潰れ、路頭に迷う2人の時代遅れのセールスマンがGoogleのインターンになり、ハチャメチャする話。スッキリしたい日にオススメ。

Tiny Furniture

2010年、レナ・ダナム監督、脚本、主演。大学を卒業してやりたい仕事に就く前のふわふわした時期の葛藤を描く。これを契機にHBOからドラマ製作打診があっただけあり、まさに『ガールズ』の前身。 

Liberal Arts

2012年、"How I met your mother"でお馴染みジョシュ・ラドナー監督、製作、脚本、主演。大学が舞台の35歳と19歳の年の差恋愛。本と人間の成長がテーマのほのぼのムービー。ヒロイン役に双子のオルセン姉妹の妹、エリザベス・オルセン。大人っぽくて少しアグレッシブな女の子を好演。ジャック・エフロンも意外な役で出てる。10代、30代、60代と様々な世代が出てくるが、(もう一つのテーマは老いること)みんなが対等に接しているところが良かった。日本ではあり得ないなぁと思うシーンもいくつかあった。例えば、教授や10以上年上の人に対しても、もちろん尊敬と敬愛の念は持ちながらも、気後れすることなく自分らしさを忘れずに対等に話しているのだ。自分の意見を自由に言い、相手の良いところと悪いところを公平に評価したり。 ディベート力もつくし仕事でも成果主義になるわけだ。

Ginger and Rosa

2012年、サリー・ポッター監督作品。フィリップ・ガレルの"Les Amants Réguliers"を思い出した。反核運動に身を投じ詩人を目指す十代の少女の脆くて強い日々を美しい映像で描く。主役のエル・ファニングの顔が画面いっぱいに映し出されるたび、胸がぎゅーっとなる。不安定な時代の、不安定な家庭で、不安定な年であり、不条理なものを全身で受け止める乗り越えようとするジンジャーの純粋さ、強さ、美しさに心打たれる。主人公はボーヴォワールを読んだりと"An Education (邦題:17歳の肖像)"にも雰囲気が少し似てたけど、サリー・ポッターらしくフェミニスティックな要素が見え隠れしていてなんとも良かった。茹で卵とパンも美味しそうだった。

Paper Towns

2015年、アメリカ、カーラ・デルヴィーニュ主演。なかなかつまらんぞ…と思ったけど中盤から後半にかけてどんどん面白くなった。若さと友情と冒険と、「気づくこと」。原作の本が素晴らしいことは確信した。音楽が、最初からKINDNESSで始まりHAIMやらThe War on Drugsやらバリバリで、テイストは好きなんだけど映画で使うのはどうかと疑問を持った。プロットは良いので確実に原作が良いのだろうけど、全体的にテンポが悪く、チージーで監督または編集の力量に疑問を抱かざるを得なかった。またはシネマトグラファーか脚本の責任か。でも!観終わったあとはじんとくるものがある映画。暗闇の中で穴に入るシーンがあって、恐怖を追い払うために主役の男の子たちが歌を歌うんだけどそこが本当に面白くて、それを含めて友情と冒険のシーンはグーニーズ2015年版って感じですごぉく良かった。

Shaun of the Dead (邦題:ショーン・オブ・ザ・デッド)

2004年、サイモン・ペグ主演。ロンドンで大量発生したゾンビから自分の大事な人を守るため、冴えない販売員の主人公が奮起する。イギリスで大ヒットした。 イギリスで大ヒットし高評価を受けたこの作品は、日本未公開ながらカルト的人気を誇っている。恋愛シーンもあり、RomZomCom(ロムゾムコム=ロマンス、ゾンビ、コメディ)というジャンルを確立した。エディティングが面白く、友情シーンもほろりとくる。イギリスの有名俳優も勢ぞろい。最後まで大笑いできる良作。

Run fat boy run (邦題:ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ)

2007年、サイモン・ペグ主演、日本未公開。結婚式当日に逃げ出した弱気でメタボな主人公デニスが、愛を取り戻すためロンドンマラソンに参加する。みじめでも、走り続けることに意味があるということを教えてくれる映画。ヒロインは『ミッション・インポッシブル2』でトムのお相手を演じたタンディ・ニュートン。 

Notting Hill(邦題:ノッティングヒルの恋人)

ノッティングヒルで本屋を営む主人公とハリウッド女優のラブストーリー。久しぶりに観たら、男の願望をそのまま描いた、女性の感情が全くわからない映画だった。でも泣けるのだ。こういう、ひとつの街を舞台にし、街の様子もフィーチャーする映画はいい。映画がきっかけになって観光が発展するということも多々あると思う。

Ida (邦題:イーダ)

2013年、ポーランド映画。アカデミー外国語映画賞作品。1962年のポーランド。清く力強い主人公が経験する冒険と衝撃的な事件を慎重に設定されたモノトーンのフレームで禁欲的に映し出す。悲しい歴史と美。シネマトグラフィーからフランチェスカ・ウッドマンの撮る写真を連想した。

Under the Tuscan sun (邦題:トスカーナの休日)

チージーなラブコメ的なアメリカ映画なのだが、2003年の製作以来20回くらい観た。イタリアのトスカーナで新しい人生を始める女性の話。料理が美味しそうで良い。この映画を観るたびに人はたとえ何もかも失った後でも、また新しい土地に住み、そこで新しい人々に出会い、新たな人生のページを歩むことができるということ、それは何歳になってもできるし、失望の先には新たな出会いと発見が必ず待っているということを教えてもらえる。人生は旅だ。楽しい旅なのだ。わたしはそもそもこういう考え方が好きというか逆境にこそ燃えるというか新たな門出が好きなので、たとえばエミールと別れてフィンランドを去ることになったとしてもきっと落ち込むけどその先は必ず面白いことが待ってると信じてやまない。もし別れないにしてもきっと違う土地にいつか行って人生を楽しむだろう。この映画の主人公のように、40歳や50歳になっても新たな土地で新たな出会いを重ねて新しい考え方や趣味、家族を築きたい。人間が楽しく生きることに限界はない。年齢による制限も存在しない。限界も制限もわれわれが言い訳のために作り出した幻想なのだと思う。

ほかにも『ミッションインポッシブル5』や『007スペクター』、マイケル・ムーアのドキュメンタリー全てなど観たけど、感想はまたいつか。





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