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車でトルコへ 最終編

午後4時半くらいに下水臭い部屋に入り、そのまま寝ることにした。
とは言っても部屋が暑い。
寝れば頭痛が治ると思っていたが、これが治るどころがもっと痛くなってきたような気がする。水分をあまり摂取してなかったのを思い出し、持っていた水を全部飲んだ。
そのせいで何度も起きだしてトイレに行った。
子供たちと夫は寝ている。
また小一時間して頭痛で目が覚める。
あーもう。こりゃ頭痛薬飲むしかない。
子供たちが起きてきたので、ゲームで静かにしていてもらう。

そして夫と私が起きたのは午後8時過ぎだったろうか。
汚いし、臭いし、私は頭が痛いしでよく寝たとはお互い決して言えなかったが、運転手の夫にとっての少しの休息にはなった。
旅のストレスで、大人軍はお腹があまり空いてはいなかったが、とにかく夕食を食べに行く。
そこはホテル兼レストランのサービスエリアだったので、部屋から出ればすぐにレストランだった。
ちゃんとしたメニューを食べられたのは長男だけで、私と次男はそれぞれ鶏肉スープと牛肉スープを頼んだ。これがおいしかったのだが、お腹が肉を受け付けない。でもできるだけ口に入れた。
夫は、ストレスの真っただ中にいると食べなくなる。タバコばかりスパスパ吸い、コーヒーやらカフェイン入りのエネルギードリンクで生き永らえるスタイルになる。出発して最初の頃はまだ作っておいたサンドイッチやらおにぎりを食べてはいたし、こんな状態になるのは初めてではないのであまり何も言わなかった。
そんなこんなで、二日目も偶然前日と同じ午後10時頃に再出発した。
スイスからトルコへの道のりの中で、セルビアを通る距離が一番長い。
夫は相変わらずタバコをふかせながら、カフェイン摂取しながら、黙々と運転していた。ちなみに彼は新車に変えてからこの旅まで、車の中でタバコを吸うことをしなかった。この旅が終わったら絶対にまたやめる、と言っている。だがこの旅は極度のストレスで、彼の性格的にタバコなしでは無理だった。
私が相変わらず寝たり起きたりボケーっとしている間に、夫が一番心配していた国、ブルガリアへ入国した。セルビアとブルガリア間の国境も寝ぼけていてあまり覚えていない。
ブルガリアはトルコと隣国だ。
ほんの数年前まで、この国には高速道路がなかった。
つまり国の村々をえっちらおっちら普通道路で通っていかなければならなかった。そしてその頃のブルガリアはとても危険だったらしい。
なぜなら、わざと車がパンクするように通過する道に尖った異物をばら撒いたりして故障させ、高い修理金を払わせる輩が待ち伏せていたからだ。
夫からそんな昔話を聞かされていたので、私も不安だったわけなのだがさすがに眠気には勝てなかった。
夫ががんばってブルガリアで運転していた頃、私と子供たちほとんど夢の世界にいた。使えねー妻だ。

夫は一度だけ、ブルガリアのサービスエリアに止まった。
午前4時頃だったか。
そしてあまりにも疲れたので俺も寝ると言い、他の外国からの旅行客も車中泊している明るい場所にある駐車場で、数時間仮眠をとることにした。
旅行前は、ブルガリアでは絶対に止まらないで横断する、と言っていたのだが、さすがに彼も眠気には勝てない。
無理しないでちゃんと止まってくれてよかった、と私は思った。
私も周りをみてみたが、オーストリアやドイツのナンバープレートがついている車がいくつもあったのでほっとした。大丈夫そうだな、と思ったのを覚えている。

午前7時過ぎに再び起き、夫はコーヒーを買ってきてまた運転を始めた。

ブルガリアとトルコとの国境の前に到着した時の高揚感は今でも覚えている。やっと着いたー!! と嬉しくてしょうがなかった。
その時もブルガリア出国検査、税関を通り、そしてまたトルコ側のパスポートチェックも通り過ぎなければいけなかったので数時間かかったが、嬉しさとここまでこれたという安心感で待ち時間はあまり長く感じられなかった。

トルコの入国検査に並ぶ車

トルコへの入国を完了した私たちは、まずサービスエリアに入って昼食を食べることにした。そこにはなんとロカンタがあった。ロカンタとはトルコの大衆食堂の意味で、色々なトルコの郷土料理の品々から欲しいものを何皿でも選べる。そしてものすごくおいしい。
やっと小腹が空いてきたので、私はインゲン豆とトマトの煮込みとスープ、そしてアイランと言うヨーグルトドリンクを頼んだ。
ここで夫もやっと食べ物を口にした。
やっと少しはリラックスしたみたいだ。
イスタンブールまではあと2時間半。
お尻痛いけど頑張るぞ。

このラストスパートがなかなか長かったが最終的に私たちは、イスタンブールにある義両親のアパートに無事到着した。


義両親のアパートの入り口からみた景色

義両親はここから3時間程離れた海辺にある別荘に行っており不在だ。
ちゃんとイスタンブールまでハプニングなしで来れた。
とにかく一安心だ。

これからはトルコ滞在記になる。

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