無形資産が大事な時代の「十牛図」
社会とは、複数の人間の集まりのことです。
小さな集まりがいくつも集まって社会を形成しています。
民主主義の国の場合、小さな集まりの正体は主義・主張などいろんな要素がありますが、SNSの普及によってより細かくなったようです。
突き詰めると感情的な集まりといえますが、理想の社会にするには理想の人間の集まりが必要です。
社会を構成するひとりひとりが理想的な人間になる以外に理想的な社会を実現することは困難です。学校の目的はそのはずですが、実際にはそのようには進んでいないようだし、家庭についても同じです。
人生100年時代は金融資産以上に無形資産が大切だと言われています。
無形資産は、
①生産性資産・・・生産性を高める力
②変身資産・・・ワークシフト(仕事を変える力)
③活力資産・・・健康
人が生きるのは、よりよい人生を生きるためです。
違う考えを持った人もいるでしょうが、もし本当に幸福な人生を生きたいと思ったら、死ぬことを避けることはできません。
必ず死ぬのなら生きてる間は好きなことをして生きないと損だと考える人もいるでしょうが、幸せを自分の外側に求めて成功した人はいません。
幸せは自分の内側にしかありません。
このような議論はさんざん行われてきたし、原理原則からして間違いのない事実です。
十枚の絵で語られる「十牛図」は、禅の教科書と言われています。
禅は、仏教を学ぶトレーニングで、もっとも広く知られているのが坐禅です。坐禅は自分を観察する手法ですが、気づき、悟ることが目的です。
しかし黙って坐れば幸せになれるとはいきません。
よりよい人生を生きるためには、三つの問いかけが必要です。
1.自分とはなにか
2.生きるとはどういうことか(死ぬとはどういうことか)
3.他者とはなにか
これら三つの問いかけに対し、どのように答えを出せばいいのか、そのヒントが「十牛図」にこめられています。
1.尋牛(じんぎゅう)・・・牛が逃げているとはどういうことか。
2.見跡(けんせき)・・・牛の足跡とはなにか。
3.見牛(けんぎゅう)・・・なにが牛を見るのか。
4.得牛(とくぎゅう)・・・牛を捕らえる綱とはなにか。
5.牧牛(ぼくぎゅう)・・・牛を飼いならすとはどういうことか。
6.騎牛帰家(きぎゅうきか)・・・牛に乗っているとはなにか。
7.忘牛存人(ぼうぎゅうそんにん)・・・まどろんでいるとはなにか
8.人牛倶忘(じんぎゅうぐぼう)・・・空白とはなにか。
9.返本還源(へんぽんかんげん)・・・美しい自然とはなにか。
10.入鄽垂手(にってんすいしゅ)・・・人が往来する場所で「生きる」とは。
では、順番に紐解いていくことにします。
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