コミュラボオフ会「未来食堂とコミュニティ」ゲスト:小林せかいさん
未来食堂のことは、オフ会の告知で始めて知り、G2さんが「目を通しておくと良い」とおススメしてくれた記事にだけ目を通して(書籍は未読で)伺いました。(※現地で買うと割引サービスがあるため)
未来食堂のサイト(そのほかの記事リンクは末尾に)
http://miraishokudo.com/
記事を見て想像してたのは「厳しいけど温かいお母さんがやっている食堂…?」だったのですが、実際にお会いしてみると「マフィアのボス」が近いかんじでした(※ご自身からマフィアって言葉が出たのですよ~)
私はウェイトレス業が大好きで長年バイトをしていたので、行く前は「まかないさん、楽しそうだな…今日応募とかできるかな」なんて考えていたのですが、「まかないさん」という仕組みへの疑問点として
・誰も来ない日どうするんだろう?
・ヘンな人来たらどうするんだろう?
と思いつつ、仲良い常連さんで回しているかんじを予測していたのです。
ちがいました!!
まかないさんはフィルタリングしない
耳の聞こえない人とか、日本語しゃべれない人が来ることも。
困らないのか?と聞かれたら、「毎日困ってる!」
でももし、家族が車椅子生活になったら、その人と一緒にすごすために自宅を改装するはず。
それと同じで、耳の聞こえない人でも働けるように何とかする。別に「バリアフリー」を目指しているわけじゃない。それは、しょうがないこと、として受け入れて何とかする。「耳が聞こえないからダメです。」とかは言いたくない。
望んでいるのは、まかないさんが「帰るとき五体満足で出てほしい」というだけ。もし、すごーくできる人が来てしまうと、お店が回りすぎる。そうすると、それが普通に思えて、自分の甘えが生まれるから良くない。
まかないさんのリピーターを増やす
耳が聞こえないAさんのために「洗い場のマニュアル」というのを他のまかないさんが作ってくれた。それは例外だけど、基本は「マニュアル禁止」
「マニュアルを見てやってください」では、コミュニケーションが生まれない。まかないさんが「もう来たくないな」と思ったら来ない。コミュニケーションがあったら、また来ようかな、ってなる。
「今日までにこれをやれるようになってください」というような目標設定はしていない。絶対のルールはふたつだけ!
・物を縁から出して置くの禁止(あぶない)
・人の後ろを通るときは声を出す(あぶない)
基本その人の「やりたいこと」を提供するようにしている。「2回目以降のまかないさん」を求めているから。「やりたいこと」であれば「やれること」であるかは関係ない。モチベーションはエンジン。今できることをやってね、だと伸びがないし、楽しくない。
とはいえ、お客様にお金をいただくものだから、厳しくはする。
最悪「ひとりでも回せる」という前提があるからこそ全賭けできる。
毎日が博打
11:00 開店なのに、10:45 の時点で絶望感ただよう状況になることも。
(例:カキフライが上手く揚げれなくて真っ黒…)
そんなとき、まかないさんが「できますよ!」とか言って励ましてくれる。
「せかいさんをなんとかしないと!」ってなる。
自分は「もうダメだ…」って言ってること、結構ある。よく寝ているし、お客さんに愛想ないし。そこをフォローするためにここにいる価値があるんだ!とまかないさんが思えてくる。
せかいさんフィルタ
本当は接客スキルもあるのでお客さんに愛想良くすることもできる。けど、「お客様の方が上」という雰囲気になり、まかないに応募するための敷居が低くなるのは、リスク。大してやる気のない仲良し常連さんが「手伝うよー」とか軽く言うような馴れ合いにしたくない。仲間はずれを作りたくない。常連が場を支配しだすと、違うものになってしまう。
まかないさんへの応募も、せかいさんの存在がフィルタリングになっているところがある。無愛想で声をかけづらい、という第一のハードル。
お客さんとの接し方もコントロールしているし、「ただめし」の使い方も含めてコントロールしている。(実際、せかいさん不在の時間のほうがただめし使用率高い!)
まかない同士の絆
自分もお店を出したいです、という人が、未経験でも働ける場として「まかないさん」がある。自然発生的に仲良くなり、「まかないさんの同期」としてお互いのお店を行き来したりとかしている。
巣立ってお店を持った人が15人くらい。上手くいく人は、長く未来食堂で働いていた人。1年半とかいた人は条件の悪いところでも絶対大丈夫。
普通、お客様が来ると自分のリソースががたがたになる。でも何度かやっていると上手くできるようになる。遠方から「1週間だけ修行」とかだと、想定外のことが起こったときに弱いまま巣立ってしまう。
さすがにビジネスライク過ぎる人(例:○○が人気なんでラーメン屋やろうと思ってます!)は来ない。こだわった小さなお店がやりたい、という人ほど、仕込が終わらなかったりして、やがて心がおれちゃう。「とんかつって言ってたけどエビフライ出しちゃえ!」とかでないと。
ビジネスをする、というところまでやっていないまかないさんであっても、絆は深い。マフィアだから。(たしかにファミリー感)
毎日いろいろある
お店をしていてこれが嬉しい!とか特にない。感情は揺らさないようにしている。疲れないように。マラソン走っている人に「いま、嬉しいですか?」とか聞かないのと一緒。ゴールのないマラソンを走っている。中の人にとっては狂気の沙汰。つねにぶっつけ本番。
ビジネスモデルとして
お店の価値を言語化していると、危うい。たとえば「エビフライ専門店」としてやっていて、近所にもっと良い条件の店ができてしまったら?
数値化しているともっと危うい。「800円の食事をすぐに出せます」だと、隣にもっと安い店ができたらつぶれちゃう。
今の形態だと、もし同じ様な店が隣にできても、こちらも毎日新しさがあるし、つぶれない。
感想
G2さんはいつものコミュラボのアジェンダも用意されていたのに、プロジェクタ設置の隙もなく「質問どうぞ!」と開始されて、「20時に帰らないと」と、嵐のように帰られていきました。
すごくメンタル強くて、ロジカルに考えていて、ぶれない戦略がある、というイメージと、「ダメだ~」と言えちゃうかわいらしさとの共存。
なつかしきウェイトレス業の楽しさをまた味わいたいから、という理由だけでまかないさんに応募するのはハードル高いな!と見事にフィルタリングされてしまいました。
とはいえ、せかいさんが素敵過ぎて、ぜひ一度働いてみたい、という思いも、同じ位高まった気がします。
まずは、普通の日にごはんを食べに来ようと思いました。
ありがとうございました!
記事リンク
「人と人の間に何が必要か」小林 せかいが語る仕事--1
https://info.asahi.com/shukatsu/asakyu/_--1_4.html
小林せかいさん|仕事も家庭も、完璧を目指さない https://cue.waris.jp/2371.html
神保町「未来食堂」の"非常識な成功"の秘密
https://toyokeizai.net/articles/amp/173480
当店では、ロイヤルティ、特別感アピールは行っておりません。
https://book.mynavi.jp/wdonline/detail_summary/id=65406
神保町の「変な食堂」が話題…従業員は1人、指導厳しいのにボランティア殺到の謎
https://biz-journal.jp/2017/05/post_19239.html/amp
“善い悪い“の概念を超えて…未来食堂が手がける新サービス「サロン18禁」のカラクリ
https://www.pr-table.com/miraishokudo/stories/145
本は
誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか ゆるいつながりで最強のチームをつくる
をおススメされたので買いました!
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