見出し画像

『Wonder Land』, 写真展を開催した話。

マタキです。

昨年の夏にですが、僕自身初めての写真展を能登で開催しました。その際の写真を整理していて、せっかくなのでnoteにもまとめます。

画像1

僕の祖父と父が生業としてきた酒造りを、自分も継ごう、お酒という切り口で能登のことを伝えていこうと地元の能登町にUターンしてきたのが4年前。
昔から写真を撮ることが好きで、仕事帰りや休日にはカメラ片手に出かけることもあります。そうして能登を撮影しているうちに、能登の豊かな自然や美しい景色をたくさんの方に見てもらいたいと思うようになりました。

今回の写真展の「Wonder Land」というタイトルは、住み慣れた場所でも、まだまだ自分の知らない瞬間や景色があって、むしろほとんどを僕は知らないのですが、そのなかで出会う景色は綺麗で、どこか懐かしさを感じさせるような、ワクワクするような、ちょっと切ないような、色々な感情を抱かせてくれる不思議なこの土地を、自分なりに表現できたらいいなと思い、このタイトルをつけました。

そして、写真を見てくださる方にとって、自分たちは今暮らしている場所のことをどれだけ知っているのだろうというメッセージを伝えたくて、身近な所にこんな場所があるんだ、こんな綺麗な瞬間があるんだといった気づきや、何かしらの行動を起こすきっかけとなれば嬉しいです。

■Wonder Land

01. 

画像2

『海と暮らす』

夏の日の朝、家の前で朝日を見ていた。
よく魚をくれるおじさんが小舟を出して漁をしていた。
あそこから見える景色はどんなのだろう。

02. 

画像3

『日出づる』

この日は能登町写真クラブの活動で
恋路海岸を清掃した。
朝日がちょうど弁天島の鳥居の真上から昇ってきた。
季節によって太陽が昇ってくる方角は変わるが、
その日の日の出はすごく綺麗で息を飲む瞬間だった。
「この町には神様が住んでいて、綺麗な景色を見せてくれたのかもね。」
誰かがそう言った。

03. 

画像4

『海は青、花は朱』


太陽の光が反射してきらきらと光る海の前に、
花が咲いていた。
たまには花をじっと見つめているのも
いいってもんです。

04. 

画像5

『桜とメジロ』

今年取り壊しになる母校の小学校の校庭で
桜を見ていたら、メジロと目があった。
母校がなくなっても、
この場所に育つ命、生まれる命はあるのだ。

05.

画像6

『宝立山のブナ林』

宝立山の山の中でいきなりブナの群生林に出会った。
夢中で写真を撮っていたら、
落ち葉に隠れた溝にはまって
泥だらけになったのが良い思い出。

06.

画像7

『時間』

自分が中学生の時、
穴水から珠洲までを結んでいた能登鉄道が
廃線になった。
失った時間は戻りはしない。
人であれものであれ、
形あるものにはいつか終わりは来る。
だけど、過ごした時間を思い出すことが出来るから、
写真を撮ることが楽しいと思う。

07.

画像8

『海越えの立山連峰』

昔から「海の向こうに立山が見えたら翌日は雨が降る」と言われる。
それほどまでに立山連峰は
能登の暮らしに深く関わってきた。
自分はどれだけこの土地の、
そうした暮らしの中の知恵や知識を
学び伝えていけるのだろう。
この日の翌日、能登には雪が降った。

08.

画像9

『満月と小舟』

満月の夜。海の向こうには北アルプスの山々が見える。
月明かりに小舟が照らされていた。
この舟にはどんな物語があったのだろう。
写真を撮り始めてから感性が豊かになったと思う。

09.

画像10

『月光』

クリスマスイヴの夜、月を見ていた。
聞こえるのは波の音。
静けさと冷たい空気が心地いい。

010.

画像11

『星降る夜』

自分たちが気づいていないだけで
ファンタジーのような世界がどこかにあって、
そうやって思いを巡らせる事が出来る楽しさを
写真は教えてくれる。

011.

画像12

『千枚田』

江戸時代に年貢を納めながらも
農民たちが何とか命をつなぐために耕作し出来上がった千枚田。
素晴らしい景色の背景に、
実は先人たちの厳しい暮らしがあったのだと
21歳の年に知った。
自分たちは先人たちの命の上に生きていることを
忘れずにいたい。

012.

画像13

『白丸きやらげ』

小学生の男子が女装をして
曳山と呼ばれる山車に乗り、
歌い踊り家々を周るきやらげ。
自分の在所のお祭。
少子化により数年後には途絶える。
消え行く文化の姿は儚くも綺麗だ。

013.

画像14

『祖父とカメラ』

カメラに興味津々な祖父。
ファインダー越しに何を見る。

014.

画像15

『祖母と撫子』

この日はばあちゃんの誕生日。
ばあちゃんがせっせと育てた撫子の花が咲いた。
誕生日おめでとう。

015.

画像16

『祖父と日本酒』

蔵人だった祖父。
日本酒が好きで、毎晩晩酌をする。
あとどれくらい、一緒にお酒を飲めるのだろう。

016.

画像17

『祖父母』

ポーズをお願いしたわけでもないのに、
祖母の手を握った祖父。
言葉が出なかった。
愛おしさと、過ぎて行く時間が少し寂しい。

■写真展を通して

写真展が始まる前は、写真展を通して見える景色はどんなのだろう、抱く感情はどんなのだろうとワクワクしていた自分が懐かしいです。

展示が始まると時間はあっという間に流れ、期間中約1,500人の方にお越しいただきました。同級生や地元でお世話になった方、友人たちやSNSのフォロワーの方、告知を見て興味を持ってくださった方、たまたま来店された方など、県内外からたくさんの方に写真を見てもらうことができ、とても嬉しかったです。

普段はSNSで写真をあげていますが、印刷してパネルにして、誰かと一緒に見ながら話して感覚を共有することが、自分なりに表現をすることが、こんなに楽しいとは知りませんでした。

写真はもちろん写真に添えたコメントもすごく感動していただくこともあって、嬉し恥ずかしい気持ちでした。そうして、たくさんの人たちとの交流の中で、自分の中でたくさんの感情が生まれてきます。

画像18

自分の背中を押してくれるのは、いつだって能登の土地と能登の人たちです。だから、自分も自分にできる形でそこに寄り添っていたいと思います。

そうやって、能登の土地のたくさんの景色をこれからも見つめていきたいと思います。

改めて、応援くださった皆様、支援をくださった勤務先である数馬酒造の皆様、会場となった農家レストラン開元の皆様、友人たち、そして家族に感謝いたします!
今後ともご声援をいただければ幸いです。

ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?