どうして日本人は他国に対して無関心なのか

海外に出てみて初めて気づくことは多い。日本の文化がいかに変わっているか、日本人がいかに繊細であるか、日本の生活がいかに恵まれたものかなどなど。僕がデンマークに留学していたとき、強く感じていたのは「どうして日本人は他国に対して無関心なのか」という疑問だ。

デンマーク人の学生は、海外の情勢にとても敏感だ。トランプ大統領の言動はもちろん、ヨーロッパの国々の政治や経済情勢、世界の環境や社会問題など幅広い知識を持っている。

いや、これはデンマーク人に限った話ではない。イギリス人も、フィンランド人も、アイスランド人も、アメリカ人も、インドネシア人も海外の話で盛り上がっている。日本人はその横で、おとなしく聞いていることが多かった。

自分なりにこの原因について考えてみたところ、以下のような要因が挙げられた。

英語が使えない

世界の情勢を理解するためには、英語が読めないと厳しい。日本のメディアが英語を翻訳してくれても、タイムラグもあれば、訳が正確でない場合もある。

これは政治や経済といったニュースだけでなく、あらゆる情報において言えることだ。例えば、「ガーナの児童婚」について日本語で調べてみても、ガーナ単体について書かれた情報はほとんど見つからない。しかし英語で調べてみれば、UNICEFが出したデータやニュース記事などさまざまな情報が見つかる。

このように英語が使えないと、どうしても世界の情報を掴みにくくなってしまう。これはまずひとつの大きな要因だ。

外国人との交流が少ない

英語が使えないことにも関わるが、日本国内にいると外国人との交流はあまり多くない。となればどうしても、外国を身近に感じれなくなる。

フランス人の友人を持つ知り合いは、フランスで災害や事件があるとその友人のことを思い浮かべるようになるし、「フランス」という文字が目に止まるようになると言っていた。

日本だけで完結できる(便利・裕福)

日本は経済的に裕福で、技術的にも慣習的にも便利な国だ。日本だけで全て完結できてしまうので、英語が読めなくても、外国人と交流しなくても暮らしていける。

他方、デンマークのように他国が隣接している地理状況であれば、嫌でも外国人を意識してしまう。

歴史・外交に関する教育の質が低い

日本の教育全般に言えることだが、とりわけ歴史や外交に関しては、知識は「覚える」ものであって、「使う」ものではないのだ。

例えば「794年に平安京遷都」「墾田永年私財法」「1939年にドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まる」といったことは覚えさせられるが、「自国の宗教はどのように変化し、影響を与えてきたか?」「どうして第二次世界大戦が起きたのか?」「植民地支配の影響はどんなものがあるのか?」といったことはほとんど教わらない。

結果、多くの日本人は他国の歴史的背景(自国が他国に対して行ったことを含め)に対して鈍感だし、自国の歴史に対してもだ。恐らく、それなりの偏差値の高い大学に行っている学生に、神道と仏教の違いや、ISとアルカイダの違いを聞いてみても、8割方答えられないだろう。

メディアが海外の情報を流さない

国内メディアが海外の情報を流さないというのは、大きな要因ではあるが、これには2つの因子がある。1つはメディアは需要にしたがって、情報を供給しているということ。要するに多くの日本人は国際情勢よりも、国内の汚職事件やゴシップを好むため、必然的に国際情勢の情報が少なくなるというわけだ。

もう1つは単純にメディアのレベルが低いということ。それもそのはずで、国内メディアに関わる多くの人が英語で情報を摂取しない上、調査報道の習慣もほとんどないのだ。結果、国際情勢に関する情報は質が低く、なかなか的を得ないものばかりになってしまっている。


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