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オウンドメディアには編集者が必要だ

「何を当たり前なこと言っているんだ、お前は」

と言われそうなタイトルだが、小さい企業が作るオウンドメディアには、いまだに編集者不在のところも少なくない。

その原因には、やはり構造的な問題がある。そして、この構造的な問題を解決しない限りは、業界全体として良い方向には行かない。

お金はないけど、広報したい

そもそもなぜ企業はメディアを作るのか。まずはそこから説明しよう。

基本的にスタートアップにはお金がない。しかし、自分たちのサービスを広めたり、人を集めたりするにはお金がかかる(広告を打たなければならない)。

そのため多くのスタートアップは、オウンドメディアを作って、自分たちで広報活動をしていく戦略を選ぶ。そうすれば、実質無料で広報ができるからだ。

当然、まともな編集者を雇う金もないので、運営はWebマーケティング担当者か、社員全員でのローテーションとなる。たまたま経験者を雇っていたとかではない限りは、全員ズブの素人ということだ。

そして、彼らはメディアのことを恐ろしく知らない。なぜなら、メディア業界が閉鎖的で、メディアをどう学べばいいのか、どこで学べるのかといった情報が回ってこないからだ。

編集者の職人気質

メディア業界の閉鎖性は、「メディア(編集・ライティング)は教えるものではない」という職人気質に端を発する。

実際、メディアは教えるのが難しいものでもある。自ら経験を積んで初めて理解できることが多く、一朝一夕で身につくスキルはほとんどない。だからこそ、懇切丁寧に教えようとするのではなく、まずは場数を踏ませようとする編集者が多いのだ。

その結果、メディア業界の知見や技術は、業界内だけのものになってしまう。そして、業界内だけで「読モライターがどうだ、PR表記はこうだ」と盛り上がっているのを、業界外の人は冷めた目で見ているのだ(あるいは完全な無関心)。

だから原因をたどっていくと、編集者不在のオウンドメディアができるのは、編集者の職人気質によるところが大きいのだ。

コンテンツの良し悪しの判断

もちろん、ライティングに関する本や初心者向けのライター講座はあるので、それらを利用すれば業界外の人でも、文章の書き方は学べるだろう。

しかし、それだけではメディア運営は難しい。なぜなら、自分たちが作ったコンテンツが良いか悪いかどうかがわからないからだ。良し悪しを判断してくれる編集者がいないし、そもそも初期のメディア運用ではアクセスが少なく、読者からの反応があまりない。

その結果、意図せず炎上させてしまったり、誰にも響かないものを出してしまったりして、よくないメディアができてしまう。これはもう僕ら編集者側の意識が変わらない限りには、絶対にでてきてしまう問題なのである。

だからこそメディアの人間は、業界外の人でも気軽にメディアについての意見を交わせる環境を作っていかなければならないのだ。いい加減、業界内の内輪ノリも終わりにして、業界外に向けてのメッセージもしっかり届けていかなければならない。人に情報を伝えるプロなのだから、それくらいのことはできて当然だろう。

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