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思い切って、録音なしの取材をしてみる

取材しているときに、ノートにメモをとるのか、ICレコーダーで録音だけするのか、パソコンでタイピングするのか、タブレット端末でメモ書きをするのか。

取材時の立ち振る舞いは、業界内ではよく議論される。メモを取ると相手の話しを遮ってしまうとか、パソコンを置くと取材対象者との間に壁が生まれてしまうとか、タブレット端末は遊んでいるように見えるとか。

ノオトでも、取材時にパソコンを開くのは、基本的に避けられている。新入社員が経験を積む「品川経済新聞」では、持っていくのはエクセルで作った質問シートだけである。ICレコーダーやパソコンは使わない。

ノオトに入る以前の僕は、取材時にパソコンを開けておくことが多かった。目の前にパソコンがあるとどこか安心するし、いざというときにサクッと調べ物ができるので便利だった。心配性らしく、ICレコーダーとパソコンで2重録音までしていた。

メモ取りでは、聞き逃しができない

メモ取りだけの取材を初めてしたとき、かなり驚いた。これまで経験したどの取材よりも、ひどい有様だったからだ。

人の話を聞きながら、メモをとるとはなんと難しいことか。話していることをメモしようとすると、何を言っていたか忘れる。メモの時間を取るたびに、会話のリズムが止まってしまう。録音がないプレッシャーから、必要ないことまでメモを取ってしまう。

思い返せば、僕は板書が苦手だった。先生の話を聞こうとすると書けない。しかし、板書しないといつの間にか黒板の文字は消されてしまう。いつしか、友達にノートを見せてもらうのが当たり前になっていた。

しかし仕事をやっていく以上、苦手だなんだと言っている場合ではない。最初の頃はどうやっても上手くできないので、念入りに下調べした内容を確認しにいくような取材をしていた。

2ヶ月を過ぎたあたりだろうか。メモ書きの精度が目に見えて上がってきているのを実感した。いや、メモ書きの精度というより、その場で情報を取捨選択する力や聞き漏らさないための集中力、不確かなことを自己把握する力が身についたといったほうがいいかもしれない。

録音ができないという追い込まれた環境に身を置くことで、ある意味強制的に成長が促された部分がある。これはメモ書きを必要としない取材でも生きる力なので、実は取材力を上げるにはうってつけの方法だったのかもしれない。

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