みんなのNPO研究室レポート|#05「人を援助すること」を考える」
みんなのNPO研究室、第5弾のトークセッションを1月19日に実施しました!
今回のテーマは「人を援助すること」について。
人や社会と関わる仕事のひとつである「対人援助職」。今回は対人援助の仕事に就き、日々支援の現場で人と向き合っているゲストをお招きし、そのリアルを語り合いました。
登壇者の紹介
今回のトークセッションでは、静岡県立大学卒業後に対人援助職として働く3名が登壇しました。
1人目は、和歌山の社会福祉法人一麦会が運営する「ソーシャルファームもぎたて」で働く、湯浅雄偉さん。
2人目は、静岡の「NPO法人青少年就労支援ネットワーク静岡」で働く、宮西悠さん。
そして、静岡の社会福祉法人城ヶ崎いこいの郷が運営する「障害者支援施設碧の園」で生活支援員として働く、森洋子さんにご参加いただきました。
(モデレーターは、みんなのNPO研究室事務局の渡辺眞子が務めました!)
「他者を知る」「人と関わる」というキーワードがみつかった学生時代
今回ゲストとして登壇いただいた3人は、福祉を専門的に扱う学部ではない、国際関係学部で学生時代を過ごしていました。みなさん、当初から対人援助の仕事に就きたいと考えていた訳ではなかったようです。どんなきっかけで対人援助の仕事を志すようになったのか伺いました。
宮西さんは、半年ほど前に現在のお仕事に転職した経緯があります。大学卒業後は、自分が経験したことのない分野にあえてチャレンジしてみようと考え、設備メーカーの営業職として就職しました。その後、自分のやりたいことを見つめ直し、現在のお仕事に転職を決めました。「やりたいこと」を考える際に立ち返ったのは、学生時代の活動だったそうです。
大学卒業後に就いた営業の仕事を通じて、「やっぱり自分は人と向き合うことを仕事にしたい」と気づいた宮西さん。学生時代にいろんな活動に参加しながら、自分自身のキーワードを模索したことが、卒業後のキャリア選択にも大きく影響していることが伺えました。
「人が好き」というまっすぐな想いが原動力になる
次に、ゲストのみなさんに、支援において大切にしていることや原動力となっていることを伺いました。日々の実際の支援の中で起きた出来事やストーリーから、自身のやりがいを感じた瞬間をお聞きしました。
対人援助の仕事と言ってもその幅はすごく多様で、宮西さんや湯浅さんのように「働く」という部分を支える仕事もあれば、森さんのお仕事のように「日常生活」を支えるという関わり方もあります。森さんは、障害を抱える方の暮らしを支える仕事に取り組む中で、小さな変化や成長を感じられた時にやりがいを感じるそうです。
森さんのお仕事は、食事や入浴の介助をするなど日々の暮らしを支えるもの。たとえば、家族であったとしても大変さを感じるような支援だと思いますが、森さんは「まったく抵抗だったり、嫌だなと思うことはありません」と笑顔で話してくれました。森さんのお話から、純粋に「人が好き」という根底にある気持ちが、森さんの原動力になっていると感じました。
「ケア」を担う対人援助職だから直面する、社会の仕組みにおける限界や矛盾
最後に、日々の支援において「あるべき姿」と「現実」の狭間の葛藤について伺いました。支援をする相手との向き合い方における葛藤、組織として支援に取り組む上での葛藤など、さまざまな視点から意見が出ましたが、湯浅さんからは「対人援助職だからこそ社会システム上の矛盾や限界に直面しやすい」というお話がありました。
対人援助職には、社会のなかでの支援やケアの在り方を考える役割があること、そして、それを対人援助職に関わる人たちだけで閉ざすのではなく、ケアに依存している社会側にも投げかけて行く必要があることを感じるお話でした。
最後に
今回は、対人援助職になることを検討している学生、NPO関係者や対人支援職として働く方々、そして転職を検討している方など、幅広くご参加いただきました。
会の終了後には、「転職先でも支援の仕事をしたいと思っていて、でも働き続けられるだろうかと少し不安もあったんですが、皆さんのお話を聞いてやっぱり支援の仕事を長い目でしたいなと素直に思えました。」という感想もいただきました。参加いただいた方にとっても何か得られるものがある時間になっていればうれしいです。
ご協力いただいたゲストのみなさん、参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
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