山口周さんの「ビジネスの未来」を読んで
年末から年明けにかけて読みました。
山口さんは2年前に、ニュータイプの時代をきっかけに知って、「おお、なんかいいぞ!これからのわたしたちに必要な思考を持っていそうな方だ!」と思っていたので、今回も読むを楽しみにしていました。
1.わたしたちはどこにいるのか
ここ10年ちかく、資本主義って終わってるな〜と思ってきましたが、どう終わっているのか、を端的に論理的に説明されています。
古来以来、「物質的貧困」という問題に苛まれ続けてきた
↓
いま、歴史上初めて、それが解消されている
この、歴史上初めて、っていうのがとても重要だと思っています。つまり、いままでの人類がはじまってからずっと長らくの一つの大きなゴールは「物質的貧困を解消する」ということだったのです。長く、長く、長く、それを追い求めてきました。それを解消するための手段として、「産業革命」や「資本主義というシステム」、そして時に「戦争」があったのだと思います。
そして、ついに、その長い長い道のりだった、ゴールテープを切っているのです。そう、既にそのゴールテープは切られているのです。これは、ここ50年とか100年という単位で考えるのではなく、人類が生まれてきてから歴史上初めて、といった大きな視点で考えることがものすごく重要だと思います。
いままでは、「物質的貧困」を解消するために「ビジネス」がありました。けれど、このゴールテープを切ってしまったいま、その「ビジネス」はなんのためにあるのでしょうか。なにを理由に、なにを目標にあるべきなのでしょうか。ということをいま一度考える時期にきているのです。
GDPは延命措置
人間が人間らしく生きるのはどういうことか、よりよい社会とはどのようなものか
→それは何をはかればその達成の度合いが測れるのか考えるべき(経済学者や専門家は知らない)
それまでの「物質的貧困」という問題に対してはGDPという指標を測るのが最も有効でした。けれど、もうこの問題は解決されているのです。それなのにも関わらず、同じ指標を使っていること自体がおかしい。つまり、いままでのGDPという指標ではなく、違う指標を考えるべきだ、と山口さんは話しています。
「資本主義というのは、資本は無限に増殖するということを信じて奉るという一種の信仰である
真の問題は、経済以外の何を成長させればよいのかわからないという社会構想力の貧しさ
資本主義が終わってる、というのは、このあたりのものを過去に読んできたのでしっくりきています。
↓NHKの「欲望の資本主義」は過去のものもオンデマンドで見れるみたいです。おもしろくて、考えるきっかになると思います。
第2章 わたしたちはどこへ向かうか
①イノベーションによって経済成長の限界は打破できる
②マーケティングによって需要の飽和は延期できる
経済成長を目指すのを否定できない人たちはこの2点のことを主張してきますが、それもわかりやすく否定されています。
①この30年でわたしたちの生活をかえたインターネットも経済成長の限界を打破できていない
ごく一部の人がさらに儲かる市場に変えただけ、むしろ格差の拡大
→社会が抱える「未解決の問題」には貢献しない
②すでに満ち足りている人たちに対して「まだこれでは足りてないのでは?」とけしかけ、枯渇欠乏の感覚をもたせることができたら、それは新たな問題である
→相対的ニーズには限りがないため無限に解消されない
→それらは不道徳(資源環境ゴミ汚染問題)、開きなおり(過剰贅沢奢侈)
マーケティング、広告についてはこちらがおすすめです。
↓いかに商品を買わされているか、消費させられているか、ということを考えさせられます。
↓これって買った人本当に全部読んでるのかな。人生でここまで厚い本を読んだことがないのでビビって実は読んでません...レビューとか読んで読んだ気にさせておきます。来年のお正月にでも読もうかな...
そして、わたしがこの章で一番なるほどな、と思ったのがこの図です。
横軸が普遍性(=問題を抱えている人の量)
低い=極一部の人が悩んでる
高い=多くの人が悩んでいる=需要がある
縦軸が課題解決の難易度
低い=資源が少なくていい
高い=解決するのに、人モノ金の資源がたくさんいる
基本的には、このSTARTから経済合理性の青枠内で問題は解決されていきます。
なぜなら、多くの人が悩んで(市場が大きく)、難易度も低いからです(利益率がいい)
外側にある問題は市場原理主義に頼っていたら永久に解決されない
→別の(金銭でない)モチベーションが必要
けれど、この経済合理性の外にあるものは取り残されるのです。なぜなら市場が小さく、利益率もよくないから。問題は取り残されているいるのも関わらず解決されない現状があります。
個人的にソーシャルビジネスとか、社会起業家と呼ばれるような方々の事業や考え方にとても惹かれるのですが、それはこういう図からも明らかだなあと新たな気付きでした。
この図を見たときに、この曲線内でビジネスをやろうとします。それは当たり前のことで、ちゃんとニーズもあって利益がでるからです。
でも所謂、社会起業家(とか言ってくくるのもすきじゃないけど、ここは敢えて)はその外をチャレンジしていて、やっぱりそこに挑む姿勢はかっこいいなと改めて思うし、尊敬します。。。
そして、この青枠の外で挑戦する人を応援していくことの需要さも改めて感じました。ということで、今年の目標はマザーハウスのバックを手に入れることです。(がんばってお金貯めるぞ)
目指す方向
・大きな北欧型社会主義社会
・イノベーションによる社会課題の解決
・企業活動による文化的価値の想像
✗便利で快適な社会
↓
○生きるに値する社会
日本はどうしても「アメリカ」と比べがちですが、国土も人口も文化もちがうのです。たしかに、これからの時代は対アメリカと比較するのではなく、対北欧の国々と比較参考にするのがよいのかもしれません。。。
「生きるに値する社会」...まだしっくりきていないので、何度か読み直したいです...
第3章 わたしたちは何をするか
そしてここからが本番です。
では、ここから何をすべきか。
①真にやりたいことを見つけ、取り組む
②真に応援したいモノ、こと、にお金を払う
③1と2の実現のためにベーシックインカムを取り入れる
と山口さんは話しています。
やっぱりどこに自分のお金を使うのかは、大切なことのようです。
というわけで年末年始にこれも読もうと思っていましたが、まだ読了できていないのでまたちょこちょこ読みます。
こちらもお金を使うとは?ということが、蒼井優さんの表紙に癒やされながら勉強できます。
最後の章は自分でもまだ解釈しきれていない部分もあるので、もう少し読んで理解したいと思っています。(ので雑になりました)
↑こちらの対談もよかったです。
システムをぶっ壊すのではなく、しなやかで美しい変化
システムをハンマーでぶっ壊すわけではなく、静かにシステムの内部に侵入しつつ、システムのふるまいをやがて変えてしまう
まずは「小さなリーダーシップ」でいい
いままでにもポスト資本主義的な本は読んできましたが、ここ数年で一番心に残りました。モヤモヤも少し解消!山口さんありがとうございます!
まずは一人でも多くの人に読んでもらい、いまの現状を知って、そして一度立ち止まって、一緒に考えたい。
資本主義の先について山口さんが言うように「システムをぶっ壊すのではなく、しなやかで美しく変化していこう」という考えもあります。最近、ESG投資という言葉も聞くようになったので、世界全体でも、世界の金融機関もそういった方向に向かっているという事実もあります。
斎藤さんのように「システム自体を壊してコモンを作っていこう」という考えもある。
そして、年始の欲望の資本主義では、資本主義の限界を知った上でも「貧困を救うには成長が必要だ」といった経済学者の方々もいました。
この先、なにが最善なのか、は未だにわかりません。まだ答えは出ていないのです。
「歴史というのは大きな意思決定よりも、どこかで毎日行われているようなちょっとした行為や発言がきっかけになって大きな流れを変えている」というバタフライ効果というものがあるようです。(蝶の羽ばたきが遠くの天気を変えてしまう。という理論。そんなことあるんかい、と思ってしまう)
いまのこの現状を、わたしはおかしい、と思うし、もう少しなにかやれることがあるのではないかなと模索しています。できることは小さなことかもしれませんが、その小さなことが大きななにかを変えるかもしれない、という希望を持って毎日を過ごしていきます。
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