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リキテックスの絵具をすすめる理由その1「色合いがわかりやすい」

前回の記事の補足的な内容です。

上記の記事で、粘土の着色にはリキテックス社のアクリル絵具(ソフトタイプ)をおすすめしました。そのおすすめの理由を今回は書いていきたいと思います。

マンセル・カラー・システム

塗料の説明で欠かせない概念の1つとして「マンセル・カラー・システム(Munsell color system)」があります。

色の三属性である色相・明度・彩度について体系化したシステムです。色の三属性については、以下の記事でも言及しています。

Wikipediaのリンクも載せておきますね。

このようなカラーシステムは、いろいろなものが存在しています。マンセルカラーシステムは、世界中で利用されているメジャーなシステムで、日本でも普及しています。

ざっくりとマンセルカラーシステムを解説しますね。今回は色相だけに焦点をあてて解説したいと思います。

まず色を5色に分類します。わかりやすく赤を頂点に書いてみます。

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R(レッド・赤)・Y(イエロー・黄色)・G(グリーン・緑)・B(ブルー・青)・P(パープル・紫)の5色です。上記の図のように円環状に5色を配置します。(こういったモデルを「色相環(しきそうかん)」と呼びます。)

この5色の色相環に色を追加します。

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赤と黄色の間に、YR(イエローレッド・黄赤)
黄色と緑の間に、GY(グリーンイエロー・緑黄)
緑と青の間に、BG(ブルーグリーン・青緑)
青と紫の間に、PB(パープルブルー・紫青)
紫と赤の間に、RP(レッドパープル・赤紫)

…を配置して計10色になりました!

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ここまではOKでしょうか。

次に、この10色に数字を割り振ります。10個の基本色の上に数字の「5」をつけます。

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5の赤、5の黄赤、5の黄色、5の緑黄、5の緑、5の青緑、5の青、5の紫青、5の紫、5の赤紫…といった感じです。

この10色に、さらに中間色となる10色を追加します。

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5の赤と5の黄赤の中間に、10R(10の赤)などを追加して、計20色の大所帯になりました。ちなみに、図には書いていませんが色合いのない無彩色(黒・灰色・白)はN(エヌ)と表記します。

マンセルカラーシステムは、この色相にさらに明度と彩度も加わりますが、今回はここまで。こんな感じで色合いに数字がついてるな…といった理解で大丈夫です。

絵具のラベルから色をイメージする

では、実際にリキテックス社のアクリル絵具をみてみましょう。

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6号(20ml)チューブのリキテックスの絵具は、キャップが「白」・「灰色」・「黄色」とありますが、黄色のキャップがおすすめです。理由は別の記事で解説したいと思います。

今回は、青・黄色・赤の3色の絵具に登場してもらいましょう。

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画像左から青の「フタロシアニン ブルー」、黄色の「イエロー ミディアム アゾ」、赤の「アクラ レッド(現キナクリドン レッド)」です。

リキテックスの絵具は、チューブの表に情報が集約されています。今回は、「この絵の具って、どんな色?」とイメージできるように色相だけ読み取ってみましょう。(リキテックスの表記は、マンセルカラーシステムと一致しない略称もあるのですが、だいたい同じなので、その点はスルーしましょう。)

まずは「フタロシアニン ブルー」です。

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今回の注目点は以下です。

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「Munsell:4.0BP」と書かれていますね。こういった表記をマンセル値と呼びます。(厳密には、この絵具のマンセル値は「4.0PB 1.5 /7」となるのですが、この説明は後日に…。)

この青の絵具は、マンセル色相環をイメージすると以下のような感じです。

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4.0BPの記述だけでも読み取れますが、リキテックスは親切なことに図表も表記されています。HUE(ヒュー=色相のこと)と書かれた横に「BG│B│BP」とあります。そのBの下に米印のようなアスタリスクのような印がついていますね。その印がBPでなくB寄りに印刷されているので、「これはB(青)よりのBP(青紫)だな。」とイメージできます。

次に「イエロー ミディアム アゾ」です。これはどのような黄色でしょうか…。

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マンセル値の色相は3.7Yとわかりますね。色相環を頭に思い浮かべると以下のような感じになります。

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最後に「アクラ レッド(現キナクリドン レッド)」です。

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ここまでくると解説は不要でしょうかね。色相環では以下のイメージです。

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絵具のラベルが読み取れるようになると、とても便利です。たとえばミニチュアの茄子をつくるとしましょう。

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ベースとなる紫の塗料が必要として、紫には青に近い寒色の青紫もあれば、赤に近い暖色の赤紫もあります。茄子だったら暖色系の赤紫がよいでしょうか。マンセル値を参考にすれば、自分が買おうとする紫が、青寄りなのか赤寄りかが判断しやすくなるでしょう。

慣れてくると、ぺんてるやターナーのように1行でマンセル値を表記してくれたほうが便利かもしれませんが、図表が印字されたリキテックスは感覚的にイメージしやすいので入門者にも親切だと感じます。

私がこれからアクリル絵具を買い揃える方に、リキテックスをおすすめする理由の1つです。

余談ですが、リキテックスには「プライム」というシリーズのアクリル絵具もあります。プライムに至っては、チューブ(30ml)のラベルに実際の絵具が塗られていて色を確認できるという狂気を感じるような究極の親切設計になっています!値段は高くて販売店は少ないですが…。

福岡だと福岡市の大崎周水堂(最寄り駅:市営地下鉄「中洲川端駅」)と山本文房堂(最寄り駅:市営地下鉄「赤坂駅」)にて「リキテックスプライム」が販売されています。

【追記】

マンセル値の読み方は、以下のサイトで解説しています。


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